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手を挙げられない小学生だった私が、ノールックで立候補できる勢になれちゃったおかげで出会えたもの

小学生の頃、授業中に「ハイハイハイ!」と声高らかに挙手する同級生は異世界の住人だった。

「やりたい人~!」と問われたとき、ノールックで手を挙げられるようになったのはいつ頃からなんだろう。

気づいたら、手を挙げられるようになってた。

週刊誌記者時代に、取材対象者に当たるまでドアチャイムを鳴らし続けるという罰ゲームのような現場を体験してから、ハードルはさらに下がった。

当たっても外れても、イヤな顔をされるのはわかってる。でも、仕事だからチャイムを鳴らさなくてはいけない。もう何の取材だったかも覚えてない。つらかったことだけ覚えてる。歯を食いしばって、目をつぶって、チャイムを押した。

あのしょうもない時間もたぶん多少はプラスに働いて、私は好奇心のおもむくままに(実際には、多少強引にでもひるむ気持ちをねじふせて)「やりたいです!」を言っちゃえる勢になった。

介護経験の有無を問わず、誰でも参加できるワークショップ「介護技術で遊ぶ会」を一緒に開催している、介護職の雨澤慎吾さんとこんなやりとりをしたのが今年6月のこと。

松戸市内にある訪問介護事業所で働く雨澤さんの「介護技術」に触れたのは、千葉県流山市で開催された介護職向けの研修会だった。以前から「凄いらしい」という噂は聞いていて、ようやくリアルでお会いできた。この機会を逃してなるものかと研修後の片付けが終わったところで、「お願いがあるんですけど……!」と切り出し、介助をしてもらった。

その日やってもらった介助は「床に足を投げ出した状態で座っている人を椅子に座らせる」というものだった。

手足に力が入らず、ダラーンと脱力した人を椅子に座らせるなんて想像しただけでめっちゃ大変。でも、雨澤さんにかかると、スルリと実現してしまう。待って待って、今、何した!? 狐につままれたような不思議な感覚。「重たい思いをさせてごめんなさい……」と申し訳なく思う瞬間がなかったこと、置かれた手の位置に迷いがなかったことを今でも鮮明に覚えてる。

そんな雨澤さんの「実際の介護」を見られるかもしれない機会があったら、それはもう何があっても駆けつけたい。もちろん、そんな簡単な話ではないということもわかってる。わかったうえで、秒で手を挙げた。

その結果、思ったよりもずっと早く職場体験がかなってしまった。つい先日、ケア同行させてもらう幸運に恵まれた。

雨澤さんが働く訪問介護事業所のメンバーさんが担当するケアに3件同行させてもらった後、雨澤さんのケアを見学した。

更衣介助やおむつ交換といった、ごくふつうの介護が、その質を徹底的に高めていった結果、その介助を受けている人の生きる力を引き出すということを目撃した。なんじゃこりゃ、という驚きと衝撃で、これを忘れないうちに書き留めておかなくてはいけないと、必死にメモをとり続けている。

「介護技術で遊ぶ会」で、みんなで遊んだことが、実際の現場で活かされているのも目の当たりにした。びっくり! ねえ、それ知ってる!! の場面もたくさんあったよ。

この調子で興奮さめやらぬまま、当日を迎えることになりそうだけど、9/15に「介護技術で遊ぶ会」もやります



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