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10minutes diaries/30

令和3年11月17日(水)

小学校の時の話。
クラスに咳をしている子がいて、その子は、時折バックから何かを取り出して、それを口にしていた。
何かと思って、近くにいった時に見てみたら、それは、トローチだった。

薬っぽい袋から出てくるわりには、随分と美味しそうだなと思った。
その子が舐めていたのは、オレンジ色のトローチだった。
真ん中に穴が空いていて、僕にはパイン飴にしか見えなかった。
食べてみたいとは思ったけど、その子に「一つちょうだい」と言うには、袋の形相が薬っぽくて、きっとこの子は体の調子が悪いから食べているわけで、気軽にもらうものじゃない。
そんなことを思ったら、お願いできなかった。

ある時、僕も風邪をひいた。
熱があってそれなりにしんどかったわけだけど、もしかしたら、ついに僕もトローチが食べられると思ったら、何だか近くの町医者に行くまでの道のりがワクワクした。
だけども、結局、僕にトローチは処方されなかった。
それから、しばらくトローチのことで頭がいっぱいになったが、気づいた時には、そんな熱はどこかにいっていた。

そういえば、考えてみれば、僕は、あれから未だにトローチを口にしたことがない。

見ていただけたことが、何よりも嬉しいです!