彼岸花と土葬の思い出
秋の彼岸が終わった。
こんなに暑いのに、きちんと彼岸になると咲く彼岸花。
やはり日照時間の長さで花芽をつけるのかな?
特に思い入れもない花だから毎年咲くなぁと思うだけなんだよね。
水溶性の毒があるらしい。
江戸時代に飢饉があったときに生き延びた村があって、その村人達は彼岸花の根を水にさらして毒を抜いて食べたと何かで見た。
だから川沿いに植えられた彼岸花は飢饉の時に食用にできるようにとの先人の知恵。
ユリ科だから味は百合根に似てるのだろうか?
自分で調理して食べる勇気はないが。
「テレビで昔は土葬だったから、野生動物に墓を掘り返されないように毒がある彼岸花を植えて近寄れなくしてるんだって」
と母が言ってた。
明治生まれの曽祖母も亡くなった時、本人の希望で土葬だった。
亡くなる前に「火葬は熱いからヤダ。土葬にしてくれ」と言ってたらしい。
高さが約1メートル、畳半分ほどの四角い棺桶に体育座りで入れたんだけど、初めての葬式で小学生だった私は時代劇で見るような大きな丸い桶じゃなくて内心ガッカリした。
今思えば最初で最後に見た土葬。
まだ昭和の終わりで野良犬がウロウロしていて、学校に野良犬が入ってくるとテンション爆上がりの時代だった。
彼岸花は咲く時期と葉がなくなってから花芽が伸びて開花する生態も輪廻に似て、墓に相応しい植物なのかもしれない。
余談だけど、墓に毎日拝みに行ってた祖母がある日、曽祖母を土葬した場所でズボッと足がハマって動けなくなった。
どうやら長い年月で土の中の棺桶が完全に腐って陥没したようだ。
「墓でひいばあちゃんに足を引っ張られただよ」
と語っていた。
で、どうしたのか聞いたら、たまたま隣の家の人がいて引き上げてくれたと言ってた。
そんな棺桶に足を突っ込んだ祖母は94歳まで生きた。
本人は130歳まで生きるつもりだったから、短命なのかも。
私は祖母の話を聞いて、決して土葬はするまいと心に誓った。
彼岸花はわきで咲いていてもいいけれど。
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