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田んぼは冬


田んぼは冬真っ只中。
春先から初雪の頃まで、世話をし、見守ってきた田んぼも
もうすっかり雪でおおわれて、眠っている。

娘のいる会社は、米作りだけでなく、野菜や果物、豆、豆製品、もち米製品など国産原料にこだわって、品質のよい商品を作っている。
昨年、こんにゃく作りも始めた。
田んぼ班も、冬場はこちらの仕事になるのかな。
そう思っていた。

農業やとび職など、戸外で仕事に従事する人の多くは、このへんでは、雪が降ると除雪作業に需要がある。
でもまさか、うら若き娘っ子にそれをさせることはあるまい。
と、親心満載で考えていたが、甘かった。

娘はすでに秋口から、冬季はコンバインやトラクターの整備をしたいと希望を伝えていたが、あろうことか、屋根の雪下ろしもすることになった。
屋内で団子作りするよりも、そっちがいいと、臆することなく毎日やっている。
1日に3軒ほどの屋根雪おろしをする。
3~5人のチームで動く。

先日は、一緒に上っていた女性がブルーシートに滑って落ちそうになって
娘がとっさにその人が持っていたスノーダンプをつかまえ滑落を止めた。
こないだは、屋根のへりの雪にスノーダンプを差し込んだら、そこに左右3メートルくらいの幅でひびが入り、娘は反射的にダンプを手放した。
ダンプは雪と一緒に落ちた。

そんな話を何度も聞かされて、こちらは事後報告なので、肝を冷やす。無事でよかったと、神様に感謝する。
「そうやって慣れて行くんだって」と娘は言う。

まーね、たしかにそうだよね。
やりたくてやってる仕事なのだ。
娘の運を信用するしかない。


雪下ろしが終わると、あとの時間は農機の整備だ。
会社には大きなコンバインが2台、トラクターも何台かある。
コンバインはたくさんのパーツに分解して掃除し、組み立てる。
1台につき1ヶ月半かかるとか。
2台終われば春の田んぼが始まる、という寸法だ。

今までは先輩が1人で担当していたが、娘はそれがぜひしたいと、弟子入り?したらしい。
会社としては、加工食品作りに手が欲しいところだったが、若手の育成という意味もあってか、容認してくれている。
最初は「わがままな新人」と陰口も言われたが、今は収まっている。
「ちゃんとやる事やってれば、みんな黙るよ」と言うしかなかったのだが、そうなってくれて、ありがたい。
でもまだ時々、社長に怒鳴られては、周りから励まされることもあるようだ。(この社長がまたわからずやらしい。みんな何度か怒鳴られている)
この頃は言い返す事もあるというから頼もしい😆


この冬は、夫が次男に除雪機の運転を教えている。
慎重でインドア派の次男は、おっかなびっくり、でも高齢化する親を見てその必要性もよくわかり、頑張って教わっている。
先日は自分から肩慣らしに家の周りをやってくれて、私は内心ホクホク。
夕方、夫にサラッと報告したら、思いのほか喜んでくれてまたホクホク。
娘は、雪の降り始めから、自分も運転したいと言ってワクワクしている。


年が明けて寒波襲来。
大雪予報が出ていて、今朝は、夫が出勤前から除雪機を出した。
(*こちらは新潟県の豪雪地域です。ちょっとわかりにくかった部分を編集しました。1/23)

娘は雪道を一山越えて職場に行かなくてはならない。
「すごく降ってる。途中で引き返すことも考えてね」と言って送り出す。
ほんとは「こんな日は休めないの?」と言いたいところをぐっと我慢。

娘も不安だけど行くんだから、そんなこと言ったら怒られるよね。
臨機応変な判断をしてくれるよう願うのみ。





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