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一齊堂の特殊鍼法|眼の鍼

対応する症状

当院では、眼に特化した鍼を行っています。

最近では、TV・パソコン・スマートフォンの長時間の使用による眼精疲労を原因とした自律神経失調(コンピューター・ビジョン・症候群)や飛蚊症。

また、失明に繋がるような慢性眼科疾患である緑内障や白内障、黄斑部変性症といった様々な眼の病気の治療に力を入れています。

その他、眼精疲労からくる近視・遠視・乱視、まぶたがピクピクする眼瞼けいれんの改善。

老眼の予防。

まぶたが下がる眼瞼下垂や、アレルギー性・ウイルス性結膜炎、化学眼外傷などの目が赤く腫れるもの。

ウィルス感染や眼を動かす神経の麻痺による大人の斜視への治療をしています。


1.使用する鍼

とても細くて柔らかい毛鍼(もうしん)を用います。

髪の毛ほどの細さの毫鍼よりもさらに細く、極めて細い鍼を用いることで、静脈の豊富な眼周辺の組織にも、安全で効果的な鍼治療を行うことができます。

毫鍼


2.眼球環境を調える

眼球環境を調えるポイントは、眼球を取りまく組織の柔らかさと血流の促進により、栄養供給と老廃物排泄にあります。

眼球は、白目として知られるとても硬い膜に保護されているので、眼球内に直接アプローチはできません。

そのため、鍼療のポイントは、眼球が収まっている眼窩内の血流を促し、代謝を盛んにすることが大切です。


3.治療点

眼窩の周りには、眼球環境を調える複数のツボがあります。

主要なツボは、「上眼窩裂・下眼窩裂」という2つの骨の孔にあります。

上眼窩裂からは、眼球運動に関わる動眼神経・滑車神経・外転神経・額の皮膚感覚を伝える眼神経(三叉神経の第1枝)や、上眼静脈が出ています。

下眼窩裂からは、上顎神経(三叉神経の第2枝)の枝である眼窩下神経と頬骨神経、下眼静脈が出ています。

全身調整と目に特化した鍼によって、効果的な治療ができます。


治療の流れ

1.はじめの診察が大切

問診に始まり、脈診(みゃくしん)・腹診(ふくしん)・舌診(しんさつ)・ツボの状態などの所見から、症状の原因を東洋医学的に分析します。


2.治療方針を立てる

体質・体調を調える間接的な治療と、症状を改善するための直接的な治療を組み合わせて、相互の相乗効果を目指します。


3.ツボを選ぶ

例えば、眼精疲労による肝血虚と呼ばれる血の消耗した体調であった場合、足の親指と人差し指の間にある 足厥陰肝経 太衝穴(たいしょうけつ)に鍼をして、血を増やしながら眼の緊張を取るための全身の調整としてアプローチしつつ、眼の周りにあるツボに鍼をすることで眼の緊張をゆるめたり、血流を改善します。

足厥陰肝経・太衝穴


また、緑内障の場合は、眼窩の際にあるツボに鍼をし、その上で足首の真ん中にある 足陽明胃経 解谿穴(かいけいけつ)を用いることで、眼の自律神経の緊張をゆるめ、シュレーム管からの眼房水の排出を促すようにします。



今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。

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