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書籍レビュー

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本を読んで学んだ知識や、普段思ったことをまとめます。
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今こそビジネスマンは『おぢいさんのランプ』を読むべきかもしれない

『ごんぎつね』『手袋を買いに』で有名な新美南吉の作品。 多くの人は教科書でしか読む機会のない作家だと思う。 (自分もそうだった) 自分はたまたまSNS上でこの作品を知り、読むに至った。 80年前の作品だが、物事の本質を突いた作品なので紹介したい。 この先はネタバレありで書評をしてきたいと思う。 1.未知との遭遇この話は、技術の進歩によって職を失う人間の心情をリアルに描いている。 巳之助(主人公)は、町でランプの存在を知り、行燈の時代が終わることを知る。 文明開花を肌で感

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2024.03)

01.活字本01.スタープレイヤー https://amzn.asia/d/czy549X 『ヘブンメイカー』の前作。 自分は勘違いして2作目から読んでしまったが、こちらが1作目。 30代無職の女性が異世界へ飛ばされ、好きな願い事を10個叶えてもらう話。 2作目と比較すると願い事の使い方がラフ。 話のスケール感も小競り合いメインでコンパクトだった。 個人的には『ヘブンメイカー』から読むことをオススメする。 02.こちらあみ子 https://amzn.asia/d/

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.12)

01.活字本01.正欲 フェチズムがテーマの作品。 無機物に欲情する性癖(水フェチ)に悩む人達が出てくる。 2次元界隈の業の深さを見てきた身としては「そんなに悩むことかな?」と言った感じで共感は出来なかった。 水をテーマにしたのは、過去のエピソードを美しく描く理由もあったと思う。 個人的には、検事が自分のフェチズムに気付くところと、逃げ恥カップルが最後まで互いを信頼するシーンが良かった。 浅井リョウ作品は、現代人の葛藤の言語化がすごく上手いのだが、刺さりすぎるのでメンタル

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.06)

01.書籍01.プロジェクトヘイルメアリー 火星でのんびり農業ライフをする『オデッセイ』の作者の新作。 地球のピンチに1人の科学教師が立ち向かうというスケールの大きい話。 久しぶりの上下巻構成だったので、読むのに時間がかかった。 特に上巻の終盤は、状況が脳内で想像しづらくて苦労した。 下巻まで行けばスラスラ進むのだが、SF初心者には翻訳文のハードルが高いと思う。 主人公の相棒が大変かわいい存在なのだが、ネタバレになるので語れないのが残念。 登場人物も意外と少ないので読みやす