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『少女Null』から見るSFの設定の難しさ

ジャンプ+で連載の始まった『少女Null』という作品。
舞台設定が23世紀なのだが、ツッコミ要素が多いため、コメント欄が荒れている。
自分も色々と思うことがあったので書いていきたい。

少女Null

この世界では人間の代わりに義人というロボットが働いているのだが、現在(21世紀)の人間の労働をロボットに置き換えただけである。
そのため、レジ打ちや配達はロボットが行っている。
1話から粗探しは無粋かもしれないが、作業用ロボットを人型にする必要性はあるのだろうか。
レジに関しては現在でも無人化を進める方向で動いているし、Uber Eatsをロボットが自転車で運ぶ必要性もない。
ローンの配送にした方が現実的な気がする。
あとは、多くの人がツッコんでいた運転手の存在。
何故か人が運転していて、居眠り運転で事故を起こす。
自動運転ではないし、安全支援システムが付いていないが不思議。

少女Null

学生が使っているのもスマートフォン
23世紀なのに最新デバイスがスマフォなのに驚く。
人類の進歩は21世紀から止まってしまったのだろうか。
(世界大戦で多くの技術が失われた設定?)
最近のSF小説では、生体埋め込みデバイスをよく見るのだが、この作品は頑なにスマフォがメインデバイス。

少女Null

そして、YouTubeは未だ健在。
(創業200年?)
途中で迷惑系YouTuberが登場するが、やってることは現在と同じ。
もうこの辺りで時代考証に関して考えるのを止めて、パラレルワールドと考えることにした。
あとは、町並みとか家の内装も完全に現在なので、作者は義人以外の設定は練っていないのだろう。
リアル鬼ごっこ』が西暦3000年という時代設定で同じような舞台だったのを思い出した。

少女Null

主人公は中華料理屋のアルバイトをしている。
料理の自動化はまだ進んでいないようだ。
店に関して言うと21世紀どころか20世紀感が漂っている。
また、配送も自転車で行っているのに驚く。
※日本が貧困化していおり、ロボットよりも人間のほうがコスト的に安い可能性もある。

少女Null

ただし、警察官の武装のみは近代化。
指揮官が非武装なのは謎である。
キャラ立ちのために顔出しは分かるけど、前線で非武装は危険だと思う。
ただ、近代化が進んでいる組織にも関わらず、会議はプロジェクター投影だし手帳にメモしているのはツッコミを入れたい。

以上である。
SFは時代設定を慎重に考えないと、総ツッコミを食らうジャンルである。
ロボット≒人型という先入観もドラえもんの影響で強いが、捨てた方が良いと思う。軍事用ロボットの外観を少女にする理由も説明が必要だ。

『少女Null』もロボットでなく、宇宙人という設定の方が違和感がなかったかもしれない。
とりあえず作者は『エルフェンリート』みたいな作品が書きたかったのは伝わってきた。
現在2話まで無料公開されているので、引き続き暖かい目で見守りたいと思う。


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