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ナカヨシ文庫

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あわ

「…はい、もう起きていいですよ。」

その言葉で、男はふと意識を取り戻した。
生まれて初めての爽快な目覚めだった。脳の中から、自分を苦しめていた異物が取り除かれたような感覚だった。

まぶたを開けずとも、自分が真っ白な診療室のベッドに横たえられていることがわかっていた。
そしてまぶたを開ければ、あの聡明な女医の美しい顔が自分を覗き込んでいることも、男にはわかっていた。

「意識はしっかりして

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