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F-15EXの電子戦機化はF-15JSI改修にも大きく影響

ボーイング社はF-15EXの電子戦型の開発を計画しています。
これはEA-18Gの生産が2027年に終了する事からEA-111の退役以降、
海軍のEA-18Gに電子戦任務を頼ってきた空軍にしてみれば死活問題に発展しかねません。
もっとも米空軍では2021年からF-15EXの電子戦型の開発は提言されており
そこではBAEシステムズが開発したF-15EX向けの電子戦装備EPAWSSが
F-15EXに装備され、一定の電子戦は行えるようにしていますが
EPAWSSは自機の電子戦防護の為の装備であり、これにEA-18Gに搭載されている
AN/ALQ-249 NGJポットのF-15EX版を搭載する事でさらに電子戦能力が高まります。
さらにはEPAWSSとALQ-249の統合も計画されておりこれが実現すればEA-18Gにも
勝るとも劣らぬ機体になるかもしれません。EA-18Gの翼端ミサイルランチャーには
AN/ALQ-218電波探知装置がありますがこれをEPAWSSが担うことになり、
EPAWSSとALQ-249で自機のみならず広範囲でレーダー波の妨害が可能になります。
そうなるとSEAD(敵防空網制圧)任務の一つであるワイルド・ウィーゼルの任務は
F-15EX電子戦型が担うかもしれません。ワイルド・ウィーゼルは敵のSAM基地を飛行して
敵のSAMのレーダーを探知して対レーダーミサイルでSAMを破壊する任務ですが
かなり危険を伴います。敵のレーダー波を探知して妨害電波を流し、
敵のSAMを対レーダーミサイルで破壊することで比較的パイロットの安全を
保てた上体でのワイルド・ウィーゼル任務を行う事が可能になります。
またNGJの能力のアップデートが進めば懸案となっている北斗やGLONASSなどの
GPSやガリレオ、IRNSS、準天頂衛星システムなどの西側以外の衛星測位システムの
電波妨害も視野に入れることが可能になります。またドローンによる基地への
偵察や破壊工作を電子妨害で無力化も可能になります。
さらにこの計画ではALQ-249を取り外す事で電子戦やSEAD以外にも
通常の制空戦闘や対地攻撃、対艦攻撃も可能にする柔軟性の可能性も秘めています。
EF-111の退役の理由の一つは電子戦「のみ」しか運用出来ない点にあり、
これが湾岸戦争以降は国防費の削減から退役を早めてしまったと言われています。

F-15EXを含めてF-15シリーズは戦闘行動半径はEA-18GやF-35シリーズを凌駕しており
F-15EX電子戦型は輸出も想定されます。

■F-15JSI改修にも影響が出る

そしてこれはF-15JSI改修にも大きく影響出ることが予想されます。
現在防衛省ではC-2電子戦型を開発していますがC-2電子戦型に加えて
F-15JSIの電子戦型を空自における電子戦の要にする事で防空艦のレーダーや通信網を無力化させ、
逆に対レーダーミサイルで防空艦に対艦攻撃を仕掛けることで敵艦隊の
防空網を破壊すればあとはF-2やP-1、護衛艦、潜水艦による対艦ミサイルで
艦隊に打撃を与えるというシナリオが可能になります。そうなればやすやすと
艦隊による海上侵攻を困難にするので抑止力を担うことになります。
ASM-3は超音速空対艦ミサイルですが対レーダーミサイルでもあるので
防空艦からすれば脅威になるのは間違いないでしょう。
さらにALQ-249の取り外しも可能なら制空戦闘や対艦攻撃、巡航ミサイル防衛も可能になります。
またドローンによる沖縄県を含めた日本本土や尖閣諸島の攻撃も
無力化する事が可能になります。F-15JSIにもEPAWSSが搭載されることが
決定しており、米国防総省もEPAWSSの輸出許可を出しています。NGJの輸出許可も
出ると思われます。世界的に見てもドイツがユーロファイター・タイフーンの
電子戦型の開発に乗り出しており中国もJ-16Dを、ロシアもSu-30やSu-34の電子戦型を
開発しています。そしてNGJの輸出の許可を出せるように防衛省は裏金での「粛軍」を行う、
隊員の待遇改善を行う、パワハラやセクハラを撲滅し自衛官の利益団体を許可するなど
「特定機密」を法律に加えてそれを守る環境を作らねばなりません。


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