10minutes diaries/10
令和3年10月28日(木)
ここに一枚の写真がある。
真ん中にはピンク色の手袋が落ちている。
季節は秋。
10月27日の話。
落ちている場所を見ると滑り止めのような床になっている。
おそらく駅のホームかどこかだろう。
と、唐突に写真の説明をしてみたのだが、何を隠そう、昨日自分で撮った写真である。
最近は、何か気になるものがあった時には写真に撮るようにしている。
特に見返してどうこうということもないのだが、写真をとるということを多少なりとも意識をすることで、目の前に現れた景色を意識的に見るような気がしている。
別に景色を切り取りたいとかそんな思いはなく、写真をとるという行為を通じて、目の前にある被写体を、視覚をもって、意識をもって見るということを、それなりにちゃんとしたいなぁと、近頃はそんなことを思っている。
と、話がずれたが、冒頭の写真、なぜ、僕はそれを写真におさめたのかと言えば、その時は直感としかいいようがないが、今考えてみると、やはり僕は違和感みたいのが好きなんだと思う。
突然、駅のホームに片方の手袋だけが落ちていたら、やっぱり違和感を感じる。
僕は写真家でもないし、アーティストでもないので、偉そうなことも言えないのだが、そんな素人の僕が見てもいいなぁと思う写真というのが、一枚の静止画の中に、ストーリーを感じるもののような気がしている。
それは一つのピンク色の手袋が写っているだけの写真なわけだが、もちろんこれを落とした人がいるから、ここに手袋があるわけで、どんな風にして落ちたのか、そもそもなぜ、どういう経緯でこのピンクの手袋を買ったのか、どんなルートでここの駅にたどり着いたのか、その人が手袋を落としたことに気がついた時どんな反応をしたのか、どんな表情をしたのか、この手袋はどんな工場で作られて、その工場で働く人はどんな人なのか。
まぁ、考えていけば無限に繋がるわけで、どんな写真をみてもそういう想像は可能なのかもしれないけど、往々にして、そうした想像は何らかの違和感から生じることが多いようにも思う。
あとは、温度とか匂いとか音とか、そうしたものが写真から漏れ出してしまっているようなものが好きだったりする。
決してただの1枚の写真として完結するのではなく、情報がたくさんあって、そこからいろんな世界に連れていってくれる、そんな写真、もしかしたら写真だけではないのかもしれないが、他のアート等も含めて、そんなものをたくさん見たいなとは思う。
見ていただけたことが、何よりも嬉しいです!