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ハクション大魔王2020「新しい主人公の形」

土曜の夕方、なんの気なしにテレビを開けたらハクション大魔王のアニメがやっていた。ふーん、昔やってたアニメの復刻版かと思ってつけっぱなしにしていたんだけど、どうやらタイミングよく1話を見ていたらしい。

そもそも1969年に放映されていた初期のストーリーもよく知らないんだけど、そんなに難しい設定でもないので見ていたら大体わかってきた。

ハクション大魔王が魔界の立派な王様になるために、修行として人間界に住むカンちゃんのもとにやってたのが初期のアニメ。
今期のアニメでは、その50年後の世界でハクション大魔王の娘のあくびちゃんが、修行のためにまたもや人間界にやってきて、初代カンちゃんの孫、二代目カンちゃん(わかりにくい)と出会う。

ハクション大魔王が初代カンちゃんを魔法で助けながら自身の修行をしたのと同じように、あくびちゃんも二代目カンちゃんのことを魔法で助けてあげようとする。
ってとこまでは大体王道のストーリーじゃないですか。

そんであくびちゃんがカンちゃんに聞くわけ
「カンちゃんの夢はなに?」「なんでも助けてあげるから言って!」
するとカンちゃんが言うのよ

「夢なんてないよ、僕は家でのんびりできればそれで良いんだ~…」

えっ!ないの?魔法でなんでも叶えてもらえるのに⁈

だって、のび太はドラえもんに宿題終わらせて欲しいし、おつかいは手伝って欲しいし、ジャイアンのことはやっつけて欲しい。
アラジンはジャスミンを振り向かせるためにジーニーの力を使うし、
カツオだって目の前に魔法使いが現れてなんでも言うこと聞いてくれるって言ったら、なんか割っちゃった盆栽を直してほしいとか、カオリちゃんが自分に惚れますようにとか、そんなこと願うでしょ?
それを叶えるのがポンコツ主人公の元に現れる魔法使いの役目でしょ?

なのにカンちゃんはなーんにもして欲しくないんだって。
漫画を500冊あげる!って言ってもスマホで読めるからいらない、
将来の夢もない、好きな子もいない、欲しいものはなんでも手に入るから、ただ家でのんびり過ごしたい。だから何もしないで!

って言われてあくびちゃんはびっくりするんだけど、

わたしもびっくりしたよ。

わたしじゃん。カンちゃんよ、わたしじゃん。

特別高級なものが欲しいわけでも、毎日外食したい訳でもない。誰かに夢を語るほど好きなものってないし、欲しいものはお給料の範囲内で自分で買う。スマホがあればなんでも調べられるし、YOUTUBEで好きな芸人の漫才見てれば笑ってられる。
振り返ってみるほどの美人ではないけれど、後ろ指さされるほどブスでもない。多くはないが、それなりに付き合いが長くてなんでも話せる友人が数名。

満ち足りているようで、なんにもない。
目の前にいまランプの魔人が現れても、わたしきっと何を頼めばいいのか分からない。

昔から要領が良いタイプで、なんでもちょっとやれば人並み以上にできたので、何事も突き詰めることをしてこなかった。
別にこれでもいいんだけど。何か不都合があるわけではないんだけど。

けどあくびちゃんが言うので
「そんなんじゃダメだよ!」「なにか夢を持たなきゃ!」

そうなの?やっぱり駄目なの?

結局あくびちゃんはカンちゃんに頼まれてもいないのに
「カンちゃんの夢を見つける手助けをしてあげる!」って言って1話が終わるんですけど。

なんか知らないけど、そうか、と思って。

何かひとつくらい夢中になれるものとか、大好きだって言えるものがあるのも悪くないなと思って。

なんとなく理想の自分と、現実の自分が少しずれた場所にいる気がして、ギャップを認識はしているのに埋められないことに、最近ずっともやもやしていたんだけど、

もしかしたら、足りなかったのはこれなのかもしれないなと思って。

ということで別に何もない、何者でもない、「普通」の私が、
何かひとつくらい好きなものを見つけるために、よくわからないけど、
いろんなことをやっていこうかなと言う。

それだけのために始めたnoteです。

わたしにはあくびちゃんはいないけど、
インターネットがあるので。

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