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今日もマル太郎さんと歩く

マル太郎は、14年前の秋にうちに来た。
娘のハンスト付きの「犬ほしい」に負けて
ネットで探して、県内のショップに見つけた。

次男の初めての大学祭を見に行って
その帰りに、マル太郎を連れて家に帰って来た。
いかにも日本犬の子どもという風情で
まるっこくて、コロコロして、可愛かった。
よく遊んで、しょっちゅう家の壁紙や床、スリッパなどを
ビリビリボロボロにした。
構わなくても、勝手に転げまわって、勝手に眠る。
眺めているだけで面白かった。

きゃわゆいっ💗

1才前に去勢手術をした。施術後しばらくは大人しくなり
目の輝きがかげった気がした。
なんか、マルに対して、とりかえしのつかないことをしてしまったと
それまでとは打って変った元気のなさに、後悔することしきり。

しかし、数週間後には復活し、またスリッパを振り回し、ちぎっては投げ投げてはちぎり、いくつダメにしたことか(投げはしませんでしたね)。
アパートに住んでいたので、鳴き声や、ふいに外に駆け出すかも、など心配は多かったが、滅多に吠えなかったし、戸締りは私が死守していた。

だんだん年齢が進み、今の家に引越した。エレベーターに入ったら危険なので、柵を設け、さらに、常にリードをつなげている。軽めの長いリードをいつも引きずっている(うちの住人の2人ほどが、いくら言っても、玄関への戸を開けっ放しにしがちなのだ)。

やがて、リビングの一人掛けソファが、とうとうマル太郎のものになった。
ひたすら掘りおこして、穴をあけ、その穴をだんだん大きく広げて
自分のねぐらにしてしまったのだった。

朝夕の散歩が、私の仕事だ。マル太郎はその時以外は、排せつをしない。14才になるが、幼時をのぞいて、一度も屋内でしたことがない。だから嵐でも大雪でも、外で済ませなくてはならない。

日中はいつも一緒にいる。長男が在宅だったときは、せめてサービス利用している時間帯くらいは何もしたくないと、ちゃんと遊んでもやらなかった。
さすがにそれだと可哀想だから、たまに、ボール遊びしたり、稲刈りあとの田んぼでかけっこしたこともあった。

そうこうしながら、私もマル太郎も高齢化していった。
長男が施設で暮らす今も、とくに遊んでやっていない。お風呂は身構えるがちょっとは刺激になるようだから、遊び代わりにしている。
ブラッシングは好きだけどすぐにどこかに歩き出すから、追いかける私がすぐにいやになるし、腰も痛くなる。お互い、根気がつづかない。

この頃、散歩中に後ろ足をひきずることがあり、動物病院に連れて行った。
ひきずる側の腰が痛いという場合があるらしい。痛み止めが出た。
痛み止めの効果か、ひきずるほどではなくなり、距離は縮めて散歩している。
マル太郎は動物病院が大好きなので、予約外来でまた2週間後に行けるのが嬉しいだろう。
受診後も帰りたがらないので、進まぬ歩みをなんとか引っ立てて、汗だくで家に戻る。動物病院の先生と、助手のお姉さん2人が大好きなのだ。散歩のルートなので、そこでずっと立ち止まることも多い。

14才と言えば、じゅうぶんな高齢だ。人間にしたら、70才台と言われる。
15才になれば、市から表彰されるくらいだ。
あまり相手にもなってやらず、遠方にドッグランなどあっても、車に酔うから行かなかった。だからといって、車に慣れさせるような対策もしてやらなかった。ほんとうに、飼い主としては、ダメダメだった。
だけど、吠えることもなく、ストレス性の行動もなく、ずっと穏やかに暮らしてくれている。

この頃は、私のいる所にいつも一緒にいる。部屋へ行けば来るし、リビングでPCに向かっていればすぐに移動してくる。トイレから出ると近くまで来て「待て」の姿勢ではべっている。
かわいいなと思うが、多分、体の衰えを感じて、不安になっているのだろう。私を視界に入れておきたいのかなと思うと、切ない気がする。

いつか、多分近い将来、マルはいなくなる。
散歩しながら、その背中を見ながら、リードに引力を感じながら、考える。
お互い、一緒にいるだけでよかった。安心できた。私は姿を眺めて、どれだけほっとできただろう。
マルが出発するそのときには、ずっとずっと、そばにいてあげよう。

と、ふと感傷的になる夕刻。
でも、まだまだまだまだ大丈夫。
明日も明後日もその先も、一緒に散歩しようね。



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