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ファルコン9、iスペース着陸機とNASAキューブサットを月へ打ち上げる(spacenews翻訳12/11)

iスペース着陸機の展開

ワシントン - 民間月探査の新時代は、NASAのキューブサットを搭載した日本の着陸船ミッションのファルコン9による打ち上げで、12月11日に幕を開けました。

スペースX社のファルコン9は、ケープカナベラルの発射場Space Launch Complex 40から東部時間午前2時38分に離陸しました。
5回目のフライトとなるロケットの第1段は、打ち上げから約8分後にケープカナベラルの着陸帯1に着陸しました。

11月下旬に予定されていたこの打ち上げは、ファルコン9の未確認の問題により、2週間近くずれ込んでいます。
12月8日に行われた40基のOneWeb衛星のファルコン9打ち上げも遅延に見舞われましたが、これらとの関連は不明です。

安定のファルコン9は5回目の打ち上げ

ロケットの第2段は、2回目の燃焼の後、発射から47分後に日本のiスペース社のHAKUTO-R M1宇宙船を展開しました。
この宇宙船は月への低エネルギー軌道を飛行し、約5ヶ月後の着陸に備えることになます。

Falcon 9の上段から展開されたiスペース HAKUTO-R M1着陸機。

HAKUTO-R M1は、月の裏側の北東部にあるフリゴリスの海の端にあるアトラス・クレーターへの軟着陸を試みます。
HAKUTO-R M1は、アラブ首長国連邦の月探査機「ラシッド」など、技術実証やプロモーション用のペイロードを搭載した宇宙船の試験飛行と位置付けられています。
2回目の着陸機ミッションであるM2は、2024年までの打ち上げを予定しています。

HAKUTO-R計画に見せる自信

HAKUTO-Rは、12年前にX Prize Foundationが主催する商業用月面着陸機の開発促進を目的としたコンテスト「Google Lunar X Prize」に参加したチームとしてスタートしました。
iスペースの創業者で最高経営責任者の袴田武史氏は、打ち上げ前のインタビューで「X Prizeの時点では、スタートから3〜5年で打ち上げられると思っていた」と振り返ります。
「しかし、これだけの時間をかける必要があったのだろう」

月への軟着陸に成功したのは、米国、中国、旧ソ連だけです。
2019年、イスラエルの民間資金による宇宙船Beresheetが月への着陸を試みて墜落し、その数ヶ月後にはインドの宇宙機関ISROによる宇宙船Chandrayaan-2の着陸が失敗しています。

袴田氏は、宇宙船の外部審査も含め、着陸を確実に成功させるために「設計の観点から、できることはすべてやった」と語りました。
「私たちは着陸に大きな自信を持っている」

この自信は、誘導・航行・制御のソフトウェアを提供したドレイパー社との協力によるものだと彼は言います。
「過去に他の宇宙船が失敗したとき、それはいつも着陸の段階だった。ドレイパー社との協力により、着陸に強い自信が持てるようになった」

「簡単ではありませんが、実現可能だ」と彼は言いました。
「できることはすべてやった」と。

袴田氏によると、M1に似たiスペースのM2ランダーは、すでに作業が進行中です。
M1の開発に基づいて、M2の着陸機には「いくつかの改良点がある」といいます。
「ミッション2では、より良いミッションにすることができそうだ」

月-地球商業圏時代のはじまり

HAKUTO-R M1の打ち上げは、商業的な月探査の新しい波の始まりとなります。
アメリカの2つの企業、アストロボティックとインテュイティブ・マシーンは、2023年初頭に最初の月着陸船の打ち上げを計画しています。
両社とも、NASAの商業月ペイロードサービス(CLPS)プログラム、およびその他の政府・民間顧客向けのペイロードを搭載します。

ドレーパー社とファイアフライ社は、商業月着陸船ミッションのCLPS賞も受賞しています。
ドレーパーはiスペースの米国事務所が開発した、HAKUTO-Rよりもかなり大きな着陸機を使用する予定です。

袴田さんは「商業宇宙産業の新時代を切り開く」と語りました。

また、NASAのジェット推進研究所が開発したキューブサット「Lunar Flashlight」も打ち上げられ、HAKUTO-R M1の約6分後にファルコン9上段から分離されました。
この6Uキューブサットは、南極上空の地表から15km以内の高度な楕円軌道に乗り、そこにあるクレーターにレーザーを照射して水の氷の痕跡を探すことができるのです。

ルナ・フラッシュライト」は、当初、スペース・ローンチ・システムの初号機で打ち上げられる予定でした。
しかし、探査機の推進システムに問題があり、ロケットに搭載するための納期である2021年秋に間に合いませんでした。
NASAは当初、インテュイティブ・マシーン IM-1ミッションの二次ペイロードとしてそのフライトを調達しましたが、IM-1ミッションが2022年末から2023年3月にずれ込んだため、iスペースの打ち上げに移したのです。

#iスペース
#スペースX

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