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The Chemical Brothersを見た話

2024年2月2日東京ガーデンシアターにて、The Chemical Brothersを見た。

ライブの熱狂から時を巻き戻し2019年夏頃、洋楽を少しずつ聴き始め調子に乗っていた青年はフジロックのフライヤーにてその名前を初めて認識する。本当に洋楽聴き始めのイキりという感じでなぜかフジロックのメンツを確認することが音楽好きなら当然の行為だと思っていた当時、一旦グリーンステージに出演するやつらは聴いておいたほうが良いだろうと思って聴いてみたが、どれもあんまりピンとこなかった(当時は自分の中でBUMP最盛期かつ基本邦ロックしか聴いてなかったので当然)のでとりあえず洋楽イキりを静かに断念。。まあそもそも受験を控えた金のない高校生はフジロックなんて行けないんですけどね…。

そしてもう少し時間を進めて2020年1月頃、センター試験(死語)が終わり私立入試が控える中、何故か追い込みをせずに音楽を漁り始める。塾にも行かず誰にも縛られることがなかった為、勉強する理由がなかった!そのタイミングで思った、もう一度あのフジロックのメンツを確認してみようと。洋楽好きになってイキりたいのもあったがどうしても訳のわからん音楽を理解してみたかった。そして人生の歯車が狂い始めた瞬間が訪れる、今はもう消去済みであるケミカルのフジロック公演の映像を見た。衝撃だった、画面に映る巨大なVJの数々、音源と全然違うアレンジ、止まらずにつながり続ける楽曲、なによりそのサウンドのカッコ良さ。こいつらだ!!!と思った。アーティスト漁りをやめて、音源ではなくYouTubeにあったライブ映像をひたすらに見まくり始めた。

そしてなんだかんだ大学に受かり、2019年に発売したアルバムをひっさげての来日公演も決まる中、やつが到来。コロナウイルスである。洋楽フェスどころか全ての音楽フェスが中止になるレベルの惨事に見舞われ当然ケミカルの来日は中止。そして長きに渡る地獄が始まるのであった…。

ケミカルのかっこよさを知ったことで、もともとEDMは聴いていたが本格的にテクノと電子音に目覚め、ロックバンドを組んでいたはずなのにシンセを買って電子音やノイズを出す日々。さらにケミカルから派生して国内外問わず凄まじい量の音楽を聴き漁り、コロナによって元来外に出ない性格が悪化し見事に引きこもり音楽オタク大学生が爆誕した。

2021年、海外の音楽フェスが徐々に復活しケミカルもライブ活動を再開した。そしてファンになってから初の新曲「The Darkness that you fear」が公開させる。タイトルと過去のライブ映像で踊る人々を使用したMVの通り暗い世の中を明るく照らす楽曲だった。ケミカルの曲は全部聴いていたが、こんな切ないメロディーを鳴らしていたことはなかったので歌詞も特にないのに何故か涙が出てきた。そして改めて思った、早く日本に来てくれ!と。

そして2022年ごろからようやく国内の音楽フェスが少しずつ復活、洋楽フェスであるフジロックとサマーソニックも外タレを呼んで盛大に復活。しかしそこで気づく、ケミカルが来ない。彼らは自分が思っていたよりも巨大な存在で、フェスでは基本ヘッドライナーであり、そう簡単に来日できるようなアーティストではなかった。音楽をたくさん聴き始めて、気になったアーティストのライブに足を運び、ほとんどの好きなアーティストをライブで見たが気がつけばあとはケミカルだけという状況になっていた。

2023年、ケミカルが新しいアルバムを発表した。俺がケミカルと出会った前回のアルバムから4年ぶりの待望のアルバム!と日本のメディアは書いていた。そうかそんなに経ったのかと思った、高校3年17歳だった俺は大学4年21歳になっていた。そしてアルバム発表後にヨーロッパツアーと世界中のフェスを回るツアーが発表された。Japanの文字はそこには無かった。狂わされた歯車の元凶はまだ来ない。

その後しばらく経ち、初めてのケミカルの新譜を聴き深夜1時に暗闇の部屋で踊り狂っていた。秋頃、バイトが終わってスマホを見るとケミカルを勧めて共にハマっていた友達から連絡が来ていた。「何も見ずに連絡をよこせ」と。電話をかけると画面共有された、写った画面にはこう書かれていた。「The Chemical Brothers For That Beautiful Feeling Tour TOKYO」と。TOKYO!!!である。元凶がやってくる。

開催は2月の頭、ああなんてことだ。俺の青春時代をやつらが終わらせにやってくるのかと思った。1度チケットを外して大慌てしたり色々とあったが無事に当日を迎えようやく元凶とご対面。

ケミカルロボット君

ライブの感想はとにかく楽しかった、想像通りのケミカルのライブがそこにあった。ただ想像を超える演出と圧倒的な音圧。今まで見たライブが全てコケに感じるほどだった。特にStar Guitar, Chemical Beats, The private psychedelic reelみたいな初期からずっと変わらずセトリにある楽曲達がどうしてずっと演奏されているのかが分かった。ライブには色んな種類がの楽しみ方があると思うけど総合的なエンターテイメントとしてこれ以上のライブはないんじゃないかと思う出来のライブだった。本当に圧倒的というワードがよく似合う素晴らしいショーだった。

洗練されたVJ

他のバンドやアーティストを卑下した訳ではないけど、実力に反して周りに知ってる人が少なすぎるなあとは思った。自分も凄いライブをするっていうのは知ってたけど、いざ体感してみるとこれを体感せずに死ぬのは勿体無いと思った。良い曲を作ったり、顔がかっこよくて近くまで来てくれるようなライブも楽しさはあるけど、音楽を聴いたことがある人なら誰でも分かるような圧倒的な「音」があの会場にはあったので次の来日があったらぜひ体感してほしいと思う。

動画じゃ5%くらいしか伝わらないけど、自分もこういう動画を見て衝撃を受けたのでここまで読んでくれた方はぜひとも見てみてほしい。

それではThe Chemical Brothersの2人、そしてスピーカーの設営やPAに携わってたチームの皆さん、本当に来てくれてありがとうございました。またいつでも来てください、何度でもぶち上がれるので。

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