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『SMの思想史』補遺①『風俗草紙』創刊予告広告
先日刊行された拙著『SMの思想史 戦後日本における支配と暴力をめぐる夢と欲望』(青弓社)で引用した史料のうち、現在入手が難しく参照が困難なものについて、いくつか補遺として写真を掲載いたします。
まず、第1部第2章「第二世代雑誌と弾圧——「風俗草紙」以後」で引用した(105ページ)、『特集雑誌オール実話』特別増刊号(日本特集出版社、1953年6月発行)裏表紙掲載の『風俗草紙』創刊予告広告です。
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![](https://assets.st-note.com/img/1715829562577-JZs2wAocz9.jpg)
『風俗草紙』は、日本特集出版社刊行の「特集雑誌オール実話増刊」として創刊されています。拙著では、日本特集出版社は、日本文芸社が『風俗草紙』を作るためにつくった別会社だと説明したのですが(104頁)、正確にはこの『オール実話』から日本特集出版社刊行です。
『オール実話』、私が持っているのは以下の4冊だけですが、なかなか煽情的な表紙で、『風俗草紙』よりもかなり「低俗」そうな見た目の雑誌です。
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『風俗草紙』予告広告は、黒いルーズリーフ風の広告部分の背後に、西洋風の絵が重ねられていますが、これはおそらく戦前に発行された『犯罪科学』に使われた海外のイラストをイメージしているのではないかと思います(参照元が『犯罪科学』そのものかは不明です)。
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予告の背景の元になった同じ絵がありそうな気がしていますが、まだ私は見つけられていません。ご存知の方がいたらご一報ください。
この予告が『犯罪科学』のイメージを利用しようとしていることから、この段階で『風俗草紙』は「科学」的なイメージを雑誌に付加しようとしていたと推測されます。どちらかというと、本書で言うところの「研究誌」路線だった可能性が高いわけです。
拙著で論じたように、この点は、元『奇譚クラブ』の編集者・須磨利之が編集に関わることでかなり変化し、実際に創刊された『風俗草紙』は研究誌と娯楽誌の折衷的外見を持っていました。
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