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スカートと白髪染め

私はスカートを持っていない。
礼服はスカートだが、滅多に穿かない。

学生時代には穿いていた。
結婚してからもしばらくは穿いていた。
しかし、長男が障害を持って生まれ、生活の全部に介助を要するので
スカートは自然に穿かなくなった。
と、言いたいところだが・・・

ある日、長男とともに実家に遊びに行って、座布団に彼を寝かせた。
座布団にナナメに寝かせると、丁度、頭からつま先までが収まる、まだ「赤ん坊」の頃だった。
ひとしきり父や母と雑談をして、さて、家(近くのアパートに住んでいた)に帰ろうかなと、長男を抱っこしながら立ち上がった。

すると、なんてこった、その日穿いていたスカートも一緒に、抱っこしてしまったのだ。
裾の長い、フレアースカートだった。
それを、ぺろんと、長男と一緒に抱き上げた。
つまりめくりあげてしまった。

あ~~~~れ~~~~~!!(*ノωノ)

なのだ。

幸い父も母も台所へ行ったままなにか話していて、すぐ隣の部屋で私がとんでもなくはしたない姿で慌てふためいていることには、気づかなかった。

慌てて長男を下に降ろして、今度はちゃんと、長男だけを抱き上げた。
私がスカートを穿かなくなったのは、こんなうっかりからだった。

もしスカートと長男を一緒に抱っこしたまま
知らずに外へ出て、町を歩いたとしたら・・・なんて思ったら
金輪際、スカートは穿かないぞ!と決心したのだった。

以来三十有余年。もう、スカートを穿く感覚も忘れてしまった。
でももう一度、穿いてみたい気もしている。

きっとウェストが苦しいだろうなぁ。
胃下垂でウエストらへんに胃がありそうだし(笑)
ウエストのない、A型ワンピースのようなのならいいのかな。


先日久しぶりに髪の毛をカットに行って、美容師さんに
「こないだ、声優の山寺宏一さんが、素敵に髪の毛を染めていたんですよ。
たしか同い年なんですよね。あんな風に(徐々に白髪に移行)できたらいいなぁと思って」
なんて話をした。
美容師さんは「いやいや、白髪染めをしなくなると、毎日手入れに気を付けないと、山姥みたいになりますからね!」とけん制された(笑)

あーあ。
毎日手入れには自信ないなぁ。
作家の角野栄子さんや、俳優の手塚理美さんみたいに
綺麗に白髪に移行できたらいいな。
そうなったら、私も今まで選ばなかった色やデザインの服を
毎日とっかえひっかえ着てみたいんだけどなぁ。

メッシュのショートカットにして、綺麗な色のフレーㇺのメガネにして
明るい優しい色の口紅をつけて。
ごく小さなピアス。ネイルもしたりして。
そしてらくちんそうなAラインのワンピースを着る。
ぺたんこ靴を履く・・・なーんてね。


今日も毛糸の帽子をかぶり、つまらない黒の防寒着を着て
黒い長靴をぶかぶか履いて、猫背でマル太郎の散歩をした。
裏ボアのモコモコしたズボンを穿いて。

どこから手を付けていいのかわからないくらい、おしゃれには遠くなったと感じる毎日である。
のである。



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