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10minutes diaries/308

令和4年8月22日(月)

先日の日曜日に、サマーソニックに行って、人並みかもしれないけど、音楽っていいなって思った。
その前にも、ロッキンに行って、「やっぱりフェスはいいな」「生で音楽を聴くのはいいな」と思ったけど、あの時とはまた違う感覚があった。

それは、海外のアーティストが見られたというのも大きいのかもしれない。
なんというか、やっぱりパフォーマンスの仕方も違うし、文化も違う。
THE1975なんかは、ステージで普通にタバコを吸って、お酒も飲んでいたし、MANESKINは、ステージで唾を吐いていたし、ベースの女性もニップレスで演奏をしていた。

きっと、こんなことを日本人がやったら、すぐに叩かれるし、語弊があるかもしれないけど、海外のアーティストだから許される、許しているみたいなところはあるんだろうなと思う。
コロナに対する考え方も、もう全然違うから、コールアンドレスポンスを求めるし、客席に降りてきて、ハイタッチとかしてしまう。
ルールはルールだから、これがいいことかどうかというのは当然あるが、何か、今回ライブを見ていて、いろいろな乖離を感じたというのはあった。

一つには、このコロナのことで、これは国の施策とかもあるからなんとも言えないが、国々で大きく価値観が異なっていて、こうした音楽のライブという場で、その価値観が表現やルールとして可視化されているということ。
たった2、3年でこんなに違ってきてしまうのだから、今後の状況によっては、もっと離れたものにもなるんだろうなと思った。

他には、同質化みたいな話で、特に今回は、声出し禁止やマスク着用みたいなルールがあったから、皆、基本的には、行儀よく見ていたんだと思うが、それにしても、みんな同じ動きというか、音楽なんて、自由に聴いて、自由に体を動かして楽しめばいいのに、何か誰かに決められたように同じ動きをしているのが、なんかどこか不自然さは否めなかった。
これは僕の記憶違いかもしれないが、もう少し昔には、パンクバンドが流行っていたのもあって、みんなモッシュをしていて、一応禁止はされているんだけど、スタッフももうみんなやることがわかってたから、手慣れたように誘導していたという光景があったような気がする。
確かに、サビの盛り上がるところでモッシュをするというのも、一つの同質化なのかもしれないけど、少なくとも、もう少し、みんな自由に音楽を楽しんでいた、その光景がライブにはあったと思う。
何回かだけど、海外に行った時に、ライブを見たことがあって、お客さんは、本当に思い思いに体を動かして、声を出して楽しんでいて、別に正解があるわけではないけど、本来、音楽ってこうやって楽しんでいいんだろうなと思った記憶がある。

あとは、音楽をやるということにも、何か大きな違いを感じたというのがある。
当然、一概に言えることではないし、言語化もしずらいのだけど、なんというか、音楽で表現することへの責任とか、思いとか、音楽そのものの意味とか価値とかが、もう全然違ったものになっているような気がした。
ステージでタバコを吸うのも、表現の一つなのかもしれないけど、最高のステージで最高の音楽を表現するのが、ある意味でのアーティストの一番の仕事であるとするなら、その仕事を全うしているなと思ったし、そうであってほしいと思った。
MANESKINのベースの女性がニップレスになったのも、バンドのメンバーがジェンダーレスな衣装を着たり、パフォーマンスをするのも、メンバーのジェンダー観を表現したものであって、社会に対する警鐘だったりするし、THE1975は、男女比が平等なフェスしか出ないと公言したりしている。
日本では、こうやって、社会的なこと、政治的なことを表現すると、「アーティストがそんなことをするな」的な雰囲気がるが、本来、アーティストの役割というのはそういうところにあるのではないか。

僕らは、音楽に何を求めているのだろうか。
いい子ちゃんであることを求めているのか。
社会のある種の模範者であることを求めているのか。
音楽は、ただただ、エンターテイメントであることを求めているのか。

何を求めるかは、全くの自由だとは思うが、少なくとも僕は、音楽が単なるストレス解消の楽しいだけのものになんてなってほしくないし、僕を、社会を揺るがすものであってほしいし、その狂気が宿る場であってほしいし、それが表現の一つとして、きちんと守られてほしいと思う。
元々ロックなんて、不良のためのものであったんだろうし、それを我々は、評価してきたわけだし、当然にアーティストはルールを守るべきなんだろうけど、アーティストがアーティストたる所以はその狂気であり、アウトローなのだから、才能を持てなかった僕らみたいなものが、それを存分に発揮できる環境を整えていって、守っていって、応援してあげるべきなんだと思う。

今回、サマソニに行って、改めて、音楽というものの持つ力みたいなものを感じたし、音楽が狭小でつまらないものに成り下がってほしくないと思ったし、今後音楽がどうなっていくのかか、鑑賞する我々にかかっているのだなと、そんなことを強く思った。

見ていただけたことが、何よりも嬉しいです!