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文末が変わった瞬間に

一人の異性と毎日やり取りをする。

それが通話でもLINEでもメールでも、二人が特別な関係になってそれまでの日常と一番変わることはコレかもしれない。『毎日やり取りをする』。

朝の「おはよう」、お昼の「昼食にはコレを食べたよ」、仕事終わりに「今から帰るね」、夜寝る前に「今日はこんな事があったよ」そして「おやすみ」。

付き合いたての頃は言葉を投げると直ぐに言葉が返ってきて、そんな他愛もないやり取りが楽しくていつの間にか長いラリーが続いていたのに、いつからか投げる言葉が少なくなって、返ってくるまでのタイムロスも長くなって。何度も人差し指を滑らせないと昨日のやり取りが読み返せなかったのに、最近は一度のスクロールで二人の一日が読み返せるようになって。

そして、気づけば「おはよう」と「おやすみ」だけになっていて。

ここまで来ると流石に鈍感な誰かでも、二人の関係に終わりが見えるわけだけれど、それより前に実は気づいている事がある。

終わりに気づく瞬間。

それは、例えば「好きだよ」と書いた後にハートの絵文字を置く人だったのに、いつからかハグの絵文字に変わり、またいつからか笑顔の絵文字に変わり、そしていつからか絵文字がなくなって。

いつも絵文字を使う人で無ければ、絵文字に意味を持たせない人ならば、これを気にすることはないのだろうけれど。

文字のやり取りだけで幾日も続けていくと、こんな些細なことで心境の変化や、たったこんなことで向けられている行為の深さに気づく。

思えば、文末のあの絵文字に意味があったのかもしれない。

僕のそれは、殆どが後になって気付く…

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