東京日記

 先週の日曜、東京に行ってきた。フォロワーのみなさんとごはんもできて、よかった。いろんなひとに会えないか声をかけるのは楽しいから好き。予定を調整するのも嫌いじゃない。土曜に東京駅に着いた。エレザリと犬怪ちゃんとご飯を食べた。丸ビルの入り口で呼び込みをやっていて「ヒェッ」となり人見知りスイッチが入っていたのであんまりおもしろい話はできなかった気がする。でもふたりともとてもあってみたい人たちだったので、会えて嬉しかった。中国茶の話をもっと聞いてみたかった気がした。わたしは犬怪さんの文學界落選作の葬式で踊る話が好きで、あれの話をもっと聞けたらよかった。つぎは聞けるといいと思った。ハミーの話はできたからよかった。蓮華? お茶が甘くていい匂いで、美味しかった。よくよく考えると私が美味しいと感じる洋菓子はたいてい高価な酒のにおいのするお菓子で、味とかは二の次なのかもしれなかった。複雑な化学式をもつ芳香族の香りが好きなんだと思う。毒物手前の杏子や梅の香りや、ラズベリーの香りが好きだ。
 そのまま品川へゆきキンコーズでフリペを刷る。ディオール展に行ってみたかったが、疲れていたので諦めた。神戸にファッション美術館があり行ったことがある。私はお洒落ではないが、服飾には興味があり実物を蒐集している美術館には興味がある。人がなぜ装うのか。人の装いをどのように感じジャッジするのかに関心がある。そしてわたしは女の表象が好きで、女の表象がまとう衣類にも興味がある。幼児のころドレスが好きで眺めていたがドレスを身につけたいわけではなかった。わたしは飾られるのが苦手だった。どちらかというとドレスを贈る側になりたかった。 
 ホテルに行く。喫煙可の部屋だったのでヤニ臭かった。むかしわたしは夫が吸っているタバコの香りが好きだった。今はどうだろう。気管が弱くなってしまって、タバコの香りに愛着を感じる前に、咳き込むようになってしまった。以前大阪文フリでお会いしたオカワダさんに、ホテルの部屋に荷物を置かせてもらうためにお邪魔したのだが、ホテルのエントランスにデヴィッド・ボウイの写真が飾ってあった話をすると夫がぎょっとして「それって」と言葉を切った。夫は私が異性と親しげにしていると気に入りの玩具を撮られた子どものようなリアクションをする。私がこの世で一番苦手なことは所有されることなので、毎回うまく反応できない。この人はわたしを自身の所有物だと思っているのだなぁというとき、それはたとえば愛着が形成されつつあるときにわたしが彼の人の拡大自我として経験されつつある、という意味でもあると思うのだが、夫以外の第三者との関係でも私はこの段階をうまく乗り越えられずに拒絶してしまうことが多い。問題があると認識するところにとどまっていて、どうやって対処していいのかはよくわからない。
 和泉さんと焼き鳥を食べる。臭みがなくうまい。やはりわたしが食べ物を美味いと感じる基準の一つが香りなのだと認識を強くする。北海道のお土産をいただき、ひさびさのレーズンサンドに喜ぶ。きさめさんもきてくれたらよかったとおもう。
 シャワーを浴びているときに悪臭に驚く。排水溝とシャワーカーテンに染み込んだタバコの臭いだとおもう。
 久しぶりにひとりになりうまく眠れない。移動が脳を別のモードに切り替えてしまう。なにか夢を見た気がするが覚えていない。

サポートいただけると嬉しいです。記事に反映させます。具体的にはもっと本を読んで感想を書いたり骨身にしたりします。