プロミス・シンデレラ第8話感想(呼吸困難です)

※本文中の画像はドラマより引用。著作権は私にはありません。

明日9話が放送されるというのに、8話の感想です。

私が決定的にハマるきっかけになったのは、5話だった。そこから6、7、そして今回の8話と、もう、毎回心が忙しくて処理に困ります。
そしてこの8話で、プロミス・シンデレラはTwitterでトレンド入りしたらしい。おめでとうございます!
それだけ、この回が楽しみにされていて、たくさんの人が楽しんだということなのだろう。

コロナ禍だからこそ、余計に胸が苦しくなる8話

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花火大会も、夏祭りも、そもそもが非日常だ。毎日どこかで常時開催されていて、誰もがホイホイ行ける、というものでもない。(浦安に住んでいる友人は、花火は見あきたなんて言ってましたが。。)浴衣を着て出かける、というのも、年に1、2度あるかないかという人がほとんどだろう。
独特の興奮状態で、老若男女が暮れなずむ空気の中打ち上がりを待ちわびる。ヒュルル…という音とともに一発目が空に上がり、大輪の花を咲かせると、誰もが歓声をあげて幸せな笑顔になる。終盤、ひときわ華やかに花火が連続で上がり始め、最後、金色の柳のような花火が咲くと…、ああ、終わっちゃうんだ…と、幸福感とともに切なさで胸がいっぱいになる。
(余談ですが、私はすべての季節すべてのイベントの中でも、花火を見上げるみんなのハッピーな顔、というのが最上位にランクインするほど花火が好きです)
夏祭りもしかり。お祭りは秋や冬も様々行われているが、夏の終わり、傾き始めた日の中、縁日を楽しむ特別さは、花火大会とともに、もはや日本人にDNAレベルで染み付いているんじゃないかとすら思う。ましてや好きな人と、慣れない浴衣を頑張って着て、焼きそばやたこ焼きをハフハフ頬張り、射的やヨーヨーすくいを一緒に楽しむとなると…まさに、真夏の夜の夢。

そんな花火大会や夏祭り、ホイホイ行けるものではないけど、行こうと思えば行けるもの、だった。2年前まで
新型コロナウィルスの影響で、ありとあらゆる「人が集まる場」は制限されることになった。少し緩和されては制限され、の繰り返し。何れにせよ厳しい目を向けられることには変わりはない。お祭りは多くが中止となり、花火は、決まった時間に集まって見るものではなく、サプライズ的に打ち上がるものを遠くから楽しむだけになってしまった。

こんな日々が来るとは誰も思っていなかった。花火大会も、夏祭りも、無邪気に楽しんでいた日が、もう2度と戻んないんじゃないかって思ってしまったりするし、郷愁に駆られて胸をかきむしりたくなったりする。
8話を見ると、無意識にでも、そんな気持ちが掻き立てられているんじゃないかと思う。

8話に見る、壱成の成長と開花

8話でもう、キュンキュンどころか爆発した女子は多いだろう。6話で壱成のトラウマを力ずくで洗い流した早梅。壱成はそこから急に素直になり、あんなに嫌だった旅館にそっと出入りし早梅の上がりを伺う。どころか、大人になるにはどうすれば!?と洸也に問い、なんと旅館でバイトとして働き始める。
6話では「他の男とヘラヘラしてるとムカつく。なんなんだ」と、自分の気持ちに無自覚で、7話では急によそよそしくなる早梅に地雷を踏んだかと凹み、花火大会にどう誘おうかとヤキモキしてた壱成。8話前半でも、どう手を繋ぐかで悶々とし、浴衣姿をキレイと褒めるのすらうまく踏み出せなかったのにああそれなのに。
最後には足を怪我して動けない早梅を豪快にスーパー世阿弥マシーン担ぎして早梅呼び、そしてお部屋で早梅の目をまっすぐに見てからのキス。
もう、書いてるだけで身悶える。

壱成の行動や表情一つ一つにキュンと、グッときてしまうのは、その根っこに、彼の成長がある。花火大会や夏祭りという舞台を借りて、そこに咲いた壱成の成長ぶりを、順に見ていきたいと思う。

①さくらとのシーンに見える、内面の変化

茶房に新たにバイトとして入った高校生、さくら。彼女は完全に壱成にひかれている。壱成が想いをぶつけるかのごとく花を活けているところを目撃したのも彼女だ。

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その姿を思い返しながら花を見つめていると、壱成がやってくる。花を活けられることについて、壱成はガキの頃からやらされていただけ、というが、さくらは、純粋に、「すごい。自分には何の取り柄もないから。」と呟く。それに対し

「そんなのわかんねーじゃん。自分で気づいてないだけかもしんねーし。」

さくらから視線を外し、どこか別のところを見つめながら答える壱成。短いけれど、これは壱成の心の奥底に息づき、自然に出てきた言葉だ。
できのいい年の離れた兄を持ち、自分はいてもいなくても同じと思っていた。母親にすら、あなたなんかいらないと言われ、自分の価値を信じられず生きてきた。自分が傷つかないよう、お金だけをフックに、いついなくなってもいいような薄い関係性だけを作ってきた。でも、そんな自分にも、気づいていない、いいところがあると言ってくれた人がいる。お金なんか関係なく、一緒にいると楽しいと言ってくれた人がいる。関係性が変わったことで喧嘩になる程、本気で思ってくれる友達がいる、そのことに気づかせてくれた人がいる。
男女としてだけでなく、人として壱成が早梅にいかに救われ、故にひかれているかが、この短い言葉に詰まっている気がする。

さらにさくらは、この間までこの旅館が嫌いだったという壱成に、ではなぜここで働いているのか?と問う。
壱成はそれに対し、少し間をおいて、

「やりたいことが、できたから。」

この「やりたいこと」が何なのかは、ここでは語られない。自力で稼いで、早梅が喜ぶことをすることなのか。少しでも長く、一緒にいることなのか。それとももっと先を見据えた、別の何かなのか。
何かはわからないけど、ちょっと前まで、「好きなことだけやりたい」と言いながら、嫌な思い出から逃げ、現実を直視させるものには反発し、刹那的に生きてきた壱成が、おそらく初めて目標を定めて生きるようになった。
さくらと対話する表情は優しく、静かな自信すら垣間見える。
すごく好きなシーンです。

②夏祭りのシーンに現れる、お金への向き合い方の変化

このシーンには、おお!となった人も多いだろう。
夏祭りを回り始め、腹ごしらえが必要、と、焼きそばを買うことになった壱成と早梅。そこで壱成は、

「今日は俺が全部出すから、財布はしまっとけよ」「バイト代も出たし」

と告げる。

6話で、友達に「顔と金以外は並以下のカス」「その金だって、てめーで稼いでるわけじゃない」と言われた壱成。1話では、早梅に、欲しかったら土下座して謝れと、万単位のお金をチラつかせたりしていた。
その壱成が、きっと今まではお小遣いで難なく出せていたであろう「夏祭りでめいっぱい遊ぶ」分は、バイト代が出たから自分が出す、という。
額の多寡ではなく、自力で稼ぎ、それを自分のためだけではなく誰かのために使う。今までお金を、(多分大女将に)言えば出てくるものだし、人を最低限つなぎとめておくための道具としか思っていなかった壱成の、ものすごく大きな変化がここに現れている。
自分が高校生の時、バイトはできなかったけど、友達に突き上げられて漫画を雑誌に投稿したら5000円ぐらいもらえた。初の、自力と実力でもらったお金だった。あの時は嬉しかったなあ…。なんて思い出してしまったりした。

夏祭りは、なんか、全般的にいいですよね…。この後起きることを考えると余計…
ヨーヨー釣りで壱成が落としちゃって「あーあー」っていう早梅と、終始ぎこちない表情で見つめる女性がツボです。

③はぐれてしまった早梅と再会した時のリアクション

二人で見に行くと約束していた花火大会だが、結局それは叶わなかった。菊乃の画策により早梅は一人でいるところをおびきだされ、挙句斜度のついた林の中に突き落とされてしまう。その結果足もくじいてしまい、思うように動けない。携帯も奪われ(普通に犯罪です…)連絡を取ることもできない。
痛む足を引きずり、思い出すのは、言葉少なに誘ってきた壱成。
その間、息を切らし汗だくになりながら早梅を探す壱成の表情は、誰もの心を打つ。
早梅の元に現れたのは成吾。彼が早梅を連れ帰り、壱成が戻ってきたのは一番最後だった。
結局、壱成が望んでいた花火大会を二人で見るという夢は、叶わなかった。
でも、早梅に再会した壱成が最初にかけたのは、「大丈夫かよお前!」という一言。

ちょっと前の壱成だったら、約束したのに一緒に花火を見られなかったことに対し、イライラして心無い言葉を投げかけてしまったかもしれない。ましてや、仕方ないとは言え、その間成吾と早梅が一緒にいたとなったら、なおさら。(この時点では知らんのだけど)。
だけど、最初に出てきたのは、純粋に早梅を心配する言葉だったし、安堵の表情だった。
これは大きい。やむないとは言え約束を果たせなかったことに、女性側も十分申し訳ないと思っているのに、ここでカリカリされてはたまらない。でも、壱成が見せたのは、以前では考えられない、純粋に心配してくれていたんだとわかる表情。

この後、事情を洸也から聞いたのか、壱成は早梅に、菊乃のそんな誘い、少し考えれば不自然だとわかるだろうと諭す。この時のやり取りでは、もう、壱成が保護者のようで、10歳年下とか高校生だとかは吹っ飛んでいる。早梅も、思わず「おっしゃる通りです」と敬語になっている。(早梅が壱成に敬語で話すシーンは前もあったが)。
(この時の、あーもうわかってます…って感じで顔を背ける早梅を、頭掴んでグイッと正面向かせる壱成がたまらんですよね…この後の「俺のことだけ見てろ」につながるというか…)

少しずつ明らかになる菊乃の狙いと、成吾の本音

またまた語りすぎたのでちょっと余力がないんですが…
今まで成吾との間だけでやり取りされていた、菊乃の企みがだんだんと他の人にも露見し始めた回だった。
本人の言葉を借りると、「成吾の幸せを一番願っているのは私」(成吾の幸せ=思い人である早梅と結ばれることだろうから)「自分は身を引いて、早梅と結ばれるお手伝いをする」。
そのために、この回ではやはり早梅に気のある壱成をたぶらかそうとしたり、早梅をおびき出してわざと危機的な状況に陥らせ、成吾と二人っきりにさせたりする。
どう考えても異常である。
よしんば、菊乃の尽力のおかげだろうとなかろうと、成吾と早梅が結ばれたとして、菊乃は「私のおかげよ」とその存在をちらつかせる気がするし、成吾も意識せざるを得ないだろう。
成吾の幸せを叶えたいというより、「私とあなたは結ばれないけど、一番思っているのは私なのよ」ということを強烈に意識させることが狙いなんじゃないかと思ってしまう。菊乃が成吾のことを思っているのは十分わかるが、まだ全容がわかっていない菊乃(あきら、と呼ばれていた時代)の過去など含め、旅館の副社長と、出入りしている芸者という立場以上に、結ばれない事情があるのだろうか。
菊乃が壱成をたぶらかそうとするシーンも見どころの一つですよね。早梅が足を怪我した時は自ら腕を貸したのに、菊乃が足をひねったから肩を貸して、といった時のめんどくさそうな表情。それでも拒まない壱成はなんだかんだ優しい。年上の女性をどう思う?と聞かれ、

「すっげーいいと思う」

この時の視線の動き、表情。役の17歳はもとより、眞栄田郷敦さんってほんとに21歳!?色気がハンパない。
そして、相手の幸せを思うなら身を引くのも一つ、と言われた後の壱成のセリフがまたいい。

「意味わかんねーわ。そんなん、ぜってー無理。俺は、相手の全部が欲しくなるね。過去もひっくるめて、全部。」

プロミス・シンデレラ名台詞ランキングをやったら間違いなく上位に入りそうな言葉だ。もうこの言葉を発する壱成の心情にはいちいち言及するのはヤボというもの。ただ、過去にかなり陰湿にいじめられ、その過去をなかったものとして生きることにしているような菊乃には、きっと想像もできない言葉だろう。自分の過去を開示する気もないし、受け入れてくれる人がいるとも思えない。でも、もしかしたら一番彼女にとって必要な言葉なのかもしれない。

ちなみに…スッゲー良いと思う、と言ったあと、菊乃のほっぺを挟んだ時の、ぺちょって効果音は何で作ってるのか笑。水分多めのお餅を叩いたような笑。どんだけ保水力の高いお肌なんだ、菊乃!

成吾もここにきて、少し弱いところを見せるようになってきた。
壱成とはぐれた早梅と夏祭りで落ち合う成吾。成吾は夏祭りの本部のおじさんたちにお酒を飲まされて、具合が悪くなっていた。(お酒に弱い兄弟だ・・・大女将は飲みそうなのに・・・)
そんな自分の姿を早梅に見られることを、情けないと成吾はいう。立場上、かたおかののれんに傷をつけるようなことはできないと。
それに対し早梅は、10年前と変わらず、真面目だね、と微笑む。

「すごいと思う。本当に旅館の副社長になって、みんなから頼りにされてて。何より、私にとって正義のヒーローだから。」

そして、だから情けなくない、頑張りすぎ。もっと周りを頼ればいいと続ける。
10年前に守りたいと言って、叶わなかった女性。その女性が今目の前にいて、あの時の自分はヒーローだったと。でも、だから成吾の思いに応えるというわけではなく、もっと周りを頼ればいいと励まし、そしてまた自分の前から去ってしまう、この切なさ。
早梅の言葉も、一人で気を張って生きてきて、元夫にももっと自分を頼って欲しかったと言われ、一度は本心を伝えられないまま壱成とも離れかけた、その経験から生まれるものだろう。
何らかの不具合が出た(←言い方)相手とのやり取りという意味で、壱成・菊乃との対比にもなっているし、上に書いた壱成・さくらとの対比にもなっているのが面白い。


あああ最後駆け足になった上、書いているうちに明日ではなく今日が9話放送になってしまった。チラチラ携帯に見える壱成と早梅の普段のやりとりとか、何より、3.5話に1度ぐらいかっこいいところを見せるこうやさんとか、こうやさんと壱成の(頑張れよ!)b(おう!)bなシーンも触れたかった!

あと2話、全身全霊を傾けて、見守りたいと思います!!

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