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    覚醒、非覚醒状態何れかにみた夢を言語化した小説集

最近の記事

夜行バス

 夜行バスは眠れない。休憩ごとに外へ出て、特になにか買うでもなくフラフラして、10分くらい前に席へ戻る。眠れないし、あまり好きではなかったけれど、音楽を聴きながら真っ暗な車内に時々走る漏れ灯をみていたら、とても好きになった。  ブリグリのロサンゼルスやウィンターアルバム、ソニック・ユースのアナグラムに入った曲と夜行バスの組み合わせがとんでもなく気持ち良い。  眠れるどころか、耳が冴えてしまって、楽しかった。

    • 綿

      綿を詰めたみたい 蜂蜜絡めた わたしいい子でいたのに ちょっと窓空けてただけ ちょっと欲張っちゃっただけなの あーあ お月様 はやく解いてよ 彼のヘアーみたい わたしのは? 一緒がいいよ 笑ってよ 甘えてよ 名前呼んでよ 顔見てよ 照れてよ 可愛い 仲良くしてよ ふざけてよ 楽しんでよ 好き そう溢してよ  これって分からない とられたくない それはなんで? 欲張り 自惚れ屋 恋に恋してる? 違う これが彼への恋 こい こい 怖い 次はいつ会える? どこ行くの? ずっと好

      • 川上未映子

         名前はなんとなく知っていた。だけど、文章を読んだのはつい最近だ。知人がインスタグラムに投稿していなければ読むこともきっとなかっただろう。気になりはしていたので、読んでみたいといつか言ったら、それを覚えてくれていたそのまた知人がそうだ、持ってきましたと言って貸してくれた。凄く小さな高揚感と緩やかな感覚が漂ったのを覚えている。『真夜中の恋人たち』は正直、好きではなかった。読みやすいのに独特なその文体は妙にハマって、もっとこの作家の作品を、文章を読みたいと思った。聞き取れるけれど

        • 特性の病

           ADHD、 発達障害といったものについて、より多くの人に広まっていることは良いことだ。しかし私はまだ、それらの言葉を前にしたときに、病院へ行って診断を受けるという"病"的イメージを始めに浮かべてしまうからか、疑問を感じることがある。  名前があることで枠組み、範囲ができてしまって、やはり病気、タイプといったその人に付加されたもののような気がしてしまう。そういった人のある行動について、原因をその人個人の人格や問題とし、その人を攻撃したり怪訝な目でみたりとする…といった状況が

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          2本

        記事

          軽い

           今までの恋愛がうまく行かなかったのは、平等に接しすぎていたからかもしれない。今日の占いで、人からの印象をみたとき、軽い女だと思われているかもしれない、そう書いてあった。今まで人とお付き合いしたことも、チューさえもしたことがない。それなのに何故軽い女だと思われるのだろう。そう思って検索スペースに「軽い女」と打ってみた。出てきたのは、複数人の異性の中に1人でも平気、その時の気分や自分の楽しさを追求することが根本にある、押しに弱いなど、そういう特徴だった。確かに当てはまる。男女の

          石沢麻衣『月の三相』を読みながら メモvol.3

           日常でハッと気がついたり、気になったりしたものと普通は結びつかないようなものを組み合わせる。  どこを、どんな内容を読んでそう思ったかは忘れてしまったが、創作のアイデアはこうやって生み出せる、そういう考えが浮かんだ。

          石沢麻衣『月の三相』を読みながら メモvol.3

          メモ vol.1

          大きくてゆったりと降る雨が好きだ。 雨が降り始めるときの静けさと止むときの静けさはとくにお気に入りで、録音ファイルもある。 録音できた日はとくに幸せだし、できなかった日は頑張れる。

          メモ vol.1

          『鳥卵の夢』 幻想短編文学集(創作)vol.1

           見つかってはならない。隠し通さなければならぬ。認識は暗闇が溶けてからであった。 疑問詞が代名詞になるとき、滲むように白が湧き、部屋が存在を明らかにする。  青と緑が混じり合い、金色のひっかき傷のような線がぐるっと全体に散りばめられた塊があった。藤色も見える。質感は固い。ただしツルッとしている。だのに反射は少ない。その反対側が割れた。グンとズレたかと思いきやすぐにほとんど直線を描いた目線が、先の細い卵であることを示している。  目に大きな卵の向こう側では、殻を隔てて何かが

          『鳥卵の夢』 幻想短編文学集(創作)vol.1

          自己満足ノベライズvol.1 『パンズ・ラビリンス』ギレルモ・デル・トロ

           苦しげな息遣いが聞こえてくる。それがはっきりと、10歳前後の女の子のものだと推測できる頃、ハミングが加わった。少女の呼吸音の裏拍を取っている。 『España, 1944』 呼吸音とハミングは続く。 『内戦終結後も 山では武装した人々が─ 新たな独裁主義政権と戦い続けていた』 暗闇の右斜め上が微かに、青白く色を浮かばせ、それに照らされるようにざらついた輪郭を現した地面が、濡れて輝きながら右から左へ流れていく。その右先に突如、血のこびりついた手、鼻血を流した少女が─い

          自己満足ノベライズvol.1 『パンズ・ラビリンス』ギレルモ・デル・トロ

          仕草 vol.1

          顔を雑に拭う、 指輪をいくつかはめた手でCDやカセットをケースの音を立てて漁るように触る、 先日、昨日、ふと、好きだなぁ、なんか良いなぁと思った。 顔を拭う仕草は、とくに理由もなく、ただなんとなくそうしようと思って触るとき、化粧をしていないとき、もしくは化粧も気にせずそうするときがとくに良い。 自分でやるのもなんか落ち着くし、好きだ。 エモいという言葉や、なんでもかんでもエモいエモい言っていた先の流行があまり好きではない。でも、認めたくはないもののその感覚と似ているかも

          仕草 vol.1

          the brilliant green 音楽vol.1

           大好きなGLIM SPANKYのカバーで知ったこのバンド、色々な雰囲気の曲があり、好きなものはコロコロ変わる。そして彼女らの描く「冬」はとても良い。  初めて聞いてからずっと、一番好きなのは『Los Angeles』に入っている「ヒドイ雨」。 ストリングスのような音から始まるこの曲はまさに雨降りの日専用ともいえる曲でありながら少し明るい気持ちになれる。  昨日聞いてビビっときた曲は、Winterアルバムの「flowers」や「holidays」。 白いニット帽を被り、

          the brilliant green 音楽vol.1

          いい人 頭の中vol.2

           半日記 好かれようとする人は好かれない。処世術として「いい人」をやめましょう。  正直、わからなかった。どうして「いい人」のほうが悩んで、苦しんで、変わったほうが良いと言われるのか。こちらがわの人間が変わらなければならないのはおかしい、悔しいと思っていた。  しかし、いわゆる「要領のいい人」「ずる賢い人」「頑張らないで生きている人」も別なベクトルで努力しているのかもしれない、そう気づいた。「いい人」の頑張り方と違うだけなのだと。  そういう人は最低限のラインをその都

          いい人 頭の中vol.2

          長い井戸からみつけたロマンの話 頭の中vol.1

          名字ってロマンがあるなと思った話です。 何が発端かは忘れてしまったけれど、「長井短」さんの名前が頭に浮かんだ。そこから、名字の由来へ思考が流れていった。長井…長い井戸?井戸は深いだよな…深井さんっているのかな───そんなことを考えていたところで名字って、どのくらいあるんだろう…そう思った。 名字は受け継がれるものであり、そのほとんどは戸籍に登録されている。 では、新しく名字がつくられることはあるのだろうか?きっとあまり多くはない。だとすると、名字は戸籍法改正以降?ほとんど

          長い井戸からみつけたロマンの話 頭の中vol.1

          偏愛生活

           本、音楽、映画、写真、ファッション…好きなものが多く、こだわりが強い。収集癖もある。それは小説であったり、ボブヘアーが登場する映画を観ることであったり、情報であったり…。文章を書くことも好きで、ただ人の目を気にする癖がある。  こういう「好き」を書くこと、文章力をアップさせるというあわよくば…を目的に書いていく記録です。(もう1つの)あわよくば、どなたかに、読んで頂けるなら、反応を頂けるなら…  ここまで読んでいただきありがとうございました。どうぞよろしくお願い致します。

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