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【書評】文学性高めの短編マンガ


Discordでオススメされていた短編マンガのリンク集。
人に勧めたいのにタイトルを忘れることがあるので、忘備録として残しておきたい。
ほとんどスペリオール新人読切なのだが、どの作品も私小説のようで胸に刺さりまくった。
若い作家が繊細な感性を作品として表現しているのが良い。
読むときはメンタルが健全な時がオススメ。
病んでる人は読んじゃダメ。

1.わたしひとりの部屋/udn

発達障害っぽい子が主人公。
(遅刻の多さや計画性のなさとか)
ネットゲームが趣味で、承認欲求をゲーム内で満たしているところがリアル。
上京しても就職先がなくて親から公務員を勧められたり、リアルな繋がりがゲーム友しかいないのも解像度が高い。
びっくりするくらい良いことが起きないのに、ゲーム内のランク昇格で喜んでるところにグッと来る。
この作品、主人公のルックスが悪く描かれたら、ツラくて読みきれなかったと思う。

2.失踪再走/勝見ふうたろー

生活に疲れたOLが海に死にに行く話。
最近だと『マイ・ブロークン・マリコ』を彷彿とさせる内容。
弱ったときに人の優しが身に沁みるのは分かる。
凹んだ人が再起して元の生活に戻っていくのはベタだけど良い。
絵は『蟲師』を思い出す感じで、田舎のイメージに合っていた。
蛍のシーンはちょっと演出過多かも。

3.包丁を買う/折田洋次郎

宗教2世の清掃員の人が主人公。
タイトルから不穏な感じがするが、その予感は間違っていない。
上記の『疾走再走』と似たような境遇なのだが、男はテロに走り、女は自死を選択するところが性差として興味深い。
限界ギリギリのところで、人の優しさに救われる所も共通している。
ただ、こちらの方が救われない環境なのは確か。
それでも誰かの言葉一つで生きる気力が湧くところを描いてくれたのは良かった。

4.ファーストクラッシュ/ヤミコ

自己評価の低い女の子が同僚に怒られる話。
ホントにそれだけなのだが、説教の内容が結構しみる。
理不尽な状態に置かれても当事者意識が薄いのは、何となく分かる。
というかブラックな環境でも続いている人のメンタリティは大抵そういう状態だと思う。
トイレのシーンは強く印象に残った。
ああいう感じに繋げる発想はどこから来るのだろうか。
(実体験?)

5.船場センタービルの漫画/町田洋

町田洋さんの施設紹介漫画。
以前、どこかで紹介した気がする。
作者がうつ病のリハビリで描いているので、絵は簡素。
詩的な表現も多く、エンタメ性は薄い。

港はすべての海の名を知っている

船場センタービルの漫画

この言葉が妙に印象に残り、何度か読み返している。
ビルの紹介になっているかは分からないが、施設の名前は覚えることができた。
大阪に行ったときは寄ってみたい。

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