【決算書】業種ごとのポイント

①参考

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント
(2023/2/11発売)

②ポイント整理

製造業

・売上原価=(材料+労務費+外注費+原価償却費)
売上原価大きいため、他より売上総利益率は低い

・労務費と外注費のバランスに注目
自社製造中心か外注中心か判断しやすい

・製造業の棚卸資産は「製品、半製品、仕掛品、原材料」に区分
製品、半製品は販売可能、原材料は材料でまだ使用されていないもの


卸売業

・ネットなどの普及で衰退産業だが、M&Aが行われやすい業種

・薄利多売のビジネスなため、借入金などの負債多く自己資本比率低い業種
※老舗企業だと蓄積で自己資本比率高いこともある

・売上総利益は低い傾向
※繊維衣服などは売上総利益高い傾向

・総資産の売上債務残高の比率高いため、不良債権の確認大事


小売業

・在庫回転期間が短いため、現金、買掛金の残高のバランスが大事

・卸売業より多品種少量を扱うため、他より売上総利益は高めの傾向あり

・棚卸資産(在庫)状況が増え続けると特別損失となる可能性あり


建設業

・工事完了後に利益等計上の「工場完成基準」、進捗に応じて利益等の計上する「工事進行基準」がある
※税務上、工事期間1年以上かつ請負金額10億以上は「工事進行基準」となり、そのほかは選択できるため、利益操作可能な状態

・外注費高めな企業ほど利益率よい傾向


不動産業

・賃貸事業は減価償却費を調整し、赤字回避の可能性あり

・費用=(用地仕入原価+建物建築原価+広告宣伝費+人件費)

・不動産事業の自己資本比率の平均は20%

・借入金が大きく支払利息も大きいため、経常利益もしっかりあるかは大事


運輸・倉庫業

・外注費、燃料費が大きい

・傭車費は販売販管費や買掛金扱いとなる場合ある
※運送業では繫忙期には外注することがあり、それを傭車(ようしゃ)と呼ぶ。

・倉庫業は労働集約型な業態のため、労務費と外注費が大きい


宿泊業

・ホテルは賃貸料が大きく、旅館は人件費が大きい
※ホテルは資本集約型、労働集約型である

・売上=(宿泊単価*1部屋の宿泊人数*稼働率*総客室数*営業日)


飲食業

・飲食店は基本は現金商売のため、売掛金などの掛金が基本存在しない

・F/L比率=(FLコスト÷売上高) 60%以下が望ましいい
※FLコスト=Foodコスト(材料費)+Labor(人権費)

売上=(客単価*客席回転率*満席率*座席数*営業日)


介護サービス業

・売掛金の90%は国保連でタイムラグは2カ月

・運転資金は銀行のほかにファクタリング(診療報酬債権を売却)あり、未収入金と記載となる
※債権売却は手数料などが高額となりやすいこともあり、資金ぶり厳しい可能性あり

・人件費が大きく、60%以上の販管費は人件費の可能性高い


③まとめ

・製造業では固定資産が多いため、固定資産回転率が重要
※固定資産回転率は、売上高を固定資産で割った値

・卸売業では商品在庫が中心のため、在庫のバランスが大事

・小売業では売上高と仕入商品の金額の差である粗利が大事

・建設業、不動産事業が利益期間の調整をしやすい事業であるため、利益計上基準や原価償却費など大事

・運輸・倉庫業では景気の影響を受けやすい業種なため、時期を考慮する必要あり

・宿泊業でもホテルと旅館は費用の割合が違い、季節性への影響も考慮する必要あり

・飲食業では競合会社が入りやすいことや季節性あるため、固定費などは大事

・介護サービス業では介護保険の売上が大きいため、人件費のバランスが大事



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