![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81827929/rectangle_large_type_2_f55dab1de4b7551ee10a5cbbc23147b9.jpg?width=1200)
10minutes diaries/30
令和3年11月17日(水)
小学校の時の話。
クラスに咳をしている子がいて、その子は、時折バックから何かを取り出して、それを口にしていた。
何かと思って、近くにいった時に見てみたら、それは、トローチだった。
薬っぽい袋から出てくるわりには、随分と美味しそうだなと思った。
その子が舐めていたのは、オレンジ色のトローチだった。
真ん中に穴が空いていて、僕にはパイン飴にしか見えなかった。
食べてみたいとは思ったけど、その子に「一つちょうだい」と言うには、袋の形相が薬っぽくて、きっとこの子は体の調子が悪いから食べているわけで、気軽にもらうものじゃない。
そんなことを思ったら、お願いできなかった。
ある時、僕も風邪をひいた。
熱があってそれなりにしんどかったわけだけど、もしかしたら、ついに僕もトローチが食べられると思ったら、何だか近くの町医者に行くまでの道のりがワクワクした。
だけども、結局、僕にトローチは処方されなかった。
それから、しばらくトローチのことで頭がいっぱいになったが、気づいた時には、そんな熱はどこかにいっていた。
そういえば、考えてみれば、僕は、あれから未だにトローチを口にしたことがない。
見ていただけたことが、何よりも嬉しいです!