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宇多田ヒカルSCIENCEFICTIONツアーの感想

場所:大阪城ホール
日時:2024年8月27日

壮大な物語が実は微睡んでいる間の夢だった、みたいなコンサートだった。

「Automatic/time wil tell」は両A面シングルとして 1998年12月に発売された。 日本中が、当時小学生だった自分にも十分伝わるくらいの熱狂ぶりだった記憶がある。

その25年と半年以上後のSCIENCE FICTIONツアーのセットリストはtime will tellに始まり、時の流れに沿ったような曲順で様々な曲(20年以上披露されなかった予想外の曲も含む)が演奏された後、Automaticに帰ってくる。数日経って落ち着いて聴いてみると、逆順にしたほうがしっくりくるような、変わったセットリストだった。

コンサート自体が一瞬だったように、半ば幻だったように感じたのは作家としての宇多田ヒカルの意図したところだったのかもしれない。今回のコンサートどころか、それまでの25年が一瞬の出来事だったように錯覚するような不思議な体験だった。全てはシングルCDのAutomaticとtime will tellの曲間に一瞬見た幻、そんなことを思った。

ステージ上の宇多田ヒカル自身はそんな一瞬のなかでとても自然体だった。わざとリラックスしているように見せていたような気もするが、入手困難のチケットを握りしめ、一挙手一投足を見逃すまいとしている我々に対して「まあ、くつろいでいってよ」とでも言うような感じだった。

終盤で観客に向かって「あなたたちの25年を祝福する」と言っているのを聞いて、この人は25年以上ずっと“祝福”を続けてきた人なのだ、と気づき涙が出そうになった。

#宇多田ヒカル #SCIENCEFICTIONTOUR2024

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