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ゼロから合格!ビジネス実務法務検定2級


はじめに

ビジネス実務法務検定3級、2級、1級は東京商工会議所が運営している様々な民間資格(検定)のひとつです。

いわゆる民間検定なので転職市場で有利になるとか、そういう価値はないです。ゼロです。無価値です。同じ商工会議所の資格で比較したとしても商工簿記2級を取得した方が遙かにつぶしがききます。

そういうのを求めている人は受験するのやめた方がいいです。


受験意図

筆者は中小卸売の営業部10年目ですが、学生時代ろくすっぽ勉強してこなかったので法律関係の一般教養が大分足りておらず……仕事中に債権・債務とか抵当権なんかの単語を耳にしてもあまり意味がわかっていないです。

ミナ○の帝王とかカ○チタレ読んで「ほへ~知らなかった(感心」という感想が出てくるくらいにわかってないやつです。仕事は雰囲気でやってます。

出典:バカが考えた株の漫画

ですが後輩の人数が二桁くらいになってきた10年選手が民法・商法・会社法のルールを把握しないで新人指導とかするのは足元が危うすぎてヤバいな!という危機感が受験のきっかけでした。

この2級検定試験の範囲は、ちょうど債権回収・担保・抵当権あたりと知財が中心なのでなんとなく物売り商売やってる人にぴったりです。これたぶん回収部門が営業に(キレながら)知ってろよ!と思ってる知識です。


スケジュールを決めよう

バカみたいな話ですが、まず次の試験日を確認しましょう。民間検定試験だからといってTOEICみたく毎月試験を実施しておらず年2回だけです。

予備知識ゼロからだと合格まで約3ヶ月(100~120時間くらい)勉強することになるのですが、ここは人それぞれモチベの波があるので自分にあったスケジュールを立てましょう。あんまり無計画にやると不合格になります。


勉強方法

与信・売掛管理とかの部門にいる人は、日々の仕事で蓄えた予備知識&法律的思考の基礎があるので、公式問題集を3周すれば合格します。以下は自分のように予備知識が一切ない独学者用。
なお、合格だけが目的ならTACとかの講座受講するのが手っ取り早いです。

①試験の傾向

大ざっぱに試験範囲は以下の通り。
求められる知識の深度もテキスト1冊分なので、かなり浅いです。

・会社法(概論)
・商法(概論)
・債権保全
・債権回収
・知財
・企業活動と法規制
・民事訴訟(概論)
・国際取引(概論)


試験問題は正誤を問う形式のみ、以下はサンプル問題

問.次のア~エの記述のうち、その内容が正しい組み合わせを選びなさい。
①アイ ②アウ ③アエ ④イエ ⑤ウエ
────────────────────────────────────────────────
ア.消費者契約法は、労働契約も含めて、事業者と消費者との間で締結されるあらゆる契約に適用される。

イ.事業者は、消費者契約の締結について消費者を勧誘するに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた。この場合、当該消費者は、当該勧誘により当該消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたときは、その意思表示を取り消すことができる。

ウ.消費者契約法が規定する取消権は、消費者保護の観点から、その行使期間についての定めがなく、消費者はいつでも取消権を行使することができる。

エ.事業者と消費者との間の契約において、事業者が契約の重要事項に関して事実と異なる内容を告げる行為は、民法上の詐欺による意思表示における欺罔行為に該当するため、消費者契約法上の不適切な勧誘行為には当たらない。

オ.事業者と消費者との間の契約において、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限しまたは消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、消費者契約法上、無効である。

出典:東京商工会議所検定サイトの問題にチャレンジ!

回答の選択肢が正しいものを2個選択せよ、とか○×の組み合わせを選択させるものなどバリエーションこそありますが、結局どれも問題文の正誤を問う点では大差ありません。
落とすための試験ではないので、ひねくれた問題とか難問もないです。


②テキストの選び方

まずは本屋で立ち読みするなりして自分に合いそうなテキストを選んで1冊購入してください。当然ながら今年度の物であることは必須。頻繁に改正される分野なので、お金をケチって数年前の古本で勉強してはダメです。

個人的には解説の図解多めの本がオススメ。やはり文字だけだと難しく、例えば下記の条文読んで覚えても"C++完全に理解した"になっちゃいます。

債権者は,債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし,その行為によって利益を受けた者〔受益者〕がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは,この限りでない。

民法第424条1項

でも、下記のような図解があればイメージしやすくなって理解が進みます。時間は貴重なのでテキストはわかりやすさを優先して選んで下さい。

出典:オンスク.jp
https://onsuku.jp/blog/bizihou_law_015


③テキスト読みの心得

テキストを読む際は、わからない用語や疑問点が出てきても一旦無視して、どんどん読み続けることが大切です。
最初から最後まで通しで読んで初めて意味が頭に入ってくる部分というのが絶対あるので都度立ち止まらないでください。疑問点があったら付箋メモを貼っておくだけでOK。大半は2~3周するころには自然と解決しています。

もし2周目に読んでもわからないままなら、それは貴方が苦手な箇所あるいは表面的にざっと読むだけでは理解できない要素です。テキスト外の資料をあたってでも、しっかりと意味・意義を深掘りして覚えるべき価値がありますので、ここでは一定の納得が得られるまで調べてみましょう。

法令の条文はe-Gov
解説は行政書士/司法書士/宅建とかの解説サイトを参照するといいです。


④問題集の選び方

一問一答と公式問題集の2冊買って下さい。
高額ですが公式問題集は直前対策に最適なので必ず購入してください。

前述した通り試験問題は文章の正誤を問うものしか出されないのですが、言いかえれば問題文を始めから終りまで正しく読む必要があります。twitterなんかで揶揄される文章を読めない人状態ではダメです。文章を自分に都合よく、雑に、斜め読みする癖がついている人は矯正が必要です。

かといって、いきなり本試験と同じ方式の問題集に取り組んでも4~5つの選択肢全てを(斜め読みせずに)精読しないとならない、というのは慣れるまで結構ツラいので序盤でやる気を失って挫折します。

その点、一問一答は問題文を1個だけ読んで○×の判断を下せばよく、とても手軽に始められるので本試験方式に比べてハードルが低く、やる気を稼ぎやすいです。また、ある程度進めてからも単語帳感覚で使えて便利です。


⑤勉強の進め方

特に専用の方法とかないです。
以下を3周した後に公式問題集の模擬試験3回分を1~2周すれば合格します。


テキストを読む
  ↓
一問一答に挑戦
  ↓
間違えた内容をノートにまとめて整理する
  ↓
(繰り返し)


よくわからないまま文章を読み続けるのはストレスだ!という人は、いきなり一問一答に挑戦してください。何を試験で問われるのかがわかってからテキストを読めば、どこが重要かわからない漠然とした読み方ではなく要点を押さえたメリハリある読み方が出来るので飽きにくくなります。

なお、同じ問題集を何周かすると問題集の内容そのものを覚えてきてしまいますが覚えてしまって一切問題ありません。むしろ問題文はパターン化されているので問題集を一言一句すべて暗記できれば試験に通ります。


⑤ノートのまとめ方

試験範囲が本一冊分なのでカンニングペーパー勉強法が向いています。

ほとんど勉強していなかった科目のテスト前に……テストに出そうなことを消しゴムや小さな紙に書き込んだそうです。すると、カンニングペーパーをつくる作業自体が十分な勉強になっていることに気づき、試験ではカンニングせずに点数がとれたのだとか。

STUDY HACKER

……という要点をカンニングペーパーにまとめられるやつは、その時点でカンニングせずに合格できるってのです。流石に手のひらサイズは無理があるのでテキスト1冊分の情報をA4用紙20~40ページくらいにまとめます。

最初は覚えるべきことや大切な部分が上手く掴めなかったり整理できなくてページ構成や順序を何度も変えることになるかもしれません。ですが、むしろ何度も書き変えるくらいでいいです(モチ手書きしなくていいです)。

ただし、本当に暗記カードのようなキーワードだけ詰め合わせでは試験にしか役に立たないものが完成してしまいます。後日見返して使える備忘録になるよう最終的には多少はレイアウトにも気を使って、一覧性・見やすさや流れのある体系的な構成になるように心がけてください。

結果的には、それが学習した知識についての脳内整理に繋がります。



3級も学んでおくと良いヨ

契約・諾成契約/要物契約・消費貸借契約・財産権(物権・債権)・供託・抵当権なんかの基礎用語は2級テキストでは前提知識扱いです。

これら用語を文脈からなんとなく意味を掴んで読み進めても試験には合格します。でも、せっかく学んだ知識が穴だらけになります(例えば自分は契約の解除=違約金なしで解約できるだけ、という盛大な勘違いをしていた)。

用語以外にも注文書もらったら返事しないと受諾扱いされる、とかも法定されているのですが3級テキスト読まないと触れないままになります。

1.商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。
2.商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。

商法509条

こうした法律の条文に基づき、業務中に身に付けてきた「自社の慣習・常識」を裏付け/アップデートする作業も一度はやっておきましょう。日々のお仕事の解像度が上がって面白いです。

ひとまず3級テキストを買って辞書代わりとして手元に置いておきましょう。用語を調べるたびに周辺頁も読んでおけば知識の土台が補強されます。




で、実務に役立つの?

試験勉強は基礎知識の詰め込みに終始するので、関連本を併読してケーススタディを重ねて実践的な知識になるように鍛えていく必要があります。

仮に一般教養レベルで十分だとしても、それすら試験通ったとこがスタートラインなので合格したところで勉強をやめないで継続しましょう。



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