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無題 #2

雨音だけが部屋に響き渡る
あらゆる感覚が麻痺する酩酊の中で
今日だけは はっきりと  はっきりと
感じる 痛みを
心臓をナイフで抉られたかのように

普通の人間には私はなれない
人々はこの世界のシステムや規範に順応しすぎた
僕は馴染んだ この世界で生き続ける為に
今嘘をついた  私は死ねなかっただけだ
ただ怖かった
本当は自分を縛り付ける何もかもから
そして生きるという行為から逃げたかった 
私は沢山の人のアイデンティティや哲学から影響を受けてきた
だが私が私を今の私にしたのは
私が幾千もの死にたい夜を越えてきたからだ

それを誇示した私は共感が欲しくて
やがてこれはひとつの界隈でシュプレヒコールとなり、その共感の一つ一つが快楽になった

雨音だけが部屋に響き渡る
声なき叫びが掻き消されているのが分かる
沢山の人の叫びが 涙が 痛みが 憎しみが
雨に擬態しているのが分かる
そりゃあ気づかないさ 人も飛び降りるさ

痛いな  やるせないな  苦しいな

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