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LIVE A LIVE×オクトラ大陸の覇者コラボの話

注) LIVE A LIVEを既にプレイされている方向けに書いています。
できれば、本コラボイベント前にLALをクリアしておくことをおすすめします。

力の入ったコラボが嬉しい

オルステッドの無料配布

昨年7月にSwitchで「LIVE A LIVE」のHD−2Dリマスターが発売されて少し時が経った今になり、おなじくHD−2Dの代表作「オクトパストラベラー 大陸の覇者」とのコラボが実装され、さらに今月末にはPS4/5およびSteamでの配信も決まり、近未来編のキャラデザをした漫画家の島本和彦先生がかつて出した同人誌をスクエニ公式で書籍化するというちょっとしたフィーバー状態となっている。実際私もHD−2D化をきっかけにLIVE A LIVEをプレイし、ゲーム性よりもゲームの持つテーマに魅力を感じた人間のひとりだ。

ちゃんとLALのフォーマットに合わせこんでいる

キングダムハーツ以外にあまりソシャゲをやってきた人間ではないので、一般に「コラボ」といえば、基本的にインカムを増やすために人気ゲームのキャラをゲームに登場させるのがメインであり、コラボクエストと銘打ったところで、そこまでストーリーに踏み込んだりなどはするイメージがない。実際、「大陸の覇者」においては「ブレイブリーデフォルト」および「ニーアオートマタ」の二つが過去コラボしており、前者は討伐依頼が常設化してるのもありキャラの設定面がわかるような話作りとなっているが、ニーアについては追憶の書で軽く触れている程度である。

公式の「if」ストーリー

その点、今回のコラボクエストはディレクターおよびシナリオライターの時田氏自らが公式に関わった「if」ストーリーであり、LALでもメインテーマである「中世編」のオルステッドとストレイボウをオクトラ世界に召喚し、彼らの人間関係にフォーカスをおきながら原作とは違った展開を見せるといった作品に仕上がっている。

あの時、彼らは何を思う

コラボストーリーは、中世編最初の闘技大会でオルステッドとストレイボウの決勝戦が始まり、決着がつく直前に謎の闇に飲まれオクトラ世界のオルステラに飛ばされるところから始まる。「if」ストーリーとはいえ、内容自体は本筋と大きな変化があったわけではないが、表面上は昔ながらのRPG的な無機質さを持っていた「中世編」にキャラの心理描写が加わっていて、ある意味原作の「答え」を書いてくれているようで非常に良かった。

饒舌なオルステッド

LAL中世編におけるオルステッドは「プレイヤーの分身」であり、人の自分勝手さや裏切りを機に「信じる心」を失い絶望し新たな魔王と化すまでは決して自分の意見を表明するような人物ではなかった。しかし、大陸の覇者コラボにおいては「プレイヤーの分身」は聖火神の指輪に選ばれた主人公が傍観者であるため、LAL中世編のキャラクターたちが自らの思いや感情をあらわにする。オルステッドが多弁になっているのはもちろん、「籠の中の小鳥」で、ただのアクセサリー的な存在でもあったアリシア姫でさえ、この世界では活き活きとした人物となっている。

ストレイボウの心理描写もよりビビッドに

LALのキャラクターの内面が強化されたため「ストレイボウはどうしてオルステッドに多大な憎しみを抱くようになったか」という過程がよりよくわかるようになり、先日のLAL原作の感想記事でも書いた「オルステッドの無自覚な強者性がストレイボウを闇堕ちさせた」ことが、実際のところ両者のタイマン試合で「オルステッドがとどめを刺そうとする際は手を抜く(ように感じさせる)」や「技前に相手に備えさせるよう喚起する」といった描写でよりはっきりとわかるようになっていた。

恒例の「あの詫び」ももちろんあるよ!
アリシア姫の視点

そして、一連のストーリーにおいてまさに「トロフィーワイフ」であったアリシア姫の内面描写についても追加され、彼女は決して御前試合で伴侶を決められるような人生を求めておらず、自分で自分の人生を歩むことができないという絶望を抱えているという設定が追加されていたのがある意味新鮮だった。本当に世間知らずで、ストレイボウに状を絆された挙句自分を救おうとするオルステッドの前で自害するという結末を迎えた原作の彼女とは別人のように感じたが、その分納得感が高かった。

オルステッドも別の展開で「魔王化」する
それが聞きたかった

最終的に、彼らは戦いを通じて自らの持つ「憎しみ、嫉妬、絶望」といった闇の感情にケリをつけることができ、もとの世界に帰ることになる。そして、中世編のオープニングの闘技大会の決勝戦まで戻ってきた彼らは、オルステラに飛ばされる前とは異なり前向きな感情を持って「手加減なしで戦う」ことを宣言し、戦闘を始めたところで話は終了となる。そこから誰が勝ったとか、誰がアリシア姫とくっついたかといったものを描写するのは野暮で、そこからはストーリーを見たプレイヤーの解釈に委ねエンディングを迎える。少なくとも、原作のような悲劇的な結末は避けられ、ルクレチアは滅ぶことはないことは容易に想像ができる。

LAL「新約」中世編

魔王山の頂上には、ただ像が佇むのみ

LAL中世編のひとつの「答え」がまさかオクトパストラベラーというプラットフォームで提示されるなど、誰が予想できたのだろうか。今回のコラボで中世編「だけ」が選ばれたのは決してオクトラの世界観(剣と魔法のRPG)と合致しているからだけではなく、LALの作品でも一番根幹となる中世編をオクトラ世界の設定を利用しながら、よりわかりやすく、言うなれば「新約」中世編となったのが今回のコラボが持つ大きな意味だったのだろうと、勝手に感じている。すごく良かったです。

おまけ

魔王化は同キャラ判定ではない

魔王キャラ含め、全員引きました。ちゃんと魔王化したほうはセリフ通り「オルステッド/ストレイボウではない」ので、同パーティ編成ができるようです。

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