日本プロ野球2024年度セ・パ交流戦を終えて

(予備日の)6月18日をもちまして、2024年度の日本プロ野球セ・パ交流戦が閉幕しました。

交流戦期間中、全12球団がそれぞれ”天国”と”地獄”を味わった事でしょう。

そこで、その交流戦を終えた全12球団について語ろうかと思います。

なお、交流戦開幕前のセ・パ両リーグの順位に関しましては以下の記事にて。

セントラル・リーグ

↑1位:広島東洋カープ(OP戦10位、順位予想2位~5位)

交流戦開始前22勝17敗4分(セ・リーグ2位)
+交流戦10勝8敗0分(交流戦同率5位)
→交流戦終了時点32勝25敗4分(セ・リーグ1位)

2カード目の対ソフトバンク3連戦を3連敗した以外は全てのカードを2勝1敗と勝ち越して、セ・リーグの首位に。
大瀬良森下九里床田の強力先発陣と栗林島内の強力ブルペン陣がパ・リーグ各球団の打者達を抑え込み、火力に乏しくも繋がりと機動力でパ・リーグ各球団の投手達から得点を重ねるという、パ・リーグ相手でも普段通りの野球が出来た結果であった。
そこに開幕2戦目で故障離脱した新外国人コンビ(レイノルズ&シャイナー)が復帰すれば、そのまま首位独走の可能性も。

と思った矢崎矢先に・・・・・

↓2位:阪神タイガース(OP戦最下位、優勝予想)

交流戦開始前25勝19敗4分(セ・リーグ1位)
+交流戦7勝11敗0分(交流戦同率10位)
→交流戦終了時点32勝30敗4分(セ・リーグ2位)

開幕戦を雨天中止となり他球団より1日遅れの開幕(&2日遅れの閉幕)となった阪神だったが、日ハムに2連敗スタートとなった上に、当時好調だったロッテ相手に2試合連続延長サヨナラ負けで計4連敗と出足から見事躓き、チーム力どん底な西武相手に3連勝した以外は全てのカードで負け越し(対楽天に至っては3連敗)と、交流戦で大きく負け越す事となった。
しかも、交流戦7勝のうち3勝が才木という、まさに「才木個人軍」と言っても過言ではなかった。(残り4勝は西勇輝(対オリックス)、伊藤将司(対西武)、ビーズリー(対西武)、島本(対日ハム)が1勝ずつ)

ただ、日本一となった昨年も交流戦では苦戦していたし、何より首位と僅か3.5ゲーム差に着けているので、去年同様に通常リーグ戦で勝ちまくれるかに注目が集まる。

→3位:読売ジャイアンツ(OP戦9位、最下位予想)

交流戦開始前23勝21敗4分(セ・リーグ3位)
+交流戦8勝9敗1分(交流戦7位)
→交流戦終了時点31勝30敗5分(セ・リーグ3位)

開幕カードの対ソフトバンク3連戦を勝ち越すと、続く対西武3連戦も対ロッテ3連戦も勝ち越して波に乗ったと思った矢先に対オリックス3連戦と対楽天3連戦で6連敗し、「2017年の13連敗」再びと思いきや、最終カードの対日ハム3連戦を2勝1分と勝ち越して、借金を1に止めて交流戦を終えた。

まず、新人監督の初の交流戦である上に「OP戦9位の呪い」(過去23年間でBクラス15回)もあって、交流戦開幕前から苦戦は予想出来た事であった。

「OP戦9位の呪い」

それでも前半3カードを連続して勝ち越せて(特に開幕カードの対ソフトバンク3連戦は、初戦負けからの延長12回サヨナラ勝ち&5点ビハインドからの大逆転勝ちで連勝)、「チームに勢いが出て来た」と誰もが思った矢先に

「週ベの呪い」

しかも発刊された週ではなく、先週号(6月5日発刊)の次号予告の2日後から6連敗という

「次号予告だけでもこの破壊力」

というものをまざまざと見せつけた。

それでも何とか交流戦での負け越しを1に踏みとどまれたのは、交流戦開幕から1軍に合流し、2番打者に定着した新外国人野手エリエ・ヘルナンデスのおかげである。
本人の打撃成績もさる事ながら、打撃不振で1番打者に置かざるを得なかった丸を復調させる等、チームに好影響を与え続けた。

首位と3ゲーム差であるとともに最下位とも3.5ゲーム差と、まさに”瀬戸際”に立たされており、交流戦でも絶不調だった4番打者である岡本と”生ける伝説”である坂本の復活、更には大勢と中川の復帰にチームの命運がかかっているのだが・・・・・。

↑4位:横浜DeNAベイスターズ(OP戦同率6位、順位予想2位~5位)

交流戦開始前21勝24敗1分(セ・リーグ5位)
+交流戦11勝7敗0分(交流戦3位)
→交流戦終了時点32勝31敗1分(セ・リーグ4位)

通常リーグ戦でも「ホームで勝てない」傾向だったが、DH制の有無もあってか、その傾向が顕著だった。
開幕カードの対楽天3連戦、故障離脱していた牧が1軍復帰した対オリックス3連戦、対ソフトバンク3連戦と、ホームでのカードを全て負け越した一方で、甲子園で連勝して来た日ハムとの3連戦を勝ち越しただけでなく、前週負け越してドツボにハマっていたロッテやチーム力どん底な西武相手に6連勝と、ビジターで貯金を荒稼ぎして、僅かな勝率差にまでAクラスに肉薄した。
通常リーグ戦に戻っても「ホームゲームでの勝率>ビジターゲームでの勝率」という傾向は変わらないのだろうか?

↑5位:東京ヤクルトスワローズ(OP戦3位、順位予想2位~6位)

交流戦開始前18勝26敗2分(セ・リーグ6位)
+交流戦9勝7敗2分(交流戦4位)
→交流戦終了時点27勝33敗4分(セ・リーグ同率5位)

元から不安視されていた投手陣の弱さに加え、強力打線も不振気味だった事もあり、交流戦の第1週を1勝3敗2分と負け越してこのまま最下位独走すると思いきや、第2週目にチーム力どん底な西武相手に3連勝した事で甦ったのか、その後の9試合(対日ハム、対ソフトバンク、対オリックス)を5勝4敗と勝ち越して、交流戦勝ち越しを決めた。
同率最下位ではあるもののAクラスまでは僅かに3.5ゲーム差、首位とも6.5ゲーム差なので、強力打線が本領を発揮すれば・・・・・。

↓5位:中日ドラゴンズ(OP戦同率1位、順位予想2位~5位)

交流戦開始前20勝22敗5分(セ・リーグ4位)
+交流戦7勝11敗0分(交流戦同率10位)
→交流戦終了時点27勝33敗5分(セ・リーグ同率5位)

交流戦前には一時的ではあるが首位に立っていた中日だったが、開幕カードだった対西武3連戦(渡辺久信監督代行にとって最初のカード)で負け越すと、対オリックス3連戦以外の5カード全てで負け越し、大きく負け越しって程ではないが借金を4つ増やした。
元々得点力の低さ(野手陣の弱さ)という弱点を抱えていた上に、更にその野手陣が守備でミス連発して強力投手陣の足を引っ張る事に。
同率最下位ではあるもののAクラスまでは僅かに3.5ゲーム差、首位とも6.5ゲーム差ではあるが、通常リーグ戦に戻る事で心機一転出来るのであろうか?

パシフィック・リーグ

→1位:福岡ソフトバンクホークス(OP戦同率1位、順位予想3位~5位)

交流戦開始前29勝13敗2分(パ・リーグ1位)
+交流戦12勝6敗0分(交流戦2位)
→交流戦終了時点41勝19敗2分

2位に大差を付けて臨んだ交流戦最初のカード(対巨人3連戦)を1勝2敗と躓いたものの、続く対広島3連戦で3連勝して立ち直ると、その後の4カードを全て勝ち越してパ・リーグ王者の強さを見せつけた上で、更にパ・リーグの首位を独走する事となった。
ただ、そんなソフトバンクにも不安が無い訳では無く、5月21~22日の対楽天2連戦にて2試合連続「2桁得点での完封勝利」をした事で、以下の様な「不吉なジンクス」が・・・・・・

更には

5月22日に週ベのソフトバンク特集号が発刊されて以降、対ロッテ3連戦を3連敗、交流戦開幕カードを負け越し、次の対広島3連戦を3連勝したもののその初戦で

と、ソフトバンクも「週ベの呪い」の犠牲となっていた。

それでも、その柳田の穴を”ギータ2世”こと笹川が、牧原大成や三森の穴を廣瀬隆太が埋める等、「禍を転じて福と為す」かの如く若手が台頭し、生き残っている主力でも近藤が右手首を痛めながらも交流戦打点王を獲得する等、ソフトバンクの進撃は止まる事は無さそうである。

↑2位:千葉ロッテマリーンズ(OP戦11位、優勝予想)

交流戦開始前24勝18敗3分(パ・リーグ3位)
+交流戦7勝9敗2分(交流戦7位)
→交流戦終了時点31勝27敗5分(パ・リーグ2位)

交流戦開幕前までに引き分け2つを挟んで8連勝中と波に乗ったまま交流戦開幕を迎えたロッテは、開幕カード(対ヤクルト3連戦)を1勝2分けと勝ち越し、続く阪神にも2試合連続延長サヨナラ勝ちで、(引き分け4つを挟みながらも)連勝を11まで伸ばした。
しかし、6月2日に連勝が止まった途端、連勝の反動が来たのか、3カード連続で負け越し、最終カード(対中日3連戦)を相手のミスで勝ち越せたものの、交流戦で計2つの借金を抱える事となった。
9ゲームと広がってしまった首位ソフトバンクとの差を如何に縮めていくのか。

↓3位:北海道日本ハムファイタース(OP戦同率6位、順位予想3位~5位)

交流戦開始前25勝18敗2分(パ・リーグ2位)
+交流戦7勝10敗1分(交流戦8位)
→交流戦終了時点32勝28敗3分(パ・リーグ2位)

阪神とともに開幕戦を雨天中止となり他球団より1日遅れの開幕(&2日遅れの閉幕)となった日ハムだったが、その開幕戦を普通に大勝した翌日に「6番投手山崎福也」をブチかまし(しかもその山崎福也の先制打でチームも勝利)、開幕カード2連勝と幸先の良いスタートを切った・・・かと思いきや、その後3カード連続で負け越し、対中日3連戦を郡司やマルティネスによる「古巣への恩返し」で勝ち越せたものの最終カード(対巨人3連戦)を(2敗1分で)負け越し、最終戦となった対阪神3回戦も延長11回サヨナラ負けと、3つも借金を抱えて交流戦を終えた。
ただ、昨年秋の現役ドラフトでソフトバンクから移籍した水谷が交流戦首位打者と交流戦MVPに輝く等、BigBossに「誰を1軍ベンチから外せば良いかわからない」と言わしめる程野手陣が更に充実した事もあり、首位独走中のソフトバンクに「待った」をかけられるか注目される。

↑4位:東北楽天ゴールデンイーグルス(OP戦4位、最下位予想)

交流戦開始前18勝26敗1分(パ・リーグ5位)
+交流戦13勝5敗0分(交流戦優勝)
→交流戦終了時点31勝31敗1分(パ・リーグ4位)

交流戦開幕前まで借金8を抱えて下位に喘いでいた楽天だったが、交流戦が開幕してからは小郷や辰巳等の活躍により5カード連続で勝ち越し(対阪神や対巨人に至っては、小郷が相手の守護神相手に逆転打を放つ等して、3連戦3連勝)、球団初の交流戦優勝の懸かった対広島3連戦では足踏みして連敗しセ全球団勝ち越しを逃したものの、交流戦最終戦に勝利して・・・・・

ちなみに、交流戦開幕前に8つ抱えていた借金も無事完済。

かくして
今江監督は

「PL学園出身の監督では勝てない」
というジンクスを
(今の所)払拭する事となった。

首位ソフトバンクとの差が11ゲームと厳しいものの、3位とは僅か2ゲーム差なので、CS出場権確保が見えて来た。

↓5位:オリックスバファローズ(OP戦5位、順位予想2位)

交流戦開始前19勝25敗2分(パ・リーグ4位)
+交流戦10勝8敗分(交流戦同率5位)
→交流戦終了時点29勝33敗2分(パ・リーグ5位)

投打ともに主力が大量に離脱し、交流戦に突入しても2カード(対広島、対中日)連続負け越しと苦戦続きだったが、移籍前に対横浜、対巨人、対阪神を得意としていた4番・西川龍馬が何かを思い出したかの様に打ち出し始めたおかげで3カード(対横浜、対巨人、対阪神)連続勝ち越しし、最終カードで負け越したものの、何とか交流戦勝ち越しを決めた。
ただ、借金は4つ残っている上に首位ソフトバンクとの差も13ゲームと、パ・リーグ4連覇に赤信号が・・・・・。

→6位:埼玉西武ライオンズ(OP戦8位、順位予想3位~5位)

交流戦開始前15勝30敗0分(パ・リーグ6位)
+交流戦4勝14敗0分(交流戦最下位)
→交流戦終了時点19勝44敗0分(パ・リーグ6位)

交流戦開幕直前に松井稼頭央監督が休養し、渡辺久信監督代行兼GMの下で新たにスタートを切る事となった西武は、開幕カード(対中日)を勝ち越し、続く対巨人3連戦でも巨人の守護神・バルドナードを打ち込んでサヨナラ勝ちを収める等、上々の滑り出しを見せた・・・・・のだが、6月2日~11日に8連敗を喫する等、開幕カード(対中日)しかカード勝ち越し(2勝1敗)がなく、1勝2敗が2回(対巨人、対広島)、3連敗が3回(対ヤクルト、対阪神、対横浜)と、18試合4勝14敗で交流戦最下位となった。
交流戦開幕前の時点で借金15もあったのに、更に交流戦で借金を10も増やし、ここまで合計25の借金を抱える事に。
しかも、この間に新戦力も全く生えて来なかった事もあって、既に消化試合に入っていると言っても過言ではない。
「果たして松井稼頭央監督を休養させる必要があったのだろうか」とまで思えてしまう。

最後に

以上、ここまで交流戦を終えてのセ・パ12球団について語りました。

毎年交流戦では、浮上のきっかけを作ったチームもあれば、逆に躓いて下位に沈んでいったチームもあり、両リーグの優勝争いの流れを変えて来ました。

ただ、交流戦終了時点で全チームが70数試合も残しており、その間に優勝争いの流れが再び変わるかもしれません。

交流戦で躍進したチームも、交流戦で躓いたチームも、残り70数試合の中で1つでも多くの勝利を、1つでも上の順位を目指し、全てを尽くす事でしょう。

それでは、NPB全12球団の健闘を祈りましょう。

以上、長文乱文失礼致しました。


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