マーシュ

『マーシュランド』

スパニッシュ・ミステリーの傑作らしいやつ。
マーシュランドってのは湿地帯ってことらしんだけども、
映画観終わると、ずぶずぶどんよりな世界観というか
映画のボディ自体がそう感じさせる手触りで妙に納得できる。

冒頭の鳥瞰の湿地の絵もインパクトあるけど、どういう話かってえと1980年代、
フランコの長期にわたる独裁政治はおわったものの、
民衆の中に爽快感は皆無で、腐敗やら貧困やらがあちこちに
横たわってるスペインの田舎の地方で起きた
とある猟奇的な連続少女失踪と殺人事件。

捜査にあたるのは首都マドリードから左遷されてきた
若い刑事とベテラン刑事の凸凹コンビ。

無駄な描写を一切排除したようなストイックなテンポで、
よどんだ街の中での捜査がたんたんと続き、
ピーンと張りつめた空気の中に引き込まれていく。
貧困、売春、麻薬、汚職、小児性愛……
よどみを掘り進めていくほどに、あきらかになっていく
スペインが内包してしまったどろどろの闇。

そんな中、新たな失踪者が――

問題はラスト。
ちゃんと犯人は見つかり、彼は刑事たちによって
処理されるのだが、事件はまだ終わってない感じ。

犯人というか、その仲間はもう一人いるはずで
証拠の写真では、その顔はちょうど
確認できないくらい歪んでいて見えない。

だから、見終わったあとも、いやあな感じ、
湿地帯の闇がどこまでもずぶずぶと続いてるような余韻で
たまらない(笑)

どうか、みて、真犯人というか、ボスを教えてください。
どう考えても、あいつが怪しいと思わせてくれるんだけど
確証がもてない。

あと、スペインの歴史を勉強してれば
もっと雰囲気そのものを深く味わえた気がしたかな。

とにかく、見て、犯人を教えてください(笑)

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。