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BFC:二回戦の開幕だ―

 ブンゲイファイトクラブのイベント概要はこちらをごらんください。惑星と口笛ブックスのnoteに飛びます。私は応募したけど落ちたので勝手に観戦して遊んでいます。楽しい! 落選作も私のnoteのどっかにあるので探してでも読みたい物好きは探してください。


 さぁ! 本題だ! 今からファイトクラブ二回戦の話をするぜ! 色々書こうかなと思ったけど流れが速すぎて全然note書けなかった。みんなまずは下のリンクから計八本の個性豊かな小説を読んでみてね。私の推しを当ててください。多分秒で分かると思います。ハイ正解。



 よんだ?

 もうわかったか? ………あたりです。

 Aの対戦金子先生もすごく強い。芝居をしながらセリフを表現させる手段かな、と一瞬思ったんですが時間や空間が徐々に瓦解していく様子がSFチックに描かれていて脳みそに触手を突っ込まれた感じがしますね。面白かった。しかし何はなくとも百合ですよ。つよいゆり。皆さんすでにご存じのように、世の中には弱い百合と強い百合がありますね。緩やかな連携を描いた弱い百合と相反する二つ以上の感情がまじりあった強い百合。今考えた。

 『森』つよい百合。来ました。カースト上位女子の空蝉系女子と密林系陰のエネルギー強め女子の強い百合の前にはなにもかもどうでもよくなってきますね。世界は百合でできているんだ。表の世界がホモソの連携で周っているように、こちらの世界は強い百合と弱い百合の世界です。描写の妙が光る現実崩壊SFと強い百合、どっちが勝つって言ったら強い百合ですよね。みなさんの賛同が得られて嬉しいです。


 一回戦の『その愛の卵の』も百合だなーと思いましたがあちらは弱い百合かな? と思わせながら終盤で「あ、強い!」と思わせる仕掛けがありましたね強い。作者の斎藤優さんの二回戦の作品『グリーンテキスト』ですがこれは男女の話です。淡水に暮らす「鮫」が池に落ちた人を食べる。古代魚のぬらぬらした感触。おそらく鮫とは違うのですが、それを眺める人々はソフトクリームを食べながら。
 鮫の質感と前作の排水溝の卵がオーバーラップします。卵は愛の結晶でしたが鮫はふたりの関係性を強めるでも引き裂くでもなく沈んでいきます。水面に浮かんだ緑の原稿。なにか意味を見出したい気持ちが生まれますが女の子の視点が淡々としていて「実際のところ人生に意味などないのだ」と突き放されている気分でした。


 Cの『抜ける日々からむいていく』大前 粟生さん。張り詰めた男子同士の弱い繋がり。弱いつながりが弱い感情しか想起させないというと決してそうではありません。繋がりのもろさゆえに、繋がりが絶えてしまった時の不在感や虚無感を強く感じさせるのが弱い繋がりです。夕陽や宇宙(木星)と言った壮大なモチーフの影に見え隠れする緊迫した空気。圧巻の弱いBLでした。


 今回は強い関係性と弱い関係性を軸に作品を紹介しました。他にも短文を重ねて紡ぐ描写の妙『砂のある風景』、少女の無邪気な視点から大きな世界の転換を描く『いっぷう変わったおとむらい』、民俗学的ファンタジーかと思いきや人間の存在自体を問いかけられる『天狗の質的研究』、通り丸ごと魔界転生『ミドリノオバサンとヒト、およびウマ』がありどれもおすすめです。みなさんのお気に入りも教えてほしいです。

 

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