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ねこぢる大全で印象に残った話・9選
最近、Kindle Unlimitedで『ねこぢる大全』が無料になっていることに気づいた。
上下巻が無料なので、早速DLしてみた。
内容は噂通りの不条理系マンガで、カワイイ絵と残酷な展開のセットだった。
ねこぢるとの出会いは、ニコニコ動画でアニメを見たことから始まる。
30分のアニメ映画だが、風邪の時に見る悪夢のような内容とキャラクターの造形が癖になり、何度も再生した。
その時は原作がマンガであることは知っていたが、何故か手は伸びなかった。
それから数年経った現在、ようやく読む機会がやってきた。
ドキドキしながらページをめくったが、正直言って不快な描写が多かった。
汚物や内臓が飛び散る描写がちょくちょく挟まれるのだ。
映画版で綺麗に整えたものを先に目にした為、原作の荒々しさが気になってしまった。
そのため、精神的に余裕がない時には読まない方が良い思う。
まずは上巻から紹介していく。
1.デビュー作
デビュー作から猫を去勢する話である。
しかも、うどん屋さんに子猫を持ち込むという内容。
いきなり意味がわからなくて驚いた。
![](https://assets.st-note.com/img/1658026234542-Jiq7ZimWN2.png?width=800)
うどん屋さんも困惑するが、手術に失敗して猫は亡くなる。
話としては以上。
インパクトはあるが、シュールすぎて評価に困る。
これで才能を見抜いた編集者は偉い。
2.たましいの巻
よく分からないエジプト人?に、にゃーこ(姉)の魂が取られる話。
本来死ぬ予定だったが、にゃっ太(弟)が連れ去れる魂を掴まえた為、魂が半分にちぎれてしまった。
![](https://assets.st-note.com/img/1658026682669-KAXMgFhjRs.png?width=800)
魂が半分にちぎれたため、虚な表情で失禁する姉の姿が怖い。
最終的に半分にちぎれた魂は弟によって姉の身体に戻されるのだが、最初のエジプト人の正体は説明がないので、嫌な感覚が残る。
映画版でもにゃーこが魂を取られる展開があったので、この話から取ったのだと思う。
3.西友の巻
豚と西友に行く話。
ねこぢる世界では、猫と同等の知識を持っていながら理不尽に差別される豚が出てくる。
映画版では身体にジッパーを取り付けられ、簡単に部位を取り出せるようになっていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1658027344423-7mGAMLgjXj.png?width=800)
豚くんの回はアパルトヘイトのような嫌な気持ちにさせる。
そして、悪いことは何もしていなくても、豚くんには悪いことが起きる。
生まれながら差別される存在という不条理である。
4.半魚人
半魚人が仲間を助けに行く話。
珍しく話の構成がしっかりしている。
![](https://assets.st-note.com/img/1658027721952-OKJXUup6CH.png?width=800)
SF要素も強めで、マッドサイエンティストが養殖した半魚人で佃煮を作っている。
主人公と一緒に行動する半魚人は、人間の要素が多いので知能が高いのだが、養殖されている兄弟は魚程度の知能しか無いというのが悲しい。
アクション要素も強めで、父親が無双したりと映像化向き。
ただ、オチは安定の不条理。
5.かちく
タイトル通り、家畜の話。
豚がトンカツを食べる話。
![](https://assets.st-note.com/img/1658028122178-IAwbNjSEq0.png?width=800)
シンプルに後味が悪い。
豚くんが両親に疑問を投げかけているシーンは胸が痛い。
ラストシーンでトンカツになった豚くんを弟が食べている後ろで両親が交尾しているシーンが最高に悪趣味。
作者のセンスを一番わかりやすく伝えている作品だと思う。
6.にわとりの巻
![](https://assets.st-note.com/img/1658028620394-U4g55912TW.png?width=800)
にわとりにも厳しい。
作者の価値観として、家畜よりも愛玩動物の方が上というのが分かる。
アル中の無表情の親父が一言も喋らず殺戮するのが、怖いところ。
まぁ、暴力で解決するところは人間社会への皮肉かもしれない。
ちなみに下巻でも、鶏夫婦は父親に食材にされる。
そして、息子に親子丼を食べさせるという胸糞展開が待っている。
これは、『かちく』のセリフリメイクだと思われる。
7.ねこざる戦争
ネコvsサルの戦争。
平和主義のサルのお父さんに対して、ネコ側はひたすら無慈悲。
ウイグル問題がテーマなのか?と考えさせられる内容。
![](https://assets.st-note.com/img/1658028900785-rD6wPOkoVE.png?width=800)
道徳的に正しくても、相手が同じ土俵に立っていなければ話し合うことはできない。
作者の思想が結末に上手く出ていて、上巻の中では一番好きである。
後味は悪いが、不条理だけではない奥行きを感じるからだ。
以上が上巻で印象に残った作品である。
ここからは下巻を紹介していく。
8.インド編
西原理恵子の鳥頭紀行を思い出す内容。
というか、西原作品はねこぢるインスパイア系ではないだろうか。
『ぼくんち』の理不尽な現実感とか、可愛いキャラクターと悲惨な現実というのは似た部分を感じる。
![](https://assets.st-note.com/img/1658030241773-Pj4KnDMA5M.png?width=800)
ヤニ臭いラッシー(違法)を飲む話。
トリップするらしい。
まぁ、インドに旅行行く話だとお決まりの流れ。
冷めた感じの2人がインド文化を淡々と受け入れるところが見どころ。
インド旅行に行く気は起きない。
9.かぐや姫の巻
![](https://assets.st-note.com/img/1658030519321-myDlDlqsP7.png?width=800)
竹ごと頭を切られてアホになってしまったかぐや姫の話。
頭が治るまで犬と飼われるという理不尽さ。
昔話×ねこぢる系はシュールな話が多い。
以上である。
下巻はインド旅行記や4コマが多く、上巻ほどの刺激は少ない。
やはり初期〜中期が勢いのある時期だと感じる。
軽く読むなら上巻だけで良いと思う。
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