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お月さんの思い出

前回使わせていただいたお月さんの写真。

こんな美しい満月を見ると思い出すことがある。

次男がまだ保育園の頃。


障害を持つ兄や姉がいると、下の子は、親も想像できないような寂しさや、割り切れなさを持つと思う。

私は、それを思いながらも毎日の長男との付き合いに疲れて、次男のことは、近くに住む実家の両親の応援に頼ることが多かった。

両親は孫可愛さと、不憫さもあって、本当によくしてくれた。

次男も、普段見ている限りは、不満を抱え込むような風には見えなかった。


ある夜、家族でリビングに居て、夫は長男を抱っこしてテレビなど見ていた。

私は夕ご飯の片付けをしていたと思う。

ふと窓の外を見ると、大きな満月。

「〇〇(次男)、ほら、大きなお月さんだ」

次男はすぐに窓に張り付いて、じーっと眺めた。

しばらく眺めていたが、ふと月に向かって、「ねえ、お月さんもお母さんが好き?」とつぶやいた。

私はドキッとして、とっさにどう答えていいのかわからなかった。

「うん、好きだと思うよ」と、言ったかもしれない。

そのあといろいろに考えた。

単純に、意味通りに、お月さんも(お月さんの)お母さんの事が好きなの?と聞いたのかな。

でももしかして、お月さんが窓から我が家を見ていて、

「お月さんも、僕のお母さんが好きなの?」と聞いたのかな。

もしそうだとしたら、それは次男の寂しさが精いっぱい、表現されているのだと、切なくなった。

窓からいつも母親を見ているような、届かない恋しさ。

長男を育てることでいっぱいいっぱいになっている母親を

そんな思いで見ていたのかも知れない。


次男は繊細な子なんだと思う。

感受性が強いが、表現は遅くて少ない。

ある時、やはり次男が保育園のころ、私は布団をかぶって泣いていた。

多分、長男を地元の小学校へ通学させたいという希望が当時はとんでもない願いで、教育委員会からは「この母親はラクがしたいだけなんだ」と思われている、なんて噂を、わざわざ電話で知らせてくれた人がいて、その理不尽な話にショックを受けて、泣いてしまったと記憶する。

すると次男は布団をのぞいて「また朝が来るよ」と言ってしばらく傍にいてくれた。

なんだろう、このグッとくる励ましは。

私が、夜が怖くて泣いているとでも思ったのかな。

不思議に思いながらも、こんな小さな子の前で泣いてしまったことを反省した。心配させてしまったことを反省した。

お月さんを見ると、こんな30年も昔のエピソードを思い出す。


※イラストはkidsnacoさんの作品を拝借しました。

優しい絵柄が大好きです。

kidsnacoさんのイラストを見ていると幸せを感じます。



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