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#1 マルチハザードBCPの意義と目的

Attention !】マルチハザードBCPは、筆者が2020年より啓発・普及に力を入れている全方位リスク対応型のBCPです。2019年以前に執筆した著書、寄稿記事、セミナー・講習会のテキストにマルチハザードBCPの考え方は反映されておりませんのでご注意ください。

Question:マルチハザードBCPとは何ですか?

Answer by ChatGPT
マルチハザードBCP(Business Continuity Planning)は、組織がさまざまな種類の災害や危機に備え、事業継続を確保するための計画です。単一の災害や危機だけでなく、複数のハザード(自然災害、人為的災害、技術的な問題など)に対して包括的な対策を講じることを目的としています。

マルチハザードBCPは、以下の要素を含む総合的な計画となります:

  1. リスク評価とビジネスインパクト分析:潜在的なハザードやリスクを特定し、事業への影響や復旧までの時間を評価します。

  2. 事業継続戦略:事業継続のための戦略を策定します。代替施設の確保、データのバックアップと復旧、スタッフの安全確保など、異なるハザードに対応するための具体的な対策を計画します。

  3. 組織とコミュニケーション:組織内での役割と責任を明確化し、チームを編成します。また、内部および外部の利害関係者とのコミュニケーション手段も確立します。

  4. トレーニングとテスト:計画の実効性を確保するために、定期的なトレーニングやシミュレーションテストを実施します。これにより、組織全体がBCPに精通し、必要な対応策を迅速かつ効果的に実行できるようにします。

マルチハザードBCPは、事業継続性を確保するだけでなく、組織のリスク管理能力を向上させ、迅速な復旧と災害対応を可能にする重要な手段です。組織は事前に計画を策定し、災害や危機発生時には計画に基づいて適切な対策を講じることが求められます。【以上、筆者検証済み】

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近年は災害の多様化、激甚化が進み、多くの企業が策定してきた単一リスク想定(多くは地震リスク)のBCPだけでは追いつかない状況にあります。そのため「マルチハザード対応のBCP」、つまり全方位のリスクに備えるBCPの必要性が叫ばれるようになってきています。
 「マルチハザードBCP」とほぼ同義の「オールハザードBCP」という言葉もありますが、こちらはどちらかと言えば、大企業向けに提唱されているものです。危機対応のフェーズごとにさまざまな計画を連携させるのが特徴です。筆者は中小企業を対象としたシンプルなBCPを目指しているので、オールハザードBCPと区別するために、あえて「マルチハザードBCP」という用語を用いています。
 マルチハザードBCPを策定するということは、これまでの地震などに特化したBCPから、「会社が必要と判断したリスクについてはすべて対応できるようなBCPに転換する」ことを意味します。自社にとってA、B、Cの3つのリスクが現実的かつ喫緊の課題であるならば、ためらうことなくそれらの対応戦略をBCPに組み込んで、危機対応力を強化しようということです。
 とは言え、マルチハザードBCPは従来の地震BCPのような1つの作品を次から次へと増やして、文学全集のようなものをこしらえることが目的ではありません。かと言って、あらゆるリスク対応を凝縮した全知全能のBCPを1つだけ作るということでもない。
 ここではっきりさせておきたいのは、マルチハザードBCPとは、何か非常に特殊なアプローチをとる"画期的なプラン"などではない、ということです。分かりやすく言えば、これまでリスク毎に策定してきたBCPから、リスク対応とBCPのコアの部分を切り離し、リスク対応については「緊急対応マニュアル」に集約してどしどし追加する一方、「BCPのコアの部分」は一つだけ策定するというものです。
 この考え方は、長年欧米で提唱されてきたBCP本来の目的、つまり「どんな危機にも対処できる計画」に合致するもので、いわばBCPの本質に立ち戻るオーソドックスなプランと呼ぶことができるのです。

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