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書籍レビュー

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本を読んで学んだ知識や、普段思ったことをまとめます。
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#書評note

今こそビジネスマンは『おぢいさんのランプ』を読むべきかもしれない

『ごんぎつね』『手袋を買いに』で有名な新美南吉の作品。 多くの人は教科書でしか読む機会のない作家だと思う。 (自分もそうだった) 自分はたまたまSNS上でこの作品を知り、読むに至った。 80年前の作品だが、物事の本質を突いた作品なので紹介したい。 この先はネタバレありで書評をしてきたいと思う。 1.未知との遭遇この話は、技術の進歩によって職を失う人間の心情をリアルに描いている。 巳之助(主人公)は、町でランプの存在を知り、行燈の時代が終わることを知る。 文明開花を肌で感

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2024.01)

01.活字本01.スローターハウス5 山田玲司がYou Tubeで絶賛していたSF。 『タイタンの妖女』と同じヴォネガット作品。 古いSFということもあって文章は読みにくい。 そして、時間が頻繁に跳躍するため話がわかりにくい。 称賛すべき点は、トラルファマドール星人という過去と未来を同時に見ることが出来る宇宙人を描いたこと。 この設定は最近のSFの『メッセージ』でも出てきたし、ジョジョ第6部のプッチ神父の目指した世界にも通じるところがある。 02.逡巡の二十秒と悔恨の

【書評】これからの本屋読本

本屋の業態から、本屋の始め方、これからの本屋について書かれている本。 内容はエラく濃い。 全部はまとめ切れないので、本屋の可能性を示している店を上げたいと思う。 詳しく知りたい方は第6章「本屋と掛け算する」を読んでほしい。 1.誠光社京都にある自宅兼書店のお店。 店舗内ギャラリーやトークイベントなど、書店以外の活動も盛んに行っている。 本書の後半で書店をオープンするまでの話が載っているので、参考になる。 (事業計画書や開業資金など) 2.Cats Meow Books猫本

最近読んだSF作品について(4選)

ほとんど伴名練作品のレビューになるが、最近読んで面白かったSF作品を上げていく。 意識せずに読んだのだが、全てが百合SF。 ガンダムといい、最近はこの手のジャンルが流行りらしい。 時代にはあっていると思う。 現実も性別の壁を突破しようとしているし、ハリウッドも優しいポリコレ世界を構築しつつある。 1.なめらかな世界と、その敵表紙絵とタイトルに惹かれて購入。 ジャンルがSFというのも読むまで知らなかった。 SF短編集なのだが、どの話も結構エモい。 表題作は、自分の好きな世界

『マインドコントロール』書籍まとめ(後編)

前半に引き続き、マインドコントロールについて要約していく。 後半は主に技術的な説明にスポットライトを当てている。 中身が複雑になってしまったので、別の記事で簡易にまとめたいと思う。 4.無意識を操作する技術催眠を医学的に用いたアントン・メスメル メスメルは催眠状態に導入するためには、施術者と被験者との間に、ある種の信頼関係(ラポール)が必要であることを発見した。 メスメルの催眠は心因性の疾患には有効であっても、器質性の疾患には効果はなかった。 自己暗示療法を確立したエミー