見出し画像

髪の毛の虎馬

子どもの頃、夏になると怖いテレビドラマがあった。
まだ祖父母の部屋で寝起きしていた頃で、小学校低学年くらいだったと思う。
「怪奇十三夜」というタイトルは忘れられずにこの年齢まで来た。
孫が怖がるのを宥める年齢かな(笑)

牡丹灯籠や、四谷怪談、番町皿屋敷、といった古典的な怪奇譚のドラマ版だった。今やどれもごっちゃになって、どこに誰がどう出てくるのかわからなくなっているが、こうしてタイトルを打つだけでもなんだか背中が寒い気がする。

多分、牡丹灯籠かと思うが、主人公のクズ男が浮気をして、恋人を殺める。あ、その前に何かの毒物を服用させて顔がひどく腫れあがるんだった。それから殺してしまって、池のほとりでその女にしがみつかれる場面。
いまだに脳裏に焼き付いている。
池の中から、水草や泥だらけの女の手が伸びてくる。
それには腫物で抜け落ちた長い黒髪がびっしりと絡みついている。
男は次の瞬間、その濡れた髪の塊に足を取られて、みたいな。
ひゃわわわわわわ!!
これ書くのも怖い(ひとりジタバタ)。

このドラマはシリーズで毎週だったか毎月の第〇金曜日だったかに放送されていたが、私は布団を被って全力で見まいとした。
当時、テレビは茶の間にあり、茶の間で祖父母と寝起きもしていたもんで、イヤでもその部屋からは逃げられない。部屋の外なんかもっと怖くて行けない。家族の近くにいようとすれば、どうしても音が聞こえてくる。

家族がみんな、お茶を飲みながらドラマを見ている。怖い怖い言って楽しんでいる。私は真夏なのに布団を被って汗だくで隠れている。
こんな夏の夜が永遠に続くかと思うほどに、「恐怖の十三夜」だった。


そのぐっしょりと濡れて絡みつく髪の毛は、私にとって一生ものの嫌悪感になってしまった。
いまだに貼り付く髪の毛がいやでいやで仕方ない。
そんなの誰だって好きなわけないが、風呂場の排水口の目皿なんか、吐き気を催すくらいの嫌悪感がある。
髪の毛はただでさえ、何らかの重く淀んだ思いをまとって見えなくもない。

ごあいよ~~~!!(´;ω;`)

そう言えば、生協のチラシ(また出た!生協チラシネタ)に、排水溝掃除のブラシが出てくる。使用時の写真が載っている。
こ、こ、こ、これがね~~、すごいんです。
一回見ただけで、うぎゃああああ~~!だったのです。
(そんなに髪の毛詰まるか!?という冷静なツッコミもしつつ)

「怖いもの見たさ」という言葉があるが、私は「怖いもの見ないさ」なので、この広告は目をそらして、隅に押しやる。
こんなにゴッソリ出てきたら困るので絶対買わない!



くなんくなんさんからご指摘を頂き、「牡丹灯籠」は「四谷怪談」の勘違いでありましたことを、ここに訂正いたします<(_ _)>
くなんくなんさん、ありがとうございました(^^)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?