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【東野さんインタビュー】リビセンが設計にかける想いと、一緒に未来をつくりたい人物像

いま、リビセンでは設計スタッフを大募集中!

↓の記事では、元アルバイトスタッフの「まいちゃん」に、リビセンがほかの設計事務所と比べてどう違うのか、実体験も込めて語ってもらいました。

この記事では、リビセンが空間をつくるときに大切にしている根っこの想いや、どういう人なら一緒に古材の未来をつくっていけそうなのか、会社の設計思想について代表の東野唯史に話してもらいます!

※ リビセンの仕事や姿勢がなるべく客観的に伝わるよう、お友達のライターの飯田くんが聞き手を担ってくれました。

リビセンの設計は、「事業計画書」と「収支計画書」を読み込むことから始まる

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東野唯史(あずのただふみ TADAFUMI AZUNO)
株式会社ReBuilding Center JAPAN 代表取締役
84年生まれ。2014年より空間デザインユニットmedicalaとして妻の華南子と活動開始。2016年秋、建築建材のリサイクルショップReBuilding Center JAPANを長野県諏訪市に設立。ReBuild New Cultureを理念に掲げ、次の世代に繋いでいきたいモノと文化を掬いあげ、再構築し、楽しくたくましく生きていける、これからの景色をデザインしていきます。

━━ まずは、リビセンの設計仕事の概要をお聞きしたいのですが、どういった依頼が多いんですか?

クライアントとの距離感が近い案件が多いですね。個人経営のお店だったり住宅だったり。クライアントと直接「こんな雰囲気のお店にしたい」「こういう暮らしをしたい」と話し合いながら進めていく仕事がメインですね。

逆に、公共施設の設計といった担当者の多い案件や下請けの仕事はほとんどありません。コンペにも参加しませんね。コンペは「リビセンがやらなくてもいい仕事」なわけだから、そこを頑張る必要はないので。

━━ なるほど。どういう空間をつくっていくか、クライアントと密にコミュニケーションを取っていく設計が多いんですね。

そうです。なので最初は、依頼のメールを受け取った段階で「事業計画書と収支計画書をください」と伝えていて。

━━ え? 設計の仕事なのにそこから始まるんですか?

はい。だって、そのお店がどんなに頑張っても15万円しか稼げない仕事なら、やらない方がいいですよね。お店を続けることが難しいじゃないですか。ひとりで経営するならギリギリいけるかも知れないけれど、「家族がいて、子供を養わないといけない」となったらかなり厳しい。

━━ でも、設計を請け負うわけだから、最終的に店が続かなくてもリビセンが困るわけではないですよね。

はい、きっとリビセンは困らないでしょうね。でも、クライアントは困ってしまうわけです。リビセンの仕事って、半分くらいは友達からの依頼なんです。友達じゃなかったとしても、たくさんの打ち合わせを重ねて、おたがい頑張っていると、結果的には友達になる。そういったお店には、やっぱり潰れてほしくないですから。

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それに、事業計画書をきちんと書こうとすると、どういうお客さんに来てほしいのか、店のテイストはどうあるべきか、客単価はいくらで席数はどうするのか……と、その店の輪郭が出来上がっていくんです。

たとえば、ランチを800円で出すか2,000円で出すかで、お店のつくり方はまるっと変わってきます。小さい席をたくさん用意するのか、ゆったりした広い机をつくるのか。子連れが多くなるようであれば、キッズスペースをつくったりソファ席を増やしたりする。

まずはクライアントに情報を固めてもらい、そこからクライアントとリビセンのイメージを近づけていくんです。

ヒアリングに時間を割くのではなく、限られた情報から正解を導き出すことが大切

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━━ そうか、イメージをすり合わせるためにも、クライアント側がつくりたいお店をリアルに想像できている必要があるんですね。

そうなんです。お店の目指す方向性や空気感が見えてくると、その後のやりとりがスムーズになるんです。素材や照明を選ぶときも、「このお店にはこれが合いますよね」と提示できるし、その選択が外れない。何種類も提示しながら選んだり、的外れな提案をして選び直しになったりすると、おたがいが大変だし信頼関係も生まれません。

最近手掛けた西荻窪の「フヅクエ」は、おたがいの認識が一致できていたから、イメージのやりとりがスムーズでした。「タイルはこれがいいと思うんだけど」「いいですね」と話が進んでいく。もちろんほかの選択肢もあわせて提示したりはしますが、ほぼ提案通りに決まっていくんです。

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━━ 認識を合わせるためにも、クライアントとのヒアリングには時間をかけているんですか?

いえ、自分の場合はヒアリングに特別多く時間をかけているという認識はありません。もともと、新卒で入社した会社では年間100件以上のデザインをしていたんです。クライアントにヒアリングすることもあるし、会社の営業の人から話を聞くこともある。たくさんのその経験が、「限られた情報から正解にたどり着く」トレーニングになりました。

設計は、限られた情報や条件をパズルのように組み合わせて、正解にたどり着く仕事だと捉えています。物件の個性、周辺の環境、その店が建つ街が求めるもの、関わる工務店のスキル、予算と納期、などなど。条件によって使える素材や技も変わってくるので、複合的に捉えて組み合わせるのが大事です。

自分は、デザインはそのパズルのピースの1つ、ぐらいにしか思っていません。「かっこいい空間」をつくるって、そんなに難しいことじゃないんです。それより大切なのは、お店がちゃんと稼げて、来て欲しいお客さんが来店してくれて、クライアントが毎日楽しく店頭に立てるかどうかですから。

━━ 設計は、限られた情報と様々な条件を組み合わせるパズル。考えるポイントが多いので、かなり難しい作業に思えます。

でも、いろんなところにヒントが転がっているんです。先ほど挙げた「フヅクエ」では、クライアントが置きたいちょっと特徴的なブックシェルフ型のスピーカーがありました。「じゃあ、このスピーカーに合う空間をつくろう」と、そのヒントを出発点にするんです。空間がスピーカーに合うようにつくられていく。

「フヅクエ」はシンプルな造りにしたけれど、諏訪のご近所である「太養パン店」のように、インパクトのある壁が必要な場合もあります。

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一番の目的は、クライアントが目指すものをつくること。それが最終的に「かっこいい空間」になるかどうかは、どっちでもいいんです。

「やりながら考える力」が求められるリノベーション

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━━ リビセンの空間づくりはリノベーションをメインとしていますよね。リノベとなると、設計においてもほかと違う特徴があるんですか?

リノベでは、設計監理の仕事が重要となってくるんです。なぜなら、着工してから明らかになることも多いから。もとの図面上にはなかった柱や筋交いが実際にはあった、なんてこともしばしばで。そこを取り外す場合は、ちゃんと別の部分で補強しないといけない。

さらに、隣の家が近すぎるせいで雨漏りが発生していたり、草刈りをしていなかったから湿気がこもって床下の状態が悪くなっていたりすることもある。新築ではそういった不確定要素は少ないのですが、リノベでは現場で臨機応変に対応する必要が出てきます。

もっと言えば、図面が完成してから着工するわけじゃないんです。オーナーさんも何も形がない状態だと判断できないことも多いので、決まりきっていない状態でも工事を始めて、「この部分はほかの箇所ができてから考えましょう」と進めることも多いです。

━━ やりながら考える、ということですね。

あとは、クライアントにDIYの知識や技術を教えるのも設計の仕事です。

リビセンに依頼してお店を始める人って、前職をすでに辞めていることも多いから比較的時間があるんです。なので、全ての作業をリビセンが行うのではなく、クライアントもDIYで参加することもあります。その方がクライアントにとっては費用も下がりますからね。

その際は「DIYアドバイス料」をいただいています。クライアントに左官の仕方を教えたり、家具や材料を安く探し出す方法を教えてあげたりなど、施主支給をガンガン増やして総工費をなるべくさげられるようにサポートしているんです。また、クライアントに限らず、リビセンが左官を行う場合もその配合や準備を整えるのは設計の仕事。既存の下地の状態を見てシーラーは何を塗るかを考えたり、色味や質感を決めたり、設計はそこまで担います。

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━━ 一口に設計と言えど、カバーする範囲はかなり広いんですね。とはいえ、DIYや左官の経験が豊富な方ってそう多くはないと思うのですが、そのスキルは今回の求人でも必須なんですか?

いえ、入社してから学んでいく形でもちろん大丈夫です。でも、「そこも楽しめる人である」というのは前提になってくるでしょうね。図面を引くことだけを仕事にしたい、と思ってる方だと厳しい。

設計は、制作チームと話し合いながら、家具にできそうな古材をリビセンの店舗から探し出すことも多いです。なので、細かい実施図面は制作チームに任せつつも、家具の設計ができる必要もあります。お客さんに「こういう家具を置きましょう」と提案するのも設計の仕事ですからね。

そして、「リビセンの中で設計をする」という前提条件は忘れないでほしいです。

「設計」はリビセンの経営に大きく影響する

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━━ 前提条件?

たとえば、材料に対する環境負荷の優先順位を自然と認識していてほしい。環境負荷を考えると古材がベストだけど、よい空間をつくるためや予算によって、新品を使う場合もあると思います。それでも、外国材より国産材、国産材より県産材がベターだな、と意識してほしい。カーペットひとつをとっても、最近ではリサイクル率が高いものが出てきていますから、そういう情報を自分で調べて使う動き方が求められる。

あとは、どういう空間をつくるかが、会社全体の売り上げにも影響するんです。リビセンはたくさんの古材を抱えているので、それを使えば使うほど会社の売り上げは上がる。だからといって「床も天井も全部、古材を使おう!」なんて考えると、きっと予算に合わないだろうし、そもそもよい空間にはならないだろうから、絶対しないですけど(笑)。

でも、そんな風に設計業務と会社の売り上げが紐づくことは忘れないでほしい。材料を抱えている設計事務所って、珍しい存在です。難しい部分かも知れないけれど、会社の経営に影響する重要なポジションだと感じてもらえたら嬉しいです。

一緒に未来をつくるために、求めること

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━━ リビセンにおける設計の仕事、求められる姿勢がだいぶ見えてきました。最後に改めて、リビセンが求める人材について教えてもらえますか?

いくつかあります。まずは、冒頭でも説明した「クライアントの事業計画を見て提案する」力があるということ。店をつくる人が店を知らないって、おかしいですよね。もちろん、店舗の運営経験がある設計士なんてそうはいないから、そこまでは求めません。

でも、店舗経営への感覚が研ぎ澄まされていると、カフェやレストランに行った時に気がつくことが多いんです。「店主がつくりたかった空間のイメージが設計士までうまく届かなかったんだな」とか、逆に「設計の人が目指した空間があるのに、オペレーションの人がその意図を組み切れていないんだな」とか。「平日なのにこんなにスタッフ数はいらないんじゃないか」「いや、あの人は1週間分の仕込みに来ているのかも知れない」なんてところまで見えてきたり。

そういう目線を持てていると、クライアントとの話も早く進むんです。

あとは、「店舗や住宅の空間に興味を持っている人」。当たり前のように感じるかも知れませんが、趣味のように空間を考えられる人ってそう多くないんです。店舗づくりにおいても、クライアントが「東京のあの店が好きなんです」と言ったときに、「似たような空気感を持った、こういうお店もありますよね」と返せる引き出しを持っているか。それは住宅づくりにおいても同じで、人の家に行って「いい感じだ」と思えたときに、それはなぜなのか、家族構成が空間にどう影響しているんだろうか、と自然と考えてしまう人に来てもらえたら嬉しいです。

そして、社内でもよく言うのが「お店をつくる人の人生を背負う覚悟がある」こと。自分がよいものを作れなかったら、クライアントは借金まみれになってしまうかも知れない。そのリスクを受け止めながら設計できるか。

リビセンは友達のような関係性のクライアントが多いけれど、お店づくりに失敗したら、友達関係も終了してしまうかも知れない。でも、だからこそ、うまくいったときにはおたがいが心の底から喜びを分かちあえる。

求めるスキルや姿勢をいろいろ語りましたが、全部が完璧にできる必要はないです。だからこそ、重要になるのは「足りないスキルや知識を自習して身につける力」と言えるかも知れません。分からないことはちゃんと伝えていくし、悩みは共有して解決したいと思っています。その上で、自分に足りない部分を能動的に埋めていこうとする人であってほしいです。

リビセンでは、クライアントと一緒に、楽しく、やりがいを持って古材を活かしたリノベーションに挑戦できます。もし、リビセンが見ている未来と、設計士としての自分が見ている未来が合わさっている人がいたら、ぜひ応募してもらえたら嬉しいです!

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