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そして日常に帰ってゆく

ふとした瞬間に、いままであったもやもやが、すっと消えた。脳にこびりついていたものが、浸っていて足が抜け出せなくなっていたことが、ある日突然なくなった。いつも通りお香を焚いて深呼吸をする。寝転びながら読書をする。あ、わたしはわたしなのだ。この不思議な感覚はなんだろう。そんな気持ちにここ2.3日なっている。ともかく、やっと日常に戻ってゆく。

結婚式というものはこんなに大変なのか。考えることがとにかく多い。呼ぶゲスト、タイムスケジュール、装飾、打ち合わせ、試食。装飾はほとんど手作り。準備に追われる毎日のなかで、大学時代にいくつかのイベントを主催したときのことを思い出した。「こういう場作り、好きだったじゃん」当時よく一緒に企画していた友人と結婚式の話をしているなかでそう言われた。そういえば、好きだったな。どうりで、この毎日が苦じゃないわけだ。当日、自分と旦那の大切な人ばかりを招待し、同じ場所で時間を共有する。お互いの幸せを分け合う。その顔を想像するだけで、準備がはかどるのだ。小物の創作ひとつとっても、これがゲストの手に渡るのか、目に入るのかと思うと一層気合が入る。わたしたちが祝ってもらう、というよりも、パーティのように楽しんでもらうことが最優先だ。招待する側なのでね。大学時代のあの大規模なイベントのように、ゲストが笑顔いっぱいになるようにあと3ヶ月準備したい。

そんな"動"の日常に相対して、"静"の日常も取り戻しつつある。ずっと積読していたエーリッヒ・フロムの「愛するということ」をやっと読み始めたり、大好きなアイナ・ジ・エンド主演の「キリエのうた」の原作を読んだり、避けていた活字に積極的にふれることができている。友達に誕生日プレゼントでもらったオイルパステルを使った絵と詩も書き始めた。それと、お金にすこし余裕ができたらフィルムカメラもやりたいな。いずれにしてもわたしの表現についての学び、活動はどうやっても言葉が中心だ。こうしてエッセイを書きながら、吸収して語彙を身につけ、また表現の言葉として外に発信する循環でわたしの表現の日常は成り立っている。


いつしか乱れた日常は、ちゃんとまたわたしに帰ってゆく。そうしたころには秋風になっていて、澄んだ空気がきもちよい。深呼吸をする。この身体が戻ったことに喜びを感じる。ここからどこにいこう。なにをしてゆくのだろう。今度は次への楽しみが積もってゆく。

2023.9.28


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