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「瞬間」を最高にご機嫌で生き切る大切さ

僕は父親を中学2年生の頃に亡くしている。


父は、お酒を飲みすぎて肝硬変という病気で、50歳という若さで亡くなった。

ちなみに「お酒を飲みすぎて」というのは、飲んだくれて暴力振るうとか、仕事にも行かずずっと寝てるじゃなくて、とにかく地域の仲間たちと飲むことが大好きで、今風の言葉で言えば相当なパリピだったんだと思う。

小さいながらも従業員を雇うだけの町工場を経営しながら、地元の消防団の団長を務め、中学校のPTA会長もやってた。

多方面の付き合いを何よりも大事にして、とにかく人と飲むことが大好きだった父。「この店にいるみんな、俺の奢りで!」みたいなこともよくやってたらしい。どう考えてもパリピだ。
まあ、結果的に肝硬変という病気にやられ、その命は50歳で絶えるのだが、ほんとうに素敵な生き方をしていた人だと思う。

それは父が亡くなってから30年弱が経つ今も、当時父と親交のあった方から、「仲間想い」の父のエピソードを聞くことがあるからだ。


そんな父の息子である僕が、「父と似ているな」と決定的に思ったことが1つあって、そのエピソードだけ紹介したいなと。


僕は最近、新築で自宅を建てたのだが、サウナ付きの家にしてたくさんの友達が遊びに来れるようにした。住み始めて8ヶ月くらいだが、延べ100名くらいの人が遊びに来てくれている。さすがに遊びき来すぎだろ、最高だぜ。

そんな僕の自宅のサウナの名前は「SAUNA YOKOBIKI」だ。

「ヨコビキ」
これは、僕の実家の屋号だ。

僕の父親は、とにかく友達と飲んだり、バーベキューしたり、騒いだりするのが大好きな人だった。やっぱりパリピだ。

そんな父親がある日突然、家の庭にめちゃくちゃ立派な「岩風呂」の建設を始めた。
家族みんな、誰もそんなこと聞いていなかったけど、どんどん岩風呂建設は進み、数ヶ月後には旅館にある貸切風呂みたいな立派な岩風呂が完成してしまった。

完成した風呂を見ながら父は「いい風呂あれば、家族もみんなゆっくり入れるし、友達が来ても楽しんでもらえるだろ!」って言ってた。
中学生の僕には、マジで全然理解できなかった。


そんなパリピ親父は、岩風呂を作り切った数年後に他界するわけだが、驚くべきことにそれから20年以上経った今、息子の僕がサウナを作って100人以上の友達を家に招き入れている。

「いや、親父とやってること同じやん」

僕はそう思った。
そう思った瞬間に、自分には親父のDNAが流れていることを身をもって実感したわけだ。

だから、岩風呂がある実家と同じ名前の「ヨコビキ YOKOBIKI」を自宅のサウナの名前にした。

その瞬間、全く理解できなくても、同じ血が流れてれば、生きているうちに同じ道を歩み始める血縁の強さをひしひしと感じたのであった。


いや、なんか、親父の岩風呂と僕のサウナの話になっちゃったけど、言いたかったことは、「人はマジで普通に死ぬ」ってこと。

親父は肝硬変で亡くなったのだけど、異変が起きてから死に至るまで、経ったの2日ほどだった。まあ、おそらくすごく我慢していたんだろうけど、普通に家で一緒に過ごしてた親父が、突然倒れてそこから2日で死んでしまうってのは、やっぱり衝撃的だった。

ショックだった、落ち込んだ、みたいなことよりも、起きていることが正確に理解できなかった、みたいな感覚の方が強いかな。

でも多分だけど、僕はこの親父の死があったから、人の死に慣れてしまった気がする。
あ、親父だけじゃないわ。

大学の時、僕が主将を務めてたアイスホッケー部のマネージャーの女の子が自ら命を絶ったこともあった。
それに、夏休みも冬休みも春休みも、いつも遊びに行ってた大好きないとこのお兄ちゃんも20代の若さで亡くなった。

だから、身近な人の死には慣れてしまっているんだと思う。慣れたくないし、求めてないけど。


歳をとったせいだろうか、最近周りの人がよく死ぬ。
でもその度に、「まあ、いつか人は死ぬしな…」とドライに捉えてしまう自分がいて、少し自己嫌悪に陥ったりする。

でもこれは多分、僕の幼少期からの「身近な死」による経験からなるものなんだと思う。

人は驚くほど簡単に死んでしまう。
「身近な人が死ぬって絶対にありえない」って潜在的に思っている人がほとんどだけど、残酷なまでにその思いとは裏腹に、人は簡単に死ぬ。

普通に家で一緒にテレビ見て、大した会話もしてない親父が、その二日後に死ぬとか誰も思わないでしょ? でも死ぬんですよ、マジで、簡単に。


だから、やっぱり先があるなんて思わないで、「瞬間を生き切る」ことを大切にしなきゃなって思いますよ、ほんと。
明日があるのは当然じゃない。確実にあるのは、今過ごしているその瞬間だけ。だからその瞬間を最高にご機嫌な感じで生きていくしかない。
そう思うわけです。


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