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【企画参加】乗りたくなかったけど

コッシ―さんの企画に参加します!
ギリギリ、なんとか書けました!


出会ったのは、いつだったんだろう。
グレーの作業服に作業帽をかぶり、ニコニコしていたな。
パーテーションのドアからさっと出てきたとき目が合った。
「綺麗な目だなぁ」と思ったんだった。

私が夫を認識したのはそんな感じだった。
でも夫は、それよりちょっと前から意識はしていたらしい。
目が合うといつも笑ってくれた印象がある。

夫の地元に新しく電子部品の工場ができて社員を募集していた。
夫は親に呼びもどされてそこに就職し、私は隣の市の実家にいて就職浪人していたので、そこの定期社員として、応募したのだった。
夫は立ち上げメンバーでいつも忙しそうだったし、私は初めてのまともな仕事で(その前はセクハラバカ社長の車販売店だったから)、右も左もわからないでオタオタしていた。

記憶はそれだけ。ドアから出てくるときの笑顔。

それから忘年会で、隣にきてお酒を飲みながら少し話した。
何の話をしたのかも覚えていない。
私はそういう席はあまり居心地がよくないので、早めに帰った。

年が明けて、いきなり夫から電話がきて、映画を観ませんかと。
私もその気があったってことだろう、誘いに応じた。

待ち合わせの駅前ロータリーにいると、真っ赤な日産パルサーエクサが来るのが見えた。
お好きな方には申し訳ないのですが、当時、私はその車ほど嫌いなデザインはなかった。
へぇ~、あんなのに乗る人いるんだ、やだねー、とか思って目で追っていたら、そいつが前に来て停まってしまった。

ええ~~~~!?
これ、これに乗るのか。
しかし、乗ってしまえば車は見えないんだから、いいか。

そんなこんなで、その車で何度もあちこちドライブすることになった。
斑尾高原・地獄のドライブもあった。
今と違って、当時は車にエアコンがついていないなんてことはよくあった。
夏の真っ盛り、信州・斑尾高原へとドライブに出た。地元からは3時間ほど
一般道を行く。
早朝はとても清々しく、流れる景色は、信州の山並みや青い空に白い雲。
しかし帰りが、エアコンなしの灼熱地獄になってしまったのだった。

信号待ちしていると、道路わきのショーウインドウのガラスに、真っ赤な
パルサーがどーんと映り込んでいる。
はあ~~、なんか、ちょっと脱力で、シートに埋もれるようにして横目で眺めていた。なにこの車。このクソ暑いのに真っ赤っかでさ。乗ってるヤツの顔見てみたいわ!
夫は「暑いね~」とか言っている。暑いんだよ!!プンスカ!!

このドライブは「斑尾高原地獄のドライブ」と命名されて、私たち夫婦の歴史の前史を飾るイベントとなった。

乗ってる車が気に入らないからと言って、お付き合いを断らなかったってことは、何やらのご縁があったんでしょう。
趣味、し好も合わず、しょっちゅうギクシャクしていたが、結婚してしまった。人間とは不可解なものなりね(笑)

パルサーにショックを受けたときは、まさか36年も一緒にいることになるとは思ってもいなかった。
でもいつも思うのは、この人じゃなければ、私は家庭とは無縁だったかもしれないな、母親やってこれたのは、この人だったからだな、なんて思う。
いつも笑って話す時の目は、出会った時と同じ、綺麗な目だ。
ずっと変わらない。
見た目は、白馬に乗った王子様の馬のほうだけど、癒し系かもしれないなと、カンレキ過ぎてから思う。


※見出しのお写真、パルサーエクサターボだそうです!
検索にヒットしたことにまず驚いてしまいました。
愛好者の方に失礼な表現が満載で、ほんとうにごめんなさい。
でもこの車が私たちの始まりを見ていてくれました。
あらためて見ると、懐かしさがこみ上げます。
このエクサと、当時の夫のエクサは、「ターボ」ではないし
微妙にデザインが違ってます。
こちらの方が、断然、カッコイイですよ!!(ほんと)

出品者の方が検索できず、お断りなく載せています。
お写真、ありがとうございました。



コッシ―さん、すべり込みました!
書いていたら、むちゃくちゃ恥ずかしくなりました。
なんてことさせるんですか!!(笑)
って、書いている私も私ですね。

遥か彼方になった記憶を掘り起こして引きずり出したので
なんか、とりとめのないものになりましたが、夫への視線が
ちょっと優しくなりそうです(V)o¥o(V)

素敵な企画、ありがとうございました。

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