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陸空自の中型ヘリはV-280に更新されるであろう理由

米陸軍のUH-60の後継機種にベル・テキストロンのティルト・ローター機・V-280が
選定されてから一年が経とうとしています。これにはボーイング・シコルスキーが
両社が開発したSB-1が不採用になった事で異議申立てを行っていますが
V-280の導入に変化は見られないと思われます。
V-280の機種番号の280は巡航速度が280knot(時速560km/h)の由来によるもので
これは固定翼モードの時に出される速度です。この速度に加えて戦闘行動半径も900〜1500kmと
F-15やF-35にも引けを取らない点も採用された要因の一つと言われています。
またV-22とは違いエンジンの排気口が水平のままローダーがエンジンナセルから
折れる形で回転翼モードとなるためV-22の懸案であった排気口からの熱による離着陸制限や
引火事故もこれで防ぐことも可能になるだけでなく排気口が水平のままなので
V-22よりも高い安全性や高機動性を保持することが出来ます。ちなみによく言われる
回転翼モードと固定翼モードへの転換の際に墜落事故が起きやすいという事は
全くのデマです。転換の際にもローターは回転して推力を出してますから
それによる墜落の可能性はほとんどなく、V-22の事故でもそのような事故は報告されていません。

またV-22の事故のほとんどはヒューマンエラーか機械の故障で機体の構造上の欠点ではありません。
もちろん排気口が固定翼と回転翼の転換でも偏向するので排気熱などの課題はありますが
それでもF-35BやAV-8B、H-53に比べても事故発生率は低いのは確か。
そもそもティルト・ローター機は構造上ローターを2基搭載するので
ヘリやAV-8Bに比べても安全性が高くなるのです。余談ですがAV-8Bはエンジンが1基しかなく
推力偏向ノズルでホバリングや
離着陸を行うので事故も起こりやすい事からF-35Bでは推力偏向ノズル型エンジンの他に
機体中部にリフトファンを内蔵する事で「2つのエンジン」を以て
安全性や空戦での優位を高めています。

またV-280はもしかしたらAH-64の後継も担うかもしれません。
ソ連/ロシアのMi-24は攻撃ヘリであると同時に兵員輸送ヘリも担うなど
柔軟かつ多用途な対応が可能なヘリ(ガンシップ)として知られてますが限られた国防予算と
人員からこうした運用は行われる可能性はあります。
この運用の重要性は故・江畑謙介先生も指摘されていました。
可能性としては十二分にあり得ると愚考いたします。

またこのV-280は陸自や空自のUH-60の後継にもなり得ます。
米軍との共同作戦での部品やコンポーネントの共有化もさることながら
V-280の速度や行動半径がやはり魅力的であり、特に空自の航空救難団にしてみれば
U-125Aのような救難捜索機が必要なくなり小笠原諸島や南西諸島、五島列島などの
離島からの急患輸送でもUH-60以上に素早く移送することが可能になります。
さらに想定されているガンシップの機能からCSARの能力向上も期待されています。

まぁ自衛隊にV-280が導入されるとすれば2030年以降となるでしょうが
防衛省がU-125Aの段階的な用途廃止を決めたのはこのV-280の導入も視野に入れたからかも知れません。

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