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夢殿シリーズ・第二形態・第三形態・第四形態

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「夢殿」をモチーフとして選んだ時…… だれもが「やっぱりやめた ! !」そう感じられるものに出来たのだろうか。夢殿を書かせたら世一よぉ~。そういう世界に身を置くこともありではない…
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#アート

随想起抜 漂泊の画家 不染鉄 展 ~理想郷を求めて~奈良県立美術館 Vol 2

続・わたしだけの夢殿・夢殿『秋涙』完全版 差し込み原稿一部紹介 あのなぁ~お空から突き出された葛切りはんのような雨がありますやろ。あれはな全部仏はんなんですわ。きっと。 黒豆はんをふやかしたお水みたいて云いましたけどな……ちゃいますねん。 凡てが銀絹ですねん。画面いっぱいに塗り上げられた鼠色はな、数多の銀糸、銀ですねん。暁鼠(あかつきねず)、牡丹鼠(ぼたんねず)、藤鼠(ふじねず)、桔梗鼠(ききょうねず)、白鼠、銀鼠、絹鼠…… これな、全部「銀」ですねん。鉄さんなぁ、ほそぉい

随想一夕『わたしだけの夢殿』漂泊の画家 不染鉄 展 ~理想郷を求めて~奈良県立美術館

随想一夕『わたしだけの夢殿』漂泊の画家 不染鉄 展 ~理想郷を求めて~奈良県立美術館 2月27日の大阪は冷たい風が吹きすさぶ中、朝から霙まじりの雨が横から吹き付けるという重たい天気。それでも所々みせる雲の切れ間からは、柔らかな陽射しも顔を覗かせていた。それは夢殿にみる南の空の雲を割り、横一条の輝きを齎した様にすら思えたものだった。生憎、膵臓の痛みが引かず背中から鳩尾にかけて痛みが走っていたことから余程延期しようかとも考えたのだが、この状況であればいつ何時見られなくなる~書け

夢殿『秋 涙』令和六年版・単独電子書籍化~当然無料

2024年2月18日10:00現在、関連二冊のダウンロード数48件 ! ! 有難いことに過去一番のダウンロードペースを頂戴しております。夢殿を可愛がっていただける皆様お一人お一人に心から感謝と御礼申し上げます。本当に、ありがとうございます。 ※夢殿『秋 涙』令和六年版 24ダウンロード、エセー集『あゝ! なんてエモーショナルないかさま師』24ダウンロード。 はじめに______からの抜粋 …… これらの芸術家の作品群の何が共通しているのかは筆者が分かっていれば良いことであ

小説 『 秋 涙 』最終節

注意) 人様の迷惑も省みず、一度に5本も上げて本当にごめんなさい。どうか皆さんのスキは大事にお使いください。スキは無くても私大丈夫です。読んで頂けることだけでうれしいので。有り難うございます。 小説 『秋 涙(しゅうるい)』・夢殿 ファイナルトランスフォーム              飛 鳥 世 一 その四 鉄さんの秘密 昭和三十六年の夏の日でした。この歳の夏はそりゃぁ暑い日が続きましてなぁ。夏入り前の梅雨が空梅雨でしたから奈良県全域に渇水警報いうもんがでましてな、取

小説 『 秋 涙 』③

注意) 人様の迷惑も省みず、一度に5本も上げて本当にごめんなさい。どうか皆さんのスキは大事にお使いください。スキは無くても私大丈夫です。読んで頂けることだけでうれしいので。有り難うございます。 小説 『秋 涙(しゅうるい)』・夢殿 ファイナルトランスフォーム              飛 鳥 世 一 その三 鉄さんの憂鬱 「お義母さん、大丈夫ですか? しんどいんちゃいます? 無理しんと休んでくださいねぇ」嫁の松枝がよう面倒みてくれはりましてえ、私もこうして鉄さんの描い

小説 『秋 涙(しゅうるい)』②

注意) 人様の迷惑も省みず、一度に5本も上げて本当にごめんなさい。どうか皆さんのスキは大事にお使いください。スキは無くても私大丈夫です。読んで頂けることだけでうれしいので。有り難うございます。 小説 『秋 涙(しゅうるい)』・夢殿 ファイナルトランスフォーム              飛 鳥 世 一 その二 錫(すず)メッキのブリキ缶 この画を眺めていると、描いてはった情景までも思い浮かべることが出来ますねん。 それは去年の秋のこと… 昭和四十一年の九月も半ばを過ぎ

小説 『秋 涙(しゅうるい)』①

一行前書き…… 棄てなくば前に進めぬ時がある 注意) 人様の迷惑も省みず、一度に5本も上げて本当にごめんなさい。どうか皆さんのスキは大事にお使いください。スキは無くても私大丈夫です。読んで頂けることだけでうれしいので。有り難うございます。 小説 『秋 涙(しゅうるい)』・夢殿 ファイナルトランスフォーム              飛 鳥 世 一 その一 満と数えのいろは坂 その画は、法隆寺の夢殿さんと云われ親しまれてきた八角円堂を描いたものでした。 三重県のお伊勢さ

小説「夢殿・笑うひと泣くひと」第三形態 本文5287文字

            筆名 飛 鳥 世 一 22年02月作品    画・不染鉄・夢殿(昭和42年頃と推察するも詳細不明)   斑鳩の地を濡らす秋の長雨は糸を引くようだ。伽藍周辺でも季節変わりの雨を途切れることなくみせている。雨水に染まった玉石は濃い鼠色を纏ったまま微動だにせぬ。  柔らかな陽ざしさえあれば、白地に薄く藍を溶かし込んだ「石」本来の姿は訪れる参詣客の足元で、心地よい旋律を奏で聞かせるに一役買ったはずである。さながら天と地が繋がった合図を思わせるようで雨をおとす

ショートショート 「夢 殿」第二形態

ショートショート・夢殿                          筆名 飛 鳥 世 一   斑鳩の地を濡らす秋の長雨は糸を引くように。伽藍周辺でも季節変わりの雨が途切れることなく降り続く。  雨水に染まった玉石が、今や濃い鼠色を纏い微動だにしない。  白地に薄く藍を溶かし込んだ「石」本来の姿は、柔らかな日差しさえあれば、訪れる参詣客の足元、心地よい旋律を奏でるに一役買っていたものを。     それがこの処の雨が禍(わざわい)してか、参詣客の足もめっきり遠のいてしま