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ゼルダの伝説BotWをプレイしました

傑作の「オープンワールド」

本ゲームは2017年3月3日、Nintendo Switchの発売日に出たローンチタイトルで、ゼルダシリーズ初の「オープンワールド」アドベンチャーとなったゲームである。恥ずかしながら今までゼルダシリーズをプレイしたことがなく(というか私のゲーム人生で任天堂の据置機はスーファミ→Switchのため、ゼルダシリーズをやる縁に恵まれていなかったとも言える)、専らプレイ動画勢で「ゼルダの歴史は時オカで分岐して〜」みたいなクソにわかだ。とはいえ、発売後に周囲の友人がプレイして「これは絶対やったほうがいいゲーム」「記憶をなくしてもう一回最初からやってもいいゲーム」とまで言われて、興味が出ないわけがないため、Switch購入時にニンテンドーカタログチケットの2本のうち1本をこのゲームにした。

厄災ガノン初回討伐時の達成率は40%に満たなかった

結論から言えば、バチくそにおもしろかった。プレイ時間はこの記事を書いた時点で130時間を超えたところだが、遊ぼうと思えばまだ遊べる。最初はもしかしたら合わない可能性があるかもと思い、エキスパンジョンパス(DLC)を購入せずに進めていたのだが、今思えば最初から買っといてワープマーカーをさっさと解禁してたらもっと効率よくプレイできたよなって感想です。なお、この記事を書いている時点で「剣の試練」はまだクリアしていません。序位からむずすぎんか…?あとマスターモードは怖くて手が出ないです。とはいえ、一応ひと段落したので、このゲームについての感想を書いていこうと思う。

このゲームの良かったところ

とにかく「オープン」であること

このゲームが出た時期(2017年付近)の「オープンワールド」といえば、シリーズ初のオープンワールドアクションRPGとなった「ファイナルファンタジーXV」や、私が好きな「Horizon Zero Dawn」、他「Skyrim」「Assasins creed」などどちらかと言えば洋ゲーの方が面白いオープンワールドを作っているというイメージがあったし、FFXVで言えばそこまで移動の自由があったわけでもなく、加えて途中からは一本道になる「オープンワールド()」のゲームだった印象が強い。

チュートリアルの場「始まりの台地」

その点、ブレワイは本当の意味で「オープンワールド」である。主人公リンクが目覚めた「始まりの台地」で各種チュートリアルを受け、空中滑空用のパラセールを入手し台地を発ったその時から、眼前に広がる世界すべてが探索可能な地となる。ゲームの最終目的「厄災ガノンの討伐」を達成するまでの道程はすべてプレイヤーの意思に委ねられ、やろうと思えば降り立った平野の奥に聳えるハイラル城にいきなり乗り込んで厄災ガノンと対峙することだって可能だ。もちろん、普通のプレイヤーであれば到底倒すことはできないので、基本的にはこの広大な世界をひたすらさまようことになる。

見えてる崖はすべてつかめて登れる

オープンワールドと銘打っても、立ち入ることができない場所があるのがこういう類のゲームの常であるが、ブレワイはそうではない。マップ外縁の立ち入り禁止エリア以外のすべての場所に侵入ができ「これ以上進むと前のセーブデータから再開することになります」といった鬱陶しい通知が出る事もなく、眼前の崖や柱はすべて取りつき、がんばりゲージの許す限り登ることが可能である。2022年のHorizonシリーズの新作で崖登りが可能になったとはいえ、すべてがすべて登れるわけでもないし、それを5年前の2017年に実現しているのがとにかく驚きである。

DLCの足跡マーカーは本当に良い

そしてこの広大な世界は100時間ぽっち移動したところで到底埋め尽くせるボリュームなどではなく、あらゆる場所に探索要素が散りばめられており、収集大好き人間を数か月沼らせることができるレベルで、それこそ1データの達成率を100%にしようとするものなら、それこそ数百時間を必要とするのではないだろうか。私はコログが900個あると知って収集を諦めました。1個3分で計算しても45時間かかる計算ですから。。。

ゲームプレイの「誘導」の良さ

各地方の塔からマップデータをダウンロードする
「祠」はワープポイントとなり探索の助けとなる

このゲームは「自由すぎる」がゆえに、ゲーム内でも目標もざっくりしたものであり、プレイヤーは次の小さな目標を見失いがちである。それを支えているのが、各種「塔」によるマップ解放、およびリンクの各種アクションの練習をする「試練の祠」である。迷ったときは先ず、とにかく高いところに登り、シーカーストーンの望遠鏡機能で塔を探しマーキングをする。塔はそれ自体が高い建造物のため、目下に広がる景色から次の行先を決める助けにもなるし、視界に試練の祠があればそれをクリアせずともワープポイントとして登録だけしておくこともできる。

祠は知恵を駆使したアクションパズルの場

試練の祠は「シーカーストーンに組み込まれた各種機能を使ったアクションパズル」「戦闘訓練」および「祠を探すこと自体が試練」の3つに分かれており、個人的には一番好きなコンテンツである。クリアすることで良い報酬、そしてリンクの体力およびがんばりゲージを強化できるようになり、プレイヤーのアクションの向上とともにリンクも成長させることができる良い要素だと思う。というか私は敵と基本的に戦うことなくひたすら祠ディグをし続けていた。

ツールと知恵を活用しよう

ブレワイ世界のオーバーテクノロジーのスマートデバイス「シーカーストーン」には「無限に使える二種類の衝撃爆弾」「対象物を止めて、その間に運動エネルギーを蓄積できる機能」「金属を引き付けて自由に動かせる機能」「水場から氷柱を作り出す機能」および「撮影機能」が備わっている。試練の祠をプレイしていくことで、これらの機能にはどのような拡張性があるかの理解度を深めることができ、それを敵の戦闘にさえ活かすことができる。もちろん、ものによっては正規のルートとは異なるやり方でクリア可能であることも想定されており、DLC抜きで120個もある祠のうちいくつかは、おそらく正規の手段でクリアしていないと思う。

「塔」や「祠」は、実際ほとんどがクリアに必要のない要素ではあるが、このゲームをクリアするには報酬面でもやっておいた方がいいし、ゲームをよりわかりやすくするよ。という押しつけがましくない誘導の仕方が巧みだと感じた。

「環境を利用する」ことへのこだわり

各種環境変数を理解することが大事

平原、雪山、湿地、森、海岸、山岳地、砂漠、火山といった豊富な地相を余すことなく楽しむことがこのゲームの醍醐味であることは間違いないが、このゲームのすごいところは、フィールドの環境変数がプレイングにきっちりと影響されることである。この手のオープンワールドゲームにおいて、オブジェクトの物理的な挙動を計算的に動かしているのは多いし、ブレワイも例に漏れずそうなのだが、ブレワイはそれに加えて「気温」「天気」「騒音」といったパラメータもきっちりとゲームに反映している。よくあるのが、主人公が寒冷地に行ったら「寒い!!」と言いながら寒がりつつもプレイングにはほとんど影響を及ぼさない(ピンピンしている)こと挙げられるが、リンクは気温を一定の閾値として「寒い」「寒すぎ」「熱い」「熱すぎ」といった状態異常を発症し、スリップダメージを受けるようになる。

衣装の防寒に加え「炎の武器」で寒さを一段階和らげることができる

こういった環境変化に対し食事や薬や装備のバフ効果によって対処することができるのだが、例えば寒いところでも火の傍に居れば寒さを感じなくなるし、その仕様を利用して炎の剣、氷の剣などを装備することによって寒さ・暑さを一段階緩和することができる。

火山地帯では防火装備と金属製武器で固める

ロケーションや天候についてもきっちりとプレイングに影響し、砂漠は一日の寒暖差が大きいため日中と日没後の装備を変更しないといけないし、標高が上がれば当然寒くなる。雨が降れば崖は滑ってとりつきにくくなり、雷だと装備している金属製の武器が落雷を引き寄せるため金属製の武器を外さないといけない。逆に火山地帯は木製の装備が問答無用で燃え、バクダン矢は発火点を超えていため装備した瞬間に爆発しダメージを受ける。など、それぞれの内容はシンプルながら、ただただ天候を設定しているだけではないという点が非常に面白いと感じた。

雨の日だとたき火をたくことができなくなる

他の環境の利用例として、炎が束になればそこに上昇気流が発生しパラセールで舞い上がることができる。金属製の武器が雷を誘発することを利用してマグネキャッチで敵上に配置することで雷を直接ぶち当てることができる。馬上の敵だけをビタロックで止めることで敵だけを馬から振り落とすことができる。など、ゲームの物理現象を細かく活用しており、それが非常に魅力的だと感じた。

あまり戦いたくないけど…

各種武器は無限に使えるわけではない

このゲームは武器及び盾に「耐久値」が設定されており、基本的に使い続けるといつかは壊れるようになっている。しかもそのライフサイクルは想像よりも大分短く、特に序盤はボゴブリンの敵陣に侵入し武器や盾を奪っては逃げる。といった泥くさいプレイングになる。中盤以降や終盤になると耐久値ボーナスがついた強力な装備を手に入れることはできるものの、いつかは壊れてしまう。伝説の剣マスターソードは例外的に壊れはしないが、ある程度使うと10分間のクールタイムが発生するため、あくまでも「再利用可能な剣」に過ぎず、装備品は常に更新が必要になってくる。

裸リンクは弱いことを思い知らされる試練もある

また、防具が揃わず祠をあまりクリアしていない最序盤のリンクは耐久面でも非常に貧弱で、敵に見つかって1回攻撃されただけで瀕死になる(通常モードだと最大体力時は常時きあいのタスキ状態のため一撃死はしない)ため、おそらく序盤は死にまくることになるし、他のゲームのように蛮族プレイをしようものなら、装備品がカツカツになりながら逃げ惑うことになる。そのため、このゲームは割と「敵と戦わない」ような立ち回りになりがちとなり、実際私も初めてライネルを倒したのがプレイ時間が90時間を超えたくらいになってしまった。

とはいえ、後半になって装備が充実していくと火力と耐久を重ねたカチカチリンク君になるので、今となっては序盤の貧弱リンク君のことは忘れてしまってる。

そしてカチカチリンクで厄災ガノンを装備品の暴力で倒したプレイヤーが剣の試練で装備品のない裸リンク君の弱さに絶望する。
ラッシュが取れると嬉しい

基本的には敵に見つからずに倒す、武器を先に奪って無力化する。燃焼や感電などギミックを利用して倒す、属性クリティカルを利用するといった知恵を使った倒し方をするほうが良く、正面突破だとどうしても数の暴力で負けてしまうゲームバランスになっていると感じた。とはいえ、ジャスト盾やジャスト回避によるラッシュといった「アクションの巧さ」を爽快感にするシステムもあって、ボス戦はどれも楽しめたと思う。雷のカースガノンだけ最初は面食らったけど。

ストーリーの「エモさ」

ガノン「こんなん勝てへん」

ガノンとの幾度となく繰り返された戦いにおいて、ハイラル側が勝利した未来。ただし、ガノンは「厄災」という実体のない存在となりハイラルを怨念で包み込もうとしていた。ハイラル側は過去の歴史に倣い、1万年前のロストテクノロジーを発掘しそれをガノン打倒に利用しようとしていたが、100年前の戦いにおいてガノンは逆にそれらのロストテクノロジー品をハックしており、それを理由にリンクたち英傑は敗北し、ハイラル王国は崩壊。致命傷を負ったリンクは「回生の祠」で100年間の眠りについていた。

100年の眠りから目覚めた英傑

100年後(ゲーム開始時)にリンクは目覚めたが、記憶がほとんど失われており、リンクは広大な世界を探索し神獣を解放する過程で、100年前の厄災、そしてゼルダ姫と旅した日々を思い出していく。

リンク視点

このゲームのストーリーで象徴的だなと思ったのは「主人公は完全無欠の無口な強キャラ」であることはあるあるとして、ムチムチのケツゼルダ姫が葛藤の多い女性として描かれているところだった。この手のゲームで姫さま(いわゆる神職キャラ)は戦闘面が貧弱であっても精神面や能力面はわりと完成されているというイメージが強いのだが、ゼルダ姫は父王や周囲の期待に沿えず、いくら努力しても祈りの力が身に付かないという「劣等感」を持つキャラになっている。そのためか、自身の役割に対し期待通りの活躍を見せるリンクに対しては劣等感を募らせる存在として最初は疎ましく思っていたりする。結局厄災ガノンが全てを打倒する前、リンクを守ろうとしたその瞬間に彼女は能力に目覚め、そこから100年間ガノンをハイラル城に封印し続けるという気の遠くなる人生を歩むこととなる。赤い月になるたびに切ない声でリンク…リンク…って呼ばれるたびにちょっと申し訳ない気持ちになるけど探索が楽しすぎてそっちに行く暇がなかったことを許してほしい(スキップ) 

チェッキー☆

加えて、100年前のリンクの仲間である「英傑たち」の存在もエモい。各種族から一人ずつ飛び抜けた能力を持つ人材を神獣を駆る「英傑」として任命したが、既に神獣はガノンにハックされており、英傑たちはそこで命を落とし神獣内に魂だけが閉じ込められた状態となっている。各英傑たちがどのような経緯で英傑となり、どのような想いでガノンに挑んでいたかという話は、DLC第二弾「英傑たちの詩」で詳しく語られている。

英傑たちとの別れ

ゼルダ姫や英傑たちの100年の想いがガノン討伐によって昇華されたことでこの話はエモいエンドとなっているが、よく考えてみると、回生の祠から試練の祠の一連の教育システムがリンク全振りでリスク分散とか一才なくて、このシステム考えた人の博打の仕方すげーなって思いました。というかハイラルのロストテクノロジーで神獣とかも冗長性もたせてハッキング対策とかできんかったんかな。

敢えてよくない点を挙げるとすれば

ハードの制約を悪用したバグ技もある

やっぱりハードウェアの制約上、720p30fpsであることや、ロケーションによってフレームレートが落ちる(たとえばコログの森)が不満点でもある。ゲーム自体の画面表現は解像度の問題が気にならないようになってはいるものの、60fpsで動くともっと楽しいんだろうなと最近のハイエンドゲームに慣らされている身としては思います。続編もおそらくグラフィックについては据え置きだろうし。。。

間違いなく愛されるゲーム

ある程度ゲームをプレイして、攻略情報や動画を見ていると、このゲームの「研究されっぷり」の凄さに驚愕する。やりこみ、RTA、物理法則を悪用したトンデモムーブ、ゲームバランスを崩壊させるバグ技など、発売から5年以上経っても常に新しい動画が上がっている。
どこかの誰かが言っていた「良いゲームの条件」として、

  • 絵が良いと手に取ってもらえる

  • システムが良いと続けてもらえる

  • 音楽が良いと思い出してもらえる

というのを挙げられていたが、ブレワイは間違いなく「システムが良い」といった面でとにかくやりがいがあるゲームであると感じた。音楽については場面ごとのつなぎやパートの増減があまりにも自然すぎて注意深く聞いてないと本当に気づけないレベルだったので、実のところそこまで耳に残ってはいない(といっても、オープンワールドのフィールド曲ってなかなか覚えられないような気がする)

おそらく時間の都合上、マスターモードには手を出さないとは思うが、来春に発売予定の続編「ティアーズオブザキングダム」が発売されたときにスムースにプレイができる状態にはなっているので、楽しみである。新作の存在自体はずいぶん前からあったように思うが、続編の発売に6年かかっているのも、ブレワイのクオリティに比肩する良いゲームを作らないといけないという意思の表れなのだろうと勝手に思っている。テイザーを見る限り、高さ方向への探索がさらに拡張されており、それだけでも前作よりボリュームが増えているように感じる。

個人的には、Switchを持っているならマストプレイのゲームだと思います。

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