十二首「白い夢」

「白い夢」

永遠を眠る少女を真ん中にして金鳳花夜を灯せり

蜂蜜の流れる夢の涯にいる黒猫のその眼の黄金

怪獣として月光を遮りて汝れの眼は月となりしか

茉莉花の咲く横にいる雪女ただ祈る日がどうしてもある

けあらしの浮力で飛んで宙まで──白鳥はみな円錐となる

首長竜死んで墜落する脳(なづき)から産まれる 奇形の白花

偽物の輝きに沿いゆくときの偽のをんなの温度うつくし

ふたなりの鹿撃つ銃に桃実るかつて人にも生えしいろくづ

Principia Planetes 幽霊に来る残酷の朝少女にも

白百合に電流かよふわけもなく降るものすべて降るだけのもの

花筏より生まる龍昇りつつただ青いだけの空を壊せよ

永遠にゆうやけ赫い冬木立希望と呼んでなにが悪いか

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