とわに共に(短編小説)※微編集
「いってきます、今日は7時前には帰れると思うから。」
『いってらっしゃい、気をつけてね。』
まるでテンプレートのように、僕は同じ台詞を毎日繰り返している気がする。
僕の生活は特別な何かではない。ただ愛する人がいて、子供はいないが、いつか会えるだろうかと想像をしたりもする。26歳にもなれば仕事もそれなりにこなせるようになってきた僕は、立ち鏡の前で少しシワのついたスーツに腕を通す。あぁ、最後にクリーニングに出したのはいつだったけなぁ。
ふぅ、と小さくため息をついて朝飲んだコ