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HDRの問題点とシモーネの策略ユベントス対ラツィオレビュー 「スーペルコパ」

前回今季初黒星を喫したラツィオと、去年のリーグ王者とコパイタリアの優勝チームが戦う、スーペルコパでのリベンジマッチ。

ユベントスは今日もHDRがスタメン。高い位置でのトランジションから敵陣でプレーし続けたい。

ラツィオはELではグループリーグ敗退したが、上位争いに集中できると考えたら面倒になった。

トランジションゲームになる予感、ユベントスはネガトラ、ラツィオはポジトラが生命線のため、どちらが攻守の切り替えの部分で勝るか。

お互いの布陣
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「ユベントス」 攻撃:2-5-1-2 守備:4-3-1-2 「ラツィオ」 攻撃:3-1-4-2 守備:5-3-2

ユベントスは現時点でのベストメンバーで挑む。デリフトは怪我の影響かデミラルが引き続きスタートから、前線にはベルナルデスキでは無くHDRがスタメン、どれだけ敵陣でプレー出来るかが生命線。

ラツィオは前回と同じメンバー。インモービレ、コレア、ミリンコビッチサビッチ、アルベルトが共存する攻撃陣をシャットアウト出来るか。

陣形の組み合わせ

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配置的に浮くピアニッチから試合を作りたいユベントスと、そこを潰したいラツィオの構図。サイドでの攻防を制したものが試合を制する予感。スピードに乗った突破が武器のラッツァーリが注目。

アチェルビ、ルーカス、ルリッチなどベテラン勢の活躍が光る。

ピアニッチの封じ方と固定砲台のボヌッチ

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訂正:ボヌッチが左、デミラルが右

ラツィオのプレッシングの形は「守備的プレッシング」。

2トップは片方がピアニッチをマークし、もう片方の選手がCBのパス回しを制限サイドへ誘導しIHのスライド、WBの飛び出しで奪い取り、ネガトラからカウンターを狙う意図

時々下がって貰いに来るディバラへはルーカスがマンツーマンで対応、試合を通して自由を与えなかった。

ユベントスのビルドアップは司令塔が使えない中、右のベンタンクールが下がって来て前進を試みる、個人技を生かし何度も右サイドを走り回った。

ピアニッチがうまく貰えない中でキーマンになるのは、ボールを比較的自由に持てるのはCB陣。ボヌッチがボールを持った瞬間に前線のロナウドとイグアインがスイッチオン。

ラツィオのプレッシングに対して、後方からの正確なロングボールで一発を狙う、「ダイレクトなビルドアップ」で全身を試みるユベントスの構図。

ラツィオの5-3-2の仕組みと狙い

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ユベントスのポジショナルな攻めは、中央とサイドを織り交ぜてショートパスをつないで崩すスタイル。

システムの構造上サイドの幅をSBが取り、ロナウドが左サイドへ流れ、ディバラ右へ流れる4-3-3へ変わる場合もある。今日はクアドラードではなくデシリオを起用、これはコレアへの対策か下がり目の位置にいて、攻撃への貢献度は低かった。

ラツィオの組織的守備は自陣に11人が引く5-3-2ブロック。あまりプレッシャーにいかずゴール前を固める、ゾーンの中にマンツーマンを組み込むハイブリットな形。

2トップがピアニッチを交互にケアし、中盤3枚は中央を固め真ん中からの崩しをさせない。

得意のマトゥイディのチャンネルへのランも3CBが迎撃守備で対応し、相手にハーフスペースで自由に持たせないCBの飛び出し。

サイドへボールがある時は4-4-2へ可変、大外のWB以外がスライドし圧縮する守備で相手にスペースを与えない。

ラツィオはサイドへ誘導し、ポジトラからのSBの裏のスペースへのロングボールでのカウンター。奪った瞬間チーム全体が走りだし、2トップ+1でのカウンターが何度も繰り返されていた。

貴婦人のマンツーマンプレッシングVS鷲の可変ビルドアップ

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ユベントスはHDR起用のため、なるべく敵陣でプレーしたい。ユベントスのプレッシングは「超攻撃的プレッシング」。

プレッシングの開始エリアはペナ手前からスタート、相手のゴールキックと同時にアグレッシブに,前線からのプレッシングで高い位置でのポジトラを狙う。

2トップが左右のCBを見て、トップ下のディバラが一列上がり、デフライ退団後のビルドアップの起点となるアチェルビへプレス、ピアニッチがルーカスへ飛び出し対応。

ユベントスのマンマークプレッシングに対する、ラツィオの解答策は前線のターゲットに向けた「ダイレクトなビルドアップ」であった。

ミリンコビッチサビッチが一列上がり、左からコレア、インモービレ、ミリンコビッチサビッチの並びになる。空中戦に強いミリンコビッチサビッチをターゲットにして、シンプルにボールを運ぼうとした。

対照的にアルベルトは中盤に下がり3+2の形で「ポゼッションによるビルドアップ」をやろうとした。

ラツィオのビルドアップ時の陣形は、大外のWBが前線に上がり5トップの形を形成し、3-2-5に可変しユベントスのプレッシングに対抗した。

HDRの問題点

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ラツィオのポジショナルな攻めは、WBが大外に張り一対一を仕掛け、DFラインを広がせて、個人技に優れたIHをハーフスペースでボールを持たせる狙い。

ユベントスの前線3枚の守備貢献が足りないため、ラツィオは敵陣で自由にプレー出来る。主な攻めの形として、WBとIHのサイドレーンから突破し、中に2トップ+ミリンコビッチサビッチと大外のWBが走りこむ。

1点目と2点目のように、2つとも大外からのクロスで得点した。

ライン間ではコレアやアルベルトのように、創造性ある選手が仕掛け脅威を与えた。

特に両WBのラッツァーリ、ルリッチはサイドを圧倒し、一対一の勝負で勝ち続けた。

ユベントスの組織的守備4-3ラインの純粋なゾーンディフェンス。

ここで問題なのがベルナルデスキ起用時は、4-3+1としてファーストプレッシャーや空いたスペースのカバーなどをやっていたが、HDRが共存した時は前線から守備をする意識が低いため、実質7人で守備してるのと同じだ。

ファーストプレッシャーが全くないため、中盤一枚が釣りだされてサンドバック状態になるという悪循環、デミラルなどDF陣の個人能力に依存しないといけない状況。

ゾーンやマンマークの前に、攻守のバランスが歪な状態では上では戦っていけないだろう。

ポジトラのラツィオとネガトラのユベントス

ラツィオのポジトラは、奪った瞬間の攻守の切り替えを重要視してる。奪った直後2トップが走りだしカウンターをする。

スピードが武器の前線の特徴に沿った形である。特に奪った直後ラッツァーリがサイドを追い上げるのが印象的だった。ラツィオの今季一の補強選手だと思う。

ラツィオのネガトラは自陣のスペースを埋めるリトリート。ハーフウェイまで下がってブロックを形成

ユベントスのポジトラは、状況に応じてカウンターとポゼッションを使い分ける。象徴的なのがベンタンクールの個の力によって、ロングカウンターを成立させた。

ユベントスのネガトラは前線からの即時奪取。ボールを失った直後囲い込み、そこからショートカウンターを狙う。前半終了間際のディバラのゴールも、ネガトラから囲い込みピアニッチのインターセプトから得点に至った。

サッリ政権になって一番変わったのがネガトラだと思う。

エピローグ

試合は最後にとどめの一発で、ラツィオが前回と同じ1-3で勝利。

とりあえずラツィオが強すぎた、何でこいつらEL敗退してるの()

CL圏内入るくらいで青黒をボコボコにしてから、2位くらいで終わって欲しい。ここから優勝争いに絡んできたら嫌な相手。

デミラル、ベンタンクールなど若手の成長が光るなか年内最後の試合、今季初タイトルがかかっていた試合のため、是が非でも勝ちたかった。

HDRの同時起用は特に強豪、サイド攻撃の相手には一方的になるだろう。

今までプロビンチャ相手に敵陣でプレーすることが多かったため誤魔化せていたが、強豪相手では引く時間が増えるためメリットよりデメリットが多い。

あくまで強豪相手にはスタートはベルナルデスキを使い、60-70分ごろにディバラ、コスタ、ラムジー、イグアインを入れる後半勝負型の方がいいと思う。

アンカーにピアニッチを使う以上トリデンテとの共存は厳しいだろう。あくまでもトリデンテを起用するなら守備力が優れたアンカーが必要になる。

要約するとHDRを使うには①敵陣でプレーし続ける(ポジトラ)②7枚でも耐えれる守備力(カゼミーロとラモスのように)③切り札としてのオプション

①に関してはこれからの成熟が楽しみ、②はラビオがアンカーで覚醒、デミラルとデリフトの覚醒だろう、後者は期待出来るが、前者はラビオママ次第(適正はアンカーだと思うのにな)、一番現実的なのが③になる。今のまま起用方法を変えるだけなので、簡単だろう。

怪我人も帰ってきてこれから欧州の猛者との試合が待ってる中、サッリがどういうマネージメントするか楽しみ。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

来年もよろしくお願いします!

Fino Alla Fine

Forza Juve!!!





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