十首「スウィートブルー」

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「スウィートブルー」

ぼくら花蹴散らし走りゆくファック&ピースで海へ抜け駆け

小説にすれば一ページの日々にいたきみの名に青い付箋を

水曜の夜の呼吸は不自由でこの部屋満たすうみの幽霊

いいね、花野の花死ねばまた花だ そんな呪いをきみにあげよう

星辰を壊そうとした方向の同じ切傷 撫でる、なんども

そのむかし心臓はいちご畑にあった、だって血はこんな赤いし

偽物でしかないぼくは真夜中の黒猫の手を握り続ける

結晶とならずただただ落ちる冬雨 ぼくらはじまりを恐れて

(一月でも雨って降るんだね)
まだ雪に降られたことのない人にうまく伝わらない「さみしい」が

朝焼けの部屋に繋がる手のひらの世界に温度ただひとつだけ

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