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こんなにハマると思ってなかった!プロミス・シンデレラの魅力、いや魔力

※本文中の画像はドラマより引用。著作権は私にはありません。

まさか私が恋愛ドラマにハマるとは思ってもみなかった。
そのドラマとは、「プロミス・シンデレラ」。TBSにて、2021年9月7日現在、第8話まで放送している。(あと2話で終わっちゃう…かなしい…)
第1話を見たときは、冒頭にシーンが止まって、主人公が視聴者に語る形式で自身の状況を伝える演出が、あれ?大豆田とわ子意識?と思い、そのあとの早梅のセレブパーティー顔面ケーキシーンでスカッとしたりはしたものの、そんなに真面目に見続けるつもりではなかった。
それが回を追うごとにズンズンはまってしまい、5話が終わるころにはもう翌週が楽しみで仕方なくなり、8話が終わった後は2夜連続プロミス・シンデレラの夢を見てしまった。インスタなどでもプロミス・シンデレラ関連の投稿にいいねをしまくり、自身もどこかに語りたいものの、自分のアカウントでやったら既存の知り合いに引かれそうで(私のインスタ友人はリアル友人がほとんどなので)、作品についての思いをどこかにぶつけるべく、ついにnoteに初投稿しているわけである。

ざっくりとプロミス・シンデレラのあらすじをおさらい

おそらくこのnoteを見てくださる方は(いらっしゃるという前提で・・・)、やはり私のようにプロミス・シンデレラについて語りたい・ハマっている人に共感したくてこの記事にたどり着いていると思うので、あらすじの振り返りについてはさらっとにとどめておく。

主人公の桂木早梅(27歳)は、ある日突然、浮気をした夫から、離婚してほしいと一方的に切り出される。行くあてもなく、衝動的に家を飛び出す早梅。しかもスリに有り金を全て奪われ、まさかの無一文に。住所不定の女性を雇ってくれるところもなく、公園でホームレス生活を送っていた早梅の目の前に現れたのが、顔はいいが性格がゲキ悪の金持ち高校生、片岡壱成。ちょっと前、まだ早梅が離婚なんて想像もしていなかった時期、街で友人と弱いものいじめをしていた壱成を早梅はこらしめていた。その仕返しに、金をチラつかせて物笑いのタネにしに来たわけである。
けど、ここでも早梅の勢いに押され退散(撃退されたというべきか…)。しかしこれでさらに壱成は早梅に興味を持ち、自分の家(もちのろんで超豪邸)を寝床として提供する代わりに、「サイコロの目で決まったミッションをクリアしたら、賞金をゲットする」という「リアル人生ゲーム」をしろと持ちかける。

・・・これのどこがさらっとした振り返り??

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まあなんやかんやあって早梅は壱成のゲームにつきあうことになり、しかもそのあと壱成の祖母のとりなしで、彼女が大女将を務める老舗旅館かたおかで仲居としての職も得る。その旅館の副社長で、跡継ぎとされているのが、壱成の兄の成吾。実は早梅と彼は、10年前に出会っていた。それぞれ家が大変な時に、河原でほんのわずかの時間穏やかな時を共有し、心を通わせた、名前も知らない初恋の人だった…一方の壱成も、最初は興味本位だった早梅に、だんだんと異性として惹かれていく。というストーリー。

原作は漫画で、現在も連載中。ちなみに私はドラマから入り、漫画は未読。漫画も非常に読んでみたいのだが、一気読みしてドラマ結末を先取りしてしまいそうなので、ドラマが終わってから読もうと決めている。

単純に、タイプの違うイケメン二人に思われる早梅が羨ましい笑。ドラマの鉄則ではあるけれど。
ただそれだけでなく、後で見ていくように三者三様に内面にトラウマや傷、乗り越えるべき課題があって、そこを癒してくれたり、背中を押してくれたりする関係性がそれぞれにあり、男女としても人としても惹かれてしまうよなあ、これは…という風に心を持って行かれてしまうのが、ストーリーの魅力だと私は思っている。
あの日差し出したローファーを断られた成吾、早梅の靴を奪って代わりに便所サンダルを履かせた壱成、君を守るからと言ったのに連れて帰れなかった成吾、自分を楽しませろと家に連れてきてしまう壱成など、他にも探せば色々と細かな対比の描写があるのも面白い。

キャラクターの魅力

①桂木早梅(二階堂ふみ)…その強さとあやうさにひかれる

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物語のヒロイン。彼女が一方的に離婚を突きつけられるところからストーリーが展開していく。
早くに母を亡くし、母の死亡後は父が自堕落になり、働くなってしまう。働くなってしまうどころか、時間構わず酒を飲み、「お前は俺の面倒をずっと見るんだ」と早梅を精神的に抑圧するようになる。肉体的な暴力もあったかもしれない。
つらいなあ。これはつらい。若くして母親をなくすだけでもつらいのに、頼れるべき存在であるはずの父がどんどん悪い方に変わっていく様を見なければいけないのもつらい。その後早梅は父から逃れるために家を出て自立するが、その間に父も亡くなってしまう。詳細な描写はないものの、警察から連絡があって、と言っていた。どのような形であれ、一人でその場に立ち会うことになった早梅の心境を思うとさらにつらい。どんなになってしまっても、親は親だから。
だからか、早梅は、おそらくは元々持って生まれたまっすぐな気性で、正義に反することには立ち向かっていく強さを見せる一方で、自分の幸せには無頓着というか、そもそも「幸福への期待値」「幸せな像を描く力」が弱いような危うさを感じさせる。それどころじゃなかったというか。自分はこうしてほしい、こういうことを望んでいる、という思いを伝える力も弱い(あるいは、自分の望みへの自覚が弱い)。そこに寄り添ったのが、年も近く、自身も大変な時でありながら、僕が君を守れる男になると告げた10年前の成吾であり、そのギャップに違和感を感じると同時に惹かれ、自分らしくあるべき方へ壁を壊したのが壱成なのだろう。
ドラマ中も、どちらかというと揺らいでいる表情の方が多い気がする。ストーリーが始まった時点でのきっぷの良さからすると、それはギャップだし、だからこそたまに見せる大輪の笑顔に見る側も惹きつけられ、晴れやかな気持ちになる。壱成の視点を、視聴者も味わっているということだろう。
きれいな女優さんはたくさんいるけれど、この強さと危うさを表現できるという意味で、もう二階堂ふみさん以外早梅は考えられない。

②片岡成吾(岩田剛典)…優秀だけど不器用で、色々押し殺しちゃうザ・長男

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老舗旅館「かたおか」の副社長であり、跡継ぎ。仕事ぶりが優秀なのはもちろん、容姿端麗で物腰も柔らかく、仲居たちの羨望のまと。以前は壱成とは仲のいい兄弟だったが、母親の死以降、折り合いが悪くなっている。早梅と初めて出会ったのは、成吾の家も落ち着かない状況の時だった。
由緒ある旅館を継ぐことが既定路線としてあることは、周囲からすればお金もあって安定していて羨ましい話かもしれないが、重圧でしかないこともあったろう。しかも母は病を抱えたことを隠したまま家を出て行ってしまい、父も祖母も忙しく、弟はまだまだ幼い。ただでさえ「自分が頑張らなければ」「期待に応えなければ」と思ってしまうのが、長子という生き物(私も長子なので、成吾とは比較にはならないけれどその気持ちはなんとなくわかる)。このような状況下で、心に早梅の面影をひそませたまま、どんな気持ちで大学時代などを含め10年間を送ってきたのだろう、などと想像してしまう。早く大人にならなければと考えていたかもしれない。早梅や壱成の過去と、それゆえの心の傷にフォーカスされがちだが、成吾も抱えているものがないわけないのだ。

本人はあまり語らないが、成吾にはさらに、弟に対して複雑な思いがあることがうかがえる。第7話、成吾に対し芸者の菊乃が言ったセリフ。「大女将からお茶もお花も着付けも大抵のことは仕込まれたけど、弟さんの方が全部飲み込みが早かったって。あなた不器用な努力家タイプだものね。」
旅館のために、家族のために、必死にいろんなことを努力してきた。自分は努力しないとできなかったけれど、弟は嫌々ながらも(ここは私の想像w)スイスイっとやってのける。また、自分は旅館を継ぐことが決められていた。かたや弟は、母親から生じた確執ゆえに旅館に寄り付かないのだとしても、自由に生きているように見える。あんなにいろんなことができるのに。なんて、どんなにできた人間でも思ってしまうんじゃないだろうか。
もはや私の妄想劇場の域です。そんな弟が、自分が10年前に手放してしまった女性を無茶苦茶なきっかけとはいえ家に連れてきて、しかも女性の方も気持ちが弟に傾いてるように見える…なんて、報われなさすぎる。

・・・想像してたのの3倍ぐらい語ってしまった!
個人的に、残り2話で、少しずつ成吾も自分の抑圧していた部分をさらけ出し、主題歌にあるように「自分を抱きしめる」ようになれるといいな…と思っています。
知性と品を感じさせ、表情はいつも穏やかだが、一人の時などに苦悩や情念をにじませる成吾に、岩田さんはものすごくはまってます。YouTubeでのインタビューを見ても、丁寧に言葉を選んで話すクレバーな方だなという印象でした。

③片岡壱成(眞栄田郷敦)…ストーリーを牽引する「郷敦壱成」の構築力と破壊力

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「出すのが遅い!」「順番が違う!」と言われるかもしれない。けど、あえて言わせていただきたい。「満を持して」紹介させてくださいと。
壱成は、この作品で一番、「漫画的」な人物である(決して揶揄しているわけではないので誤解しないでください!)。親の事業を継ぎ、様々苦悩する長男は現実にいるかもしれない。夫に不倫され、家を飛び出してしまう女性もいるだろう(その後ホームレス生活に踏み切る人はなかなかいないかもしれないが。。)。
壱成は、金持ちの次男坊で、ルックスもいい。だが、小さい頃に負ったトラウマが原因で、濃い関係を作らず生きている。その辺まではまあ、そこそこある話、かもしれない。が、お金にモノを言わせ、自分が楽しむために、「リアル人生ゲーム」を他人に強要する、こんな話は普通に生きてりゃ文字通り漫画かドラマの中でしかお目にかかれない。しかし壱成のこの行動がこのストーリーの序盤を作り上げていくことになる。

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壱成という個人もいろいろてんこ盛りだ。先も書いたように、お金持ちの俺様系性悪キャラ。見た目はすこぶるいい。でも兄にはコンプレックスがあり、「自分はいらない子」というトラウマもある。今時風かつチャラついていながらも、家柄特有の教育はちゃんといきており、掛け軸の季節のお題をさらっと答えられたり、なんなら花も活けてしまって、その作品で専門家をも唸らせたりもする。茶房の手伝いをしても手際はいいし、接客も難なくこなす。性悪な初期の頃にも、お化けをこわがるという(ある意味わかりやすく)意外な側面を見せたり、体調不良で連絡がつかなくなった早梅を助けにきた時はちゃんとお水のペットボトルを持ってきてたり、「枝豆のアレはさやであって皮ではない」と常識的なツッコミをしたりもする。そしてそのキャラクターも、俺様系性悪→不機嫌王子→恋に悶える系男子→急に頼れる男性に!と、変化を遂げていく。


これだけ設定てんこ盛りで振れ幅が大きいと、演じる側に厚みや説得力を持たせる力がないと、ストーリー自体が薄っぺらく感じられてしまったり、単なるドタバタ劇になったりしてしまうと思う。
漫画は描き手の方の力によって、コマとコマの間に起きたことの想像、どんな表情やどんな声をしているかなどの余韻を読み手に持たすことができるけれど、やはり3次元で情報量が増えると、その分受け手の分析量も増えてしまうから。
そんな壱成を、まさにそのまま漫画の世界を抜け出して、現実に壱成という人物がいるかのように構築しているのが、眞栄田郷敦さんという演じ手の力なのだと思う。おそらく本人の中に、壱成というキャラの心の変遷、そこから生まれる表情、声のトーン、それらが全て綿密にストーリー化され、落とし込まれているのだろう。この「漫画でしかいないようなキャラクター」が、3次元にこれだけのパワーを持って現れ、しかも恋愛物となると、その破壊力たるや、半端ない。「一度はこんなこと言われてみたいな」という女性陣の願望というか妄想を、まさに叶えるどころか吹っ飛ばすかのようにかき乱していくから。吹き飛ばされてなお、また壱成に会いたいなと思ってしまうのである。

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メイン3人でこんなに語ってしまった!まだ足りないんですが!
音楽についても話したい!

そのほかの登場人物もそれぞれに個性的で素敵です。
早梅をよく思わない仲居も多い中、最初から明るく接してくれる、オアシス系天然女子、まひろ。
普段はいい加減なノリだけれど、壱成にもバシッと物を言い、いざという時には頼れる大人の男の側面を見せる茶房のマスター、洸也。(RIZE大好きです!!)
板につきすぎている!友近演じる旅館の仲居頭、藤田。
成吾を好きなゆえに、早梅に冷たい態度をとる千葉(彼女の言い分は納得するところも多い)と松野。

おそらく誰より苦労を経験してきているのだろうけど、いつも明るくオシャレで、孫たちを愛情を持って見守る大女将、悦子。
悦子といいコンビ(笑)、壱成を何かと気遣う執事の吉虎。

そして彼女抜きにストーリー展開を語ることはできない、芸者の菊乃。表でストーリーを盛り上げるのが壱成のゲームなら、裏で中核を作っているのは彼女の思惑である。

漫画はまだまだ続いているようだが、ドラマはあと2話。どんな展開が待っているのか。恋に決着はつくのか。
秋も本格的に深まる9月終盤、きっとめっちゃめちゃロスに陥ってるんだろうな…と戦々恐々としつつ、火曜の夜10時を、あと二回、楽しみに待ちたいと思う。

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