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ケッ!!

こんにちは。私は名前のとおり、取り立てて特徴も取り柄もない、漠然とした人間なのですが、こちらの企画に、ある記憶がよみがえりました。

相手は子ども。
なんて大人げない大人なんだとお思いかも知れませんが。

こんなバクゼンと生きている私が、ハラワタが煮えくり返るほど、怒髪天を衝くほど、コンニャロ!!だった記憶です。


次男は保育園時代からぽや~っとした雰囲気で、好きな事は工作。
日がな一日好きな事をして、ゴキゲンに過ごしていました。
小学校に上がり、かなり運動面では遅い、苦手、辛いという、いわゆる運動オンチなことがわかってきます。
1学期も終盤に近づき、初めて体育としてのプールも始まり、苦手意識が上塗りされて行きました。

その頃私は、長男と一緒に当時の特殊学級(今でいう特別支援クラス)に
午前中だけ、通学していました。
3年目のその年は、クラス担任が「お母さんは、別室に待機していていいですよ」と言ってくれて、だいぶ心身ともに楽になって来ていました。


夏休みが近づいて、プールの記録会のようなものが行われました。
全校児童がプールを囲み、クラスごとに体育座りで、自分の番以外の時間は応援します。
担任が「お母さん、次男くんの泳ぐの見たいでしょう?」と声を掛けてくれて、私もプールサイドで応援することになりました。
次男が水泳が苦手なのを知っているので、少しハラハラと、でも楽しみに、見ていました。

いよいよ番が来て、低学年は飛び込まずに、プールの中(飛び込み台の下)に整列してスタートです。
6列でスタートしましたが、次男は少し浮いては歩き、浮いては歩き、当然一番遅くなります。ほかの5人がゴールしても、まだプールの真ん中で、浮いては歩きをがんばっていました。
私は心の中でハラハラ、でも、がんばれがんばれ!!と繰り返して見守りました。
プールサイドからも、「がんばれー」など、パラパラと声がかかります。

その時にくっきりと「〇〇、サイテー―!!」と、聞こえました。笑い声と共に何人かがそう叫んでいました。
全校児童が取り囲むなかで、ポツンと一人、逃げることもできず、嘲られている次男。

はっ?今の何だ?
カーーーーーーッと頭に血が上りました。
声を発したあたりを睨みつけると、同じクラスのリーダー的な子が率先して叫んでいました。手をぱちぱち叩きながら他の数人がせせら笑っている。

次男はそれでも、浮いたり歩いたりしながら、ゴールしました。
その時は周りから、ねぎらいの拍手が起きていました。
私は涙が出そうになりながらも、怒りで、やけに拍手しました。
手が痛くなるくらい拍手しました。
心の中で「テメー、ぶっ飛ばしてやる!!」と叫んでいました。

その日のうちに、私は次男の担任に抗議しました。
担任は、翌日、そのことを学級で話してくれたようですが
ソイツが個人的に注意を受けたわけではなかったのでした。


まあ、子どもの集団にはよくあることですけども。
わたしゃ大人ですから、しつこく食い下がりはしませんがね。

けど、腹立つのりーーーー!!


それから20年近くが経過し、ソイツをあるスーパーで見かけました。
ソイツはずっと優等生でスポーツマンで、教師になっていました。
いじめっ子だったけど、長じて素晴らしい教育者になるなんて話は、多くありますね。その子にだって、いろんな経験や転換もあったことでしょうね。
あの時叫んでしまったことも、きっとチクリと良心を刺す思い出に変わっているでしょう。


それでも私は、遠目で眺めて「ケッ!」と胸糞悪かったのでした。


ああ、大人げない大人げない。



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