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世一の随想シリーズ・好日・一夕・起抜

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気付いたこと、お伝えしたいこと、感じたこと、日常の出来事 そしてお祝い、お詫び、感謝…… 森羅万象についてのページです。 "世一"と呼びすてにしてチョウダイ ! !
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#純文学

随想一夕『わたしだけの夢殿』漂泊の画家 不染鉄 展 ~理想郷を求めて~奈良県立美術館

随想一夕『わたしだけの夢殿』漂泊の画家 不染鉄 展 ~理想郷を求めて~奈良県立美術館 2月27日の大阪は冷たい風が吹きすさぶ中、朝から霙まじりの雨が横から吹き付けるという重たい天気。それでも所々みせる雲の切れ間からは、柔らかな陽射しも顔を覗かせていた。それは夢殿にみる南の空の雲を割り、横一条の輝きを齎した様にすら思えたものだった。生憎、膵臓の痛みが引かず背中から鳩尾にかけて痛みが走っていたことから余程延期しようかとも考えたのだが、この状況であればいつ何時見られなくなる~書け

随想一夕「感謝と御礼」

このたび私共の管理する「e-puboo」での短編小説集のダウンロードが 110件となりました。たしか8月末あたりにダウンロード100件の御礼をさせていただいたと存じますが、わずか20日ほどで、更に10件ものダウンロードを頂けましたこと謹んで御礼を申し上げます。 拙い作品ばかりとは申せど、どれか一作でも好きな作品に巡り合って頂ければ、書き手にとりましてこれに勝る幸せはございません。  今回、中でも「凍裂」のダウンロードの伸びが顕著であり、私にとっても好きな作品ばかりが収められ

随想起抜 「旅はけして終わらない」

作品のようなものを仕上げていると、夢か現かわからぬ処______さながら阿鼻地での目覚めをオモワせる起き抜けに遭遇することがある。考えあぐね始末をみた先のこととして堕ちて来るのか。入院の共に選んだ「林芙美子紀行集 下駄で歩いた巴里」は正解だったのだろう。これ以上ないほどにその存在をわたしの心と頭に刻み付け、再現性という言葉と共に具体的なあり様を伴い堕ちてきた。 拙著 夢殿 第四形態「秋涙」を書き上げてから今にち、リライトに取り組むことを決意するうえでその契機となったのは再現

随想好日『わたしの古道具屋が繋がった日』リライトはじまる③

風も吹くなり  雲も光るなり  生きている幸福は  波間の鴎の如く縹渺と漂ひ  生きている幸福は  あなたも知っている  私もよく知っている  花のいのちはみじかくて  苦しきことのみ多かれど  風も吹くなり 雲も光るなり。                   ◆ わたしとこの「古道具屋の古女将・お里」がやってくれた。最も繋がって欲しいところ、最も繋がって欲しい文人と繋がってくれた。さすが準主役級。 正直なところどの様に繋げるべきか、紡ぐべきかと思案していたのだが…… 奈

随想好日『わたしの煙草ネタ』リライトはじまる②

朝日の光、日光浴びて誉高き金鵄空飛ぶ日本一のフジを眺めに、ミドリのマキバに若葉を眺めに参りましょう。琥珀に迫る夕日が堕ちれば暁で、クラークなりましても、はいライトをつけてとシンセイすれば、ホープもピースもハッピーもいずれあやめかかきつばた。 さてその昔___________煙草に縁もった都都逸、小唄の類があったのだが、ご存じだろうか。かく云うわたしも正確なところは忘れている。 概ねこんな所だろうと自分で作詞したところも多いのだが…… どうだろう。 とのくらい煙草の銘柄として

随想起抜『わたしの腿膝三年尻八年』リライトはじまる。

「ももひざ三年しり八年云うてな、後家はんになってからも腿や膝に旦那はんの温もりを思い出しながら啼く日々は三年にもおよぶそうでな、尻にあっては忘れるまでには八年もの時間を要するいうんやから、そりゃぁ寂しかったんですやろうなぁ。さっさと十八年も経ってくれたらこっちのもんなんやろけど。 割れ鍋にも綴じ蓋いうて、どんな鍋にも、たとえどうであれ蓋はあった方がいろいろ都合も宜しいんですやろうなぁ。  ほれにしても… 昔の人はえらい粋なことを云うたものでしたなぁ」

随想好日「熟まれ堕ちる瞬間に思いを寄せてみれば、孤独と闇しか無かった」

随想好日「熟まれ堕ちる瞬間に思いを寄せてみれば、孤独と闇しか無かった」 知っていたし理解していたしそこからしか産み落とすことは出来ないと分かっていた。他人様にとって良作であるか駄作秀作であるかに拘らず、自分の書いた作品たちに魂を込めようとする流れにおいては、孤独と闇しか存在しないのである。これは私にとってということであり、賑々しくあっても作品作りが出来るというお人もおられるだろう。 ここまでわたしが熟み堕とした作品たちに思いを寄せると3作品だけは賑々しい中で書いている。あ

速水御舟と三島由紀夫

三島由紀夫の「金閣寺」、水上勉の「金閣炎上」のモデルとなった人物。舞鶴生まれ________林 養賢である。 林養賢は、大浦半島突端の成生の西徳寺に昭和4年3月19日生まれる。村はわずか22戸の集落だったらしい。父が村上慈海に頼み鹿苑寺に入山、弟子入りとなる。昭和19年4月。養賢15才の時分。当時の金閣寺は三層部分だけが金箔を貼られた中途半端な有様でもあり、それをみた養賢は随分がっかりしたとも伝わっている。のちの昭和25年7月養賢21歳の犯行であった。 https://j

随想好日 第三十四話『夢殿三部作マトメ編』

いつもありがとうございます。 夢殿だけを纏めておきたいと考えておりました。 小説を書く勉強に向き合い出してからその都度学ぶことが出来た夢殿。 取り敢えず、三作とエセーをひとまとめにe-pubooに綴じました。 因みにですね、先般綴じた「小説 凍裂」ですが、なんと、ダウンロード数が12件に増えておりました ! ここの皆様でしたら有り難うございます。 そのまま読めるのに、12名もダウンロードしてくれるって凄いと思う。 もう感謝です。もちろん読みに来てくれた人達にも。 これでな

随想好日 第二十五話『e-puboo電子書籍つくりました ! 当然タダですw』

御礼 ! ! 感謝 ! ! ダウンロード数のびております!! ビックリしました ! 本当に有り難うございます。 おまけに、前作までもダウンロードが伸びております ! ! 心より厚く御礼申し上げます。 やっと出来上がりました。去年から、年明け三日ごろまでには作るとブログでは書いていたので、なんとしても仕上げたかったのです。年始早々目標未達だけは避けたかったですから。 もしもお嫌でなければ、是非、リンクに飛んでまずは開いてみて頂けると嬉しいです。 そして、お好きなものが一つ

随想好日 第十二話『わたしの中の何かが死んだ日』小説 細氷と骸の中の原罪

『小説・細氷 / 17のDiamond dust』に寄せて 文藝の短編賞応募にむけ書き下ろしたつもりだった。 読めば読むほど既視感をともない当時のことが思い出される。 一つ一つの言葉。一つ一つの仕草…… 煙草を吸う 指を絡めながら流した涙 "男の人って…… "あなたの口がそう呟いた日 後のことなど考えもせずに 二人にとって共通の傷つく人の顔さえ その瞬間を昂らせるものだったのか 幼過ぎたのか。無知だったのか。無責任だったのか 傍にいて欲しいと思うことは悪なのか 傍にいてや

随想好日 第十一話 改訂版Kissの思い出

昨日あげた軽めの原稿だったはずなのですが、折角なのでチョットだけ深追い♬ 想い出すだけで胸が締め付けられるようなKiss 焼けた栗を素手で握ったような後味のKiss 自然に涙が溢れてくるようなKiss はい皆さん想い出しましょう……♬ さて、GLAMOURという女性のライフスタイル向けコンテンツサイトでは、「あなたは生涯で何人とキスをしましたか」という調査結果を2016年2月にリリースしています。 平均は21.5人だそうです。 この辺りは文化的背景によってもバラツキは出そ

随想好日 第二話『鱗粉・Side B へ』

               ◆  11月30日24:50  父母を 偲びて迎えた 還暦は 過ぎし去夜見(こよみ)に 初雪思ふ                              世一  還暦を迎えた深夜。なき父母に還暦を報告するが子供時分に両親と見た夜の初雪の思い出にまさるものなしと詠んだ一句  尚、本稿は既存原稿の修正である。                ◆ 昭和の時代。鹿児島県は奄美に終(つい)の棲家(すみか)をもとめ、その地で作画に没頭した画家がいた。日本の