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『廃屋の天使たち』

もう息をしなくなった少女を
突き動かす己の荒い息づかい

真っ白い肩の丸みに
月明かりの光沢が冴えざえと落ちて
揺れて
どこにも行かないように
泣きながら噛みつける

優しい黒髪に顔をうずめ
かぐわしい腐敗の前触れに
欲情をまぶし 放つ

果てて満ちる静寂を切り取るように
少女の輝く肩を持ち帰る
廃屋に丸い肩がひとつ増えた
家畜のように吊し
揺らし 眺め
錆びた匂いに鼻腔は濡れ
やにわに果てる

窓からのぞく月にも
死はさめざめと輝き
腐りゆく天使と
今日も朽ちてゆく

――廃屋天国――

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。